日本代表はなぜ「ローテーション起用」に消極的? 東京五輪もロンドン五輪も最後は息切れ。W杯でも同じ過ちを犯すのか

日本代表はなぜ「ローテーション起用」に消極的? 東京五輪もロンドン五輪も最後は息切れ。W杯でも同じ過ちを犯すのか

  • Sportiva
  • 更新日:2022/06/23

A代表の6月シリーズと同時期にウズベキスタンで開かれていた、23歳以下のアジア王者を決めるU−23アジアカップ。2年に一度行なわれるこの大会で、日本は3位となった。

23歳以下のアジア王者決定戦とはいえ、日本は従来からこの大会を次回五輪へ向けた強化の場と位置づけている(以前はU−23ではなくU−-22の大会として開催されたこともあったが、日本の考え方は一貫している)。

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東京五輪でも最後は力尽きてメダルを逃した日本代表

今回で言えば、2年後のパリ五輪を目指す世代、すなわち2001年以降生まれの選手で構成されたU−21代表が出場。そして2年後のこの大会(パリ五輪アジア最終予選を兼ねる予定)にも、パリ五輪世代がU−23代表として出場することになっている。

結果的に日本は、U−23アジアカップの2回に1回は大会規定よりも年下の代表チームが出場することになり、過去の大会ではその都度、年上のチームに手厳しくやられてきた。

2014年大会は、準々決勝でイラクに0−1で敗れてベスト8敗退。2018年大会でも、準々決勝でウズベキスタンに0−4で敗れ、同じくベスト8敗退に終わっている。

それを考えれば、今回のベスト4進出は、U−21代表が出場した大会のなかでは過去最高成績。ましてライバルの韓国を相手に、準々決勝を勝ち上がったことは痛快だった。

準決勝で開催国のウズベキスタンに0−2で敗れたあと、もう一度気持ちを奮い立たせ、3位決定戦でオーストラリアを3−0で下したことも評価に値するものだ。

まずは、その健闘を称えたい。

とはいえ、大会を勝ち上がるなかで、気になったこともある。

主力メンバーが固定され、選手起用に偏りがあったのではないか、という点だ。

UAEに勝利したグループリーグ初戦からウズベキスタンに敗れた準決勝まで、中2日の5連戦を振り返ると、7人の選手が5試合中4試合に先発出場。主力選手は固定されており、複数の選手が併用されていたポジションは、ボランチと右サイドバックくらいだった。

つまり、明らかに力が落ちるタジキスタンと対戦したグループリーグ第3戦を除けば、日本はほぼ同じ先発メンバーで戦い続けたわけである。

メダルを逃した最大の要因

その結果、準決勝では選手たちの動きが明らかに重く、地元ウズベキスタンの勢いに飲まれることになった。

もちろん、そこには、大会中に新型コロナウイルス感染の陽性者が複数出たことの影響もあっただろう。準決勝と3位決定戦では、日本のベンチには7人の控えメンバーしかいない状況に陥っていた。これでは先発メンバーどころか、5人の選手交代すらかなり限られてしまう。

「フィジカル(の消耗)は、肉体と精神が噛み合わさってのこと。アクシデントがあって生活が制限されるうえ、こういう気候条件(暑さ)もある。それでも戦わないといけないが、いろんな側面がある」

チームを率いる大岩剛監督もそう語り、苦しかった台所事情を明かしたように、替えたくても替えられない。そんな側面もあったに違いない。

だとしても、「勝ち上がるほど(試合数が増えて)体力は消耗するのが必然」(大岩監督)というなかで、結果として今後に生かすべき事例となったことも確かだろう。

これに似た事象は、昨年の東京五輪でも見られている。

日本はグループリーグ初戦から準決勝までの5試合で、先発メンバーをほぼ固定。すべての試合に先発出場した選手は8人もいた。その結果、準決勝で敗れたばかりか、3位決定戦にも連敗。目標に掲げていた金メダルどころか、銅メダルすらも手にできなかった。

また、2012年ロンドン五輪もそうだった。

日本は3位決定戦まで全6試合を戦ったが、すでに決勝トーナメント進出が決まっていたグループリーグ第3戦で大きく入れ替えたのを除き、ほぼ完全に先発メンバーを固定(グループリーグ第2戦でひとりが入れ替わったのみだった)。同じメンバーが試合に出続け、目に見えて消耗していった日本は、準決勝、3位決定戦と連敗し、1968年メキシコ五輪以来となる44年ぶりのメダル獲得を逃した。

ここに挙げた2度の五輪は、中2日で試合をこなすなかで大会終盤に息切れしたという点で共通する。

カタールW杯、目標達成のカギ

一方、対照的な選手起用で成果をあげたのは、2016年のU−23アジアカップ。日本が過去にただ一度優勝した大会である。

リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねたこの大会、日本は苦戦が予想され、リオ行きを危ぶむ声も少なくなかった。

だが、チームを率いる手倉森誠監督はコンディションを重視して、選手の大胆なローテーションを断行。グループリーグ初戦から第2戦にかけて6人、以降、試合ごとに9、8、4、4人と、目まぐるしく先発メンバーを入れ替えていった。

その結果、どんなことが起きたか。

準々決勝のイラン戦では、延長に入ってから3ゴールを決めて3−0の勝利。準決勝のイラク戦では、試合終了間際の決勝ゴールで2−1の勝利。そして、大会6試合目となる決勝の韓国戦では、47分までに0−2とリードされながら、残り30分で3−2と試合をひっくり返した。選手たちが試合終盤で見せたひと踏ん張りは、ローテーション起用と無関係ではなかったはずだ。

もちろん、これは五輪世代だけに通じる話ではない。

今年11月に開幕するワールドカップでは、基本的には中3日で試合が続く。

森保一監督はベスト8進出を目標に掲げるが、それを実現するためには、3試合をこなしてグループリーグを勝ち上がったうえで、絶対に4試合目の決勝トーナメント1回戦を勝たなければならない。

いかにグループリーグでの消耗を抑えて4試合目に臨むか。そこに目標達成のカギがある。

だが、同じく森保監督が指揮をとった東京五輪で、どんな結末が待っていたかは前述のとおり。準決勝、3位決定戦の連敗以前に、準々決勝の時点ですでに選手たちの動きは重く、ニュージーランドをどうにか下したとはいえ、スコアレスの末、薄氷のPK戦勝利だったのである。

サッカーは週1試合、週末だけに試合をするのが日常だ。Jリーグを見ていても、2週続けて水曜日に試合が入れば、ちょっとした異常事態。「過密日程の5連戦」などと当たり前に表現される。

森保監督の決断はいかに?

つまり、こうした国際大会は非日常。日常のリーグ戦とは、そもそも選手起用の発想を変える必要がある。まして、フィジカル的に高い強度が求められる現代サッカーにおいては、なおさらだろう。

ワールドカップで掲げる目標とは、「グループリーグ突破が最優先。そのうえでの、できればベスト8進出」なのか。あるいは、「グループリーグ敗退もベスト16敗退も同じ。何が何でもベスト8進出」なのか。

それによって選手の起用法も、自ずと変わってこなければならないはずである。

浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

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