ここのところ真面目路線を貫いてきたペヤングですが、先日ついに1年もの禁を破り「獄激辛ペヤング」の新商品が復活しました。真面目路線から恐怖路線(?)に舵を切る可能性があり、今後のペヤングの展開から目が離せません。
傍若無人なテレビ版ジャイアンとヒーロー気質の映画版ジャイアンが同一人物であるように、「獄激辛」の新商品を復活させたペヤングさんの中に、真面目に創作カップ焼そばを出すペヤングさんもやはり存在しています。
今回は、最近発売された映画版ペヤングーーいや、真面目な創作ペヤング3品をレビューします。「味噌煮込み風うどん」、「ちゃんぽん風うどん」、そして「黒豚骨やきそば」。いずれも安牌な創作カップ麺に見えますが、果たしてどうでしょうか。
味噌のコクと魚介が香る本格派!!「ペヤング 味噌煮込み風うどん」
まずは、「ペヤング 味噌煮込み風うどん」214円(税別)。名古屋名物としてもおなじみの味噌煮込みうどんを汁なしのカップ麺で再現した、どう見ても真面目な創作ペヤングとなっています。
味噌煮込みうどんのカップ麺は、地元名古屋が本拠地の寿がきや食品のものがおなじみですが、ペヤングが名古屋の新たなスタンダードになっていくのでしょうか。
味噌の豆のコクが強く感じられるソースとなっています。これだけ味噌の味が濃厚なら、味噌たっぷりで塩辛くなってしまいそうなところですが、弱いわけでないものの風味の強さほどには塩辛くなく、食べやすかったです。
味噌に加え、かつおなど魚介系の風味でエッジを立てており、思いのほか本格的な味わいとなっています。名古屋には八丁味噌など甘い味噌もありますが、今回は豆のコクや魚介が強調されているのに対し、甘さはほとんどない硬派な味噌味でした。
いつものペヤングのうどんは湯戻し時間3分ですが、今回は2分に設定されています。だからといっていつもと違う麺というわけではなく、味噌煮込みうどんの太くてコシのある食感を再現するために1分短い設定にしているだけのようです。
かための麺と濃い味噌味のソースは好相性ですが、1分短く設定したからか、ややほぐれ難く、いつもよりちょっとボソボソした食感なのは賛否が分かれるかもしれません。湯戻し時間を短くすることでサクサクした食感が残る部分もありました。湯戻しが不完全と取るか、ジャンキーでおいしいと取るか。筆者は後者でした。
具は、きざみ揚げ、かまぼこ、ニンジン、ネギが入っています。ペヤングはいつも具だくさんですが、この商品もボリューミー。特にきざみ揚げとネギの量が多いです。きざみ揚げは甘く味付けされていて、硬派なソースに甘さを補っています。かまぼこやネギの彩りも良く、見た目にも和風にまとまっていました。
安パイに見せかけて…油ギットギトのヤバいヤツ「ペヤング ちゃんぽん風うどん」
続いては、「ペヤング ちゃんぽん風うどん」214円(税別)。こちらも焼そばではなくうどんです。「ちゃんぽん」と「うどん」を組み合わせるだけでも創作な雰囲気ですが、さらにそれを汁なしのカップ麺にしてしまうという創作の創作。どう見ても真面目創作以外には見えませんが、でもペヤングなので油断はできません。
前出の「味噌煮込み風うどん」もそうでしたが、あえて明記はされていないものの、「ちゃんぽん」は長崎の名物。ペヤングのご当地カップ麺シリーズと言えそうです。
豚鶏をベースに魚介や炒め野菜の風味を効かせたちゃんぽん風のソース。塩気が刺さらずやさしい味わいで、ちゃんぽんらしい旨みが感じられます。
一方で、ちゃんぽんらしからぬ量の油が入っており、分厚いラードによって、ちゃんぽんらしい旨みなど吹き飛ぶ勢いで油でギットギトになっています。火をつけたらフランベどころか軽くボヤ騒ぎになりそうなレベル。もちろんやってはいけません。
なぜ「ちゃんぽん風」なのにこんなに油を入れるのか考察してみましたが、ペヤングだからとしか言いようがなく、ペヤングによる新たな攻撃手段なのではないでしょうか。獄激辛の辛さやペタマックスの麺量も胃への攻撃が激しいですが、今回も油で胃腸方面に攻撃を仕掛けてきています。
麺は3分湯戻しのいつものペヤングのうどん。縮れが強めに付いており、これが見事なまでにソースの油を拾い、口の中を油まみれにしていきます。うどんってこんなにギトギトになるもんだっけ? と新しい発見をする人が続出でしょう。
最初から油だと覚悟して食べるとそれなりに防御態勢に入れますが、「ちゃんぽん風」では油まみれなのはなかなか想像できないので、不意の攻撃による体調変化にはくれぐれもお気をつけください。間違いなく攻撃的な「ちゃんぽん風」です。
具は、エビ、ピンクのかまぼこ、キャベツ、コーンが入っており、ちゃんぽんらしい構成となっています。ですが、ちゃんぽんとは思えない油まみれのソースを食べた後では、どんなに具を取り繕ったところで後の祭り、焼け石に水ですね。ちゃんぽん風ではなく油うどんでした。
最後にレビューするのは、「ペヤング 黒豚骨やきそば」214円(税別)。名古屋、長崎ときて、今度は黒マー油ラーメンの熊本。本気で「実はご当地味でした」シリーズ化していくのかもしれませんね。
「黒豚骨」とは、焦がしニンニクを効かせた豚骨ですが、「ニンニク」も「豚骨」もペヤングの得意とするフレーバーなので、今回の3品で最も地に足のついた商品に見えます。
豚骨ベースに焦がしニンニク油の風味を効かせたソース。豚骨の旨みが重厚に感じられると同時に、こちらもかなり油ギッシュ。不意に食べると気持ち悪くなってしまうレベルのすごい油です。油ギットギトの豚骨味ソースとしてかなりのヘビー級です。
反面、黒マー油の焦がしニンニクの部分はそれほど強くなく、「黒豚骨」味としてはやや物足りないものになっています。これで焦がしニンニクもしっかり効いていたら、パワーと再現性を兼ね合わせるすごい味になっていたところ。ですが、どうやらペヤングは、油まみれのカップ焼そばが作れれば「黒」かどうかはあまり関心がなさそうです。
麺はいつものペヤングの中細で縮れのついた油揚げ麺ですが、油が絡まってほぐれがよく、いつもと違う麺のように感じました。油まみれで温度が下がりにくいため、ちょっとアツアツなのもいつもと別物感がある部分です。湯戻しを短めにしてかためで食べるのがオススメです。
具は、メンマ、ネギ、ナルトの組み合わせ。黒豚骨というより中華そば的な組み合わせとなっています。キクラゲとか入っているともうちょっと黒豚骨らしくなったのではないでしょうか。
肉系の具は入っていませんが、大量のメンマが食感でアクセントになっていて、ナルトやネギもたくさん入っていました。具のボリュームがあるのはペヤングらしい部分です。
ペヤングは真面目路線から攻撃的にシフトチェンジ?
実はご当地カップ麺的な色合いが強い、真面目路線の創作カップ麺3品ーーのつもりでレビューしましたが、実際食べてみたら全然、違いました。真面目な創作カップ麺は最初の「味噌煮込み風うどん」だけで、「ちゃんぽん風うどん」と「黒豚骨やきそば」は分厚い油量によって、むしろ攻撃的な面が強い商品でした。
意図的なのかはわかりませんが、「獄激辛」の新商品登場も相まって、ペヤングは真面目路線からもっと攻撃的にシフトチェンジしようとしているのかもしれません。次にどんな商品が登場するのか、楽しみであり恐怖でもあります。