
主婦の求人事情はどう変化しているのか(イメージ)
物価高に円安、増税と、2023年も家計への打撃がさらに増していきそうだ。マイナス分は補うべく仕事を始めたいという主婦もいるだろうが、ここ1~2年で主婦の求人事情はどう変わったのか。求人情報サイト「しゅふJOB」を運営するビースタイルメディア代表取締役社長・石橋聖文さんはこう語る。
「コロナの流行が始まった2020年は、緊急事態宣言によって営業が制限された飲食店をはじめ、パート先企業の業績が悪化。常に人手不足の介護や看護、保育士など、一部の職種を除いて、求人は激減しました。それが2021年にはコロナ禍の落ち着きとともに飲食業界や販売業界にも求人が戻り始め、2022年にはコロナ禍以前の水準に戻りました。
『しゅふJOB』内の求人掲載数を例にすると、2021年10月に比べて2022年10月は178%と増加しています。中でも求人が伸びているのは、飲食、小売、サービス、保育、清掃などです。また、オフィスワークの求人が戻ってきていることも大きな注目点です」
そのほか、石橋さんがいま“狙い目”だという職種は別表の通りだ。
経理事務が特に求められている
石橋さんが“狙い目”とする職種の中でも特に注目すべきは、専門事務職だ。
「もともと事務職は主婦のパートでは人気が高かったのですが、コロナ禍以前などは求人数が少なかった。しかしいま、一般事務は158%と掲載数が増え、経理や労務など専門事務に特化した求人は280%と、3倍近くに増えています。
特に経理の経験者を求める案件が増えており、時給も上がっています。にもかかわらず、応募数は前年から横ばい。事務職に就きたくても倍率の高さで諦めていた人は、ぜひチャレンジしてほしいです」(石橋さん・以下同)
パートだけではない、正社員募集も増加
事務職は経験者や経理・労務などのスキル保持者が求められている一方で、保育、教育、家事代行業界は、未経験可能の求人が多数ある上、時給も高めだという。
「家事代行は炊事、掃除、洗濯など家事をしてきた主婦は挑戦しやすいですよね。教育系は、幼稚園や小学校の受験、英語教育などへの関心の高まりから、英語講師や幼児教育の求人が多いです。しかも、子育て経験がある主婦のスタッフは、“安心感がある”と生徒の親からの評判がいいんです」
主婦だからこそ求められる仕事が増えているのだ。また、飲食業界も求人が戻ってきているという。
「ある大手飲食チェーンでは深刻な人手不足で、主婦をターゲットに、1日3時間から募集を行っています。健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険などの福利厚生もつけているほどです」
雇用形態では、パート・アルバイトの求人率が伸びているほか、正社員の募集も伸びている。
「現在、東京都では『雇用創出・安定化支援事業』を推進しています。これは、派遣社員として『トライアル就労』する機会を提供し、派遣先企業等への正社員就職を後押しする事業です。同事業に参画していない企業でも、正社員の募集案件は増えています。しかし現状、正社員への応募が少ないため、正社員を狙っている人はチャンスといえます」
理美容系、医療系、IT系の時給もアップ
一方で、コロナ禍で需要も時給も大幅に上がったフードデリバリー系の勢いがなくなりつつある。2021年10月に比べ、2022年同月は平均時給が851円もダウンした。
「2021年は緊急事態宣言などの影響でフードデリバリーの需要が高く、一部の会社も報酬アップキャンペーンで時給をつり上げ、人集めをしていました。その動きが2022年は落ち着いたようです。逆にいまは、セラピスト、リフレクソロジーなどの理美容系、薬剤師などの医療系、そしてエンジニアやプログラマーなどのIT系の時給がアップしています」
仕事をしたくても求人がなくてできなかった人、正社員になりたかった人、いずれもいまこそ千載一遇のチャンスといえる。
主婦には、年収103万円を超えると所得税が発生したり、年収150万円を超えると、配偶者特別控除の38万円が満額で受けられなくなるなど、収入アップに待ったをかける“壁”があるが、安定収入を望める正社員になれたり、パートや業務委託でも大幅な収入アップを望めるのなら、壁を越えてでも働くメリットはあるだろう。
※女性セブン2023年2月2日号
マネーポストWEB