「早老症」の診断基準となる症状はご存知ですか?医師が監修!

「早老症」の診断基準となる症状はご存知ですか?医師が監修!

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  • 更新日:2022/11/25
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早老症とは、通常よりも若い年代で老化現象が起きてしまう病気です。国の指定難病にもなっています。およそ20~50万人に1人の確率で発症すると推定されています。多くの場合、動脈硬化など老化に伴う合併症を引き起こしてしまう病気です。そのため、発症すると日常生活において周囲のサポートが必要不可欠になります。今回は早老症の症状や原因・日常生活での注意点について解説します。

早老症の症状と原因

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早老症はどのような病気ですか?

早老症とは、実際の年齢よりも早く老化現象が起きてしまう病気です。国の指定難病となっています。早老症には「ハッチンソン・ギルフォード症候群」「ウェルナー症候群」など10の疾患が含まれており、いずれも症状の進行度合いが違います。特に日本人に多い早老症がウェルナー症候群です。
ウェルナー症候群とは、1904年にドイツの医師のオットー・ウェルナー氏により初めて症例報告された疾患です。世界の報告数のうち約6割を日本人が占めています。ただし、ウェルナー症候群以外の早老症疾患に関しては日本人の報告例が著しく少ないため、日本では早老症=ウェルナー症候群のような位置づけとなっています。

症状について教えてください。

白髪・脱毛

白内障

声がかすれる

腕・脚の筋肉の減少

皮膚の硬化

早期の更年期障害

これらの現象は、本来早くとも50歳頃からみられる老化現象です。しかし、ウェルナー症候群をはじめとした早老症は、これらの現象が思春期を過ぎた20歳以後からみられるようになります。
ハッチンソン・ギルフォード症候群の場合は、乳児期に発症し、年を重ねるにつれ低身長や成長遅延が起こるのが特徴です。ほとんどの場合10歳台で死亡してしまうと報告されています。

早老症の兆候を教えてください。

早老症の症状である老化現象は、本来起こり得ない早期の年齢で発症します。そのため、20歳から40歳までの間に上記症状のうちいくつかが発現している場合はウェルナー症候群を疑われます。
ハッチンソン・ギルフォード症候群の場合は乳児期の成長の遅れや脱毛現象などを発現した場合に疑われることが多いです。

発症する原因は何ですか?

日本人に多いウェルナー症候群は「WRNヘリカーゼ」というDNAやRNAをほどく酵素を作る遺伝子の異常が原因です。この遺伝子は、DNAが傷ついた時に修復する役割を持っています。
ウェルナー症候群を発症する早老症の患者は、このWRNヘリカーゼが何らかの異常をきたしています。しかし、なぜこの遺伝子が異常をきたすことで老化が促進されるのかはわかっていません。
また、近親婚が原因といわれていますが、近年近親婚以外で発症された患者さんの割合が高くなっているため定かではありません。

遺伝しますか?

結論からいえば、異常のある遺伝子はそのまま親から子へ遺伝します。しかし、遺伝子は本来1対あるものです。そして遺伝子は父親・母親それぞれから片方ずつ遺伝します。
ウェルナー症候群をはじめとした早老症の原因遺伝子の異常は、1対の遺伝子両方に異常がある場合にだけ発病します。親から子へは遺伝子をそれぞれ片方ずつ受け継ぐため、親から受け継いだ遺伝子が両方とも異常だった場合にのみ発病するということです。
そのため、たとえ原因遺伝子が片方だけ異常だった場合は本人に発病しません。また、配偶者も原因遺伝子が片方だけ異常だった場合も、子供が発病するとは限りません。
確率としては、その2人の子供のうち4人に1人が発病する計算となります。発症した本人の子供についても配偶者が遺伝子異常を持っていなければ子供は発症しません。

早老症の検査と治療方法

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どのような検査を行いますか?

早老症の診断には、遺伝子検査を行う場合もあります。ただし、国内に遺伝子検査を行える施設はまだ少ない状況です。
そのため、早老症の診断には先に主要な症状がでているかどうかで診断結果が下されます。診断基準に沿って早老症と診断された後に遺伝子検査を行うことが多いです。

早老症の診断基準を教えてください。

20歳~40歳で以下の主要徴候すべてに当てはまると早老症と診断されます。

白髪化・脱毛現象

両目の白内障

皮膚の萎縮・硬化・潰瘍形成

アキレス腱などの軟部組織の石灰化

鳥様顔貌

声がしわがれる・甲高くなる

また、全てではなく3つ以上当てはまり、なおかつ遺伝子検査を行って特定遺伝子の異常が見つかった場合も早老症と診断されます。
これらの症状以外にも、早期年齢での骨粗鬆症などの骨異常や悪性腫瘍・動脈硬化がみられる場合にもウェルナー症候群と診断される場合があります。

治療方法について教えてください。

早老症はまだ治療方法が見つかっていません。症状に対する対症療法のみを行います。
具体的には、皮膚トラブルへの対処や合併症の治療です。早老症の患者は皮膚に潰瘍ができることが多く、日頃から皮膚のケアが必要になります。早老症の潰瘍は重度の場合が多く、骨が皮膚を内側から傷つけたことによりできる傷です。そのため、できる限り潰瘍ができないよう皮膚を保護する治療が必要です。
また、早老症の合併症として悪性腫瘍(がん)・白内障・糖尿病を発症する可能性があります。基本的にはそれらの合併症に対しての治療が多いです。

早老症の予後と日常生活での注意点

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早老症はどのような経過をたどりますか?

早老症による老化現象で合併症の危険が高まります。そのため、通常の成人よりも様々な病気のリスクが非常に高いです。現在では合併症の治療・対策が進んでいるため、合併症で死亡するリスクは減りましたが、定期的に悪性腫瘍の検査を行う必要があります。
また、かかとや足・肘などに治りにくい傷を抱えてしまい、痛みや感染症によって足を切断するケースもあります。これらの症状が出ることにより、加齢するにつれ生活に支障が出てしまう例が多いです。

寿命について教えてください。

以前までは合併症により40歳代で亡くなることが多かったのですが、近年では合併症への対処が可能になったため50~60歳代まで生存する患者が増えています。
ただし、足・肘などの潰瘍による感染症のリスクは否定できないため、必ず60歳代まで生きられるというわけではありません。日常生活に関しても注意が必要です。周囲のサポートによりできるだけ長く生存することも可能な病気でもあるということになります。

日常生活での注意点を教えてください。

早老症の患者は、定期的な通院で悪性腫瘍の検査や代謝異常をチェックする必要があります。これにより、死に直結する合併症のひとつである動脈硬化が進行するのを阻害することが可能です。
合併症への対処の他には、潰瘍ができやすい箇所へのケアが必要になります。具体的にはアキレス腱・かかと・肘といった関節部分に潰瘍ができやすいです。早老症になると皮膚が薄く硬化してしまうため、骨が当たると傷がついてしまいます。
これらの部位を日頃からケア・観察をすることにより、重度の難治性皮膚潰瘍による日常生活の支障を防ぐことができます。どうしても傷ができてしまった場合は、装具をつけて保護することも可能です。

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

早老症は非常にまれな病気です。難病にも指定されており、発症すると完治はできません。しかし、周囲のサポートにより症状を和らげたり、合併症の進行を防ぐことも可能です。
身体機能の衰えにより日常生活に支障が出る可能性があるため、日頃から周囲のサポートが必要になる病気です。もしご家族に早老症を発症した方がいらっしゃったら、ご自身でできることから日常生活のサポートをしてあげてください。

編集部まとめ

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早老症は20歳代から老化現象が発現する難病です。白髪化・白内障の他、身体の内部から動脈硬化などの疾患が現れる可能性のある病気です。完全な治療方法はまだ確立されていません。そのため、発症するとできることは対症療法となります。ただし、現在では合併症への対処が可能になったため、60歳代まで生存できるようになりました。早老症には周囲のサポートが必要不可欠です。日常生活のサポートや、合併症への対処など無理のない範囲でサポートしてあげてください。

参考文献

早老症とは|健康長寿ネット

ウェルナー症候群(指定難病191)|難病情報センター

早老症|s-sitei5.pdf

早老症(ウェルナー症候群)の原因・症状・治療法|LIFULL 介護

ウェルナー症候群|千葉大学大学院医学研究院

Medical DOC(メディカルドック)

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外部リンク

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