世界的に支持されるVTuber事務所「ホロライブ」、起業家「YAGOO」が挑む次の一手 カバー谷郷元昭

世界的に支持されるVTuber事務所「ホロライブ」、起業家「YAGOO」が挑む次の一手 カバー谷郷元昭

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2022/11/28
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発売中のForbes JAPAN2023年1月号の特集「日本の起業家ランキング2023」で3位に輝いたのは、VTuber「ホロライブプロダクション」を運営するカバーの谷郷元昭。

チャンネル登録者数が累計7000万人を誇るホロライブ。舵を取る「YAGOO」こと谷郷は、すでに次の世界観の実現に目を向けている。

「YAGOO! YAGOO! YAGOO!」

2022年8月5日からの3日間、米国カリフォルニア州サンノゼ市で北米最大規模のアニメイベント「Crunchyroll EXPO2022」が開催された。2日目、ある会場にTシャツ姿の日本人がサプライズ登場すると、観衆にどよめきが起こった。姿を見せたのがVTuber「ホロライブプロダクション」を運営するカバーの谷郷元昭だとわかると、どよめきが歓声に変わる。谷郷がおずおずと右手をあげると、会場にYAGOOコールが響きわたった。

谷郷は「タニゴウ」と読む。しかし、VTuber界隈では「YAGOO」と呼ばれ、VTuberたちに優るとも劣らない知名度を誇る。

会場に足を運んだ谷郷は、ファンの熱量をひしひしと感じていた。YAGOOコール以上にそれを実感したのは、CrunchyrollEXPO 2022に併設されていた同人系イベントの様子だった。

「Myth(ホロライブEnglishのユニット)の同人グッズがたくさん並んでいて、同じ推しのTシャツを着たファン同士が盛り上がっていました。VTuberのライブ配信は、コロナで人と人が直接触れ合いにくくなった状況が追い風になった側面があります。しかし、みなさんが盛り上がっている様子を見ると、リアルのイベントが再開されて本当によかったなと」

日本でもリアルのイベントは再開されており、同様に熱心なファンが詰めかけている。ただ、谷郷にとって海外での盛況ぶりは特別な意味があった。

「最初から世界に展開したいと考えていました。漫画やゲームはもともと日本が得意としていた領域ですが、中国や韓国からも人気コンテンツやプラットフォームが出てくるようになった。そのなかで、VTuberのファンが日本のみならず海外にも広がっているのは素晴らしいこと。喜びもひとしおです」

世界ナンバーワンのVTuberを輩出
世界を席巻しつつあるVTuberとは何なのか。なじみのない人のためにここで基本から解説しておこう。

簡単にいうと、VTuberはバーチャル版のYouTuberだ。一般的なYouTuberが生身の姿で動画を配信するのに対して、VTuberは顔出しをせずに2Dや3Dのアバターで配信する。配信者の姿は見えないが、声は基本的に本人のもので、アバターもモーションキャプチャで本人の表情や動きが再現される。

VTuberは、YouTubeなどの動画共有プラットフォームでゲーム実況や音楽ライブ、トークなどを配信する。視聴者からの投げ銭やリアルイベント、グッズ販売などが、VTuberが所属するプロダクションの収益源になる。

2022年10月現在、カバーが運営するホロライブプロダクションには総勢71人のVTuberタレントが所属している。YouTubeチャンネル登録数ランキングの世界1位はホロライブ所属の「がうる・ぐら」で423万人(ユーザーローカル調べ、2022年10月31日時点)。その他、7人がトップ10入りし、プロダクション全体ではチャンネル登録数が7000万人に達している。

現在、VTuberプロダクションは、今年6月に東証グロース市場に上場したANYCOLORの「にじさんじ」と、カバーの「ホロライブ」の2強状態だ。どうして三番手以下を引き離すことができたのか。谷郷は、「強みは3D」という。

VTuberのライブ配信は、大きくふたつに分かれる。ひとつは、スマホアプリでフェイストラッキングして2Dで配信する方法。大がかりな設備は必要なく、VTuberは自宅からスマホを使ってセルフで配信できる。もうひとつは、モーションキャプチャを使って3Dで配信する方法だ。こちらはVRの技術とスタジオが必要になる。

「私たちはもともとVRの会社で、技術はありました。3Dのモーションキャプチャスタジオは、シリーズAで調達した資金2億円のうち約3分の1を使ってつくりました。複数のVTuberが歌って踊れる大きなスタジオです。スタジオの場所?もちろんそれは秘密です」

3D技術は、ライブ配信だけでなくショートアニメにも発揮されている。ホロライブはVTuberを登場人物とする1~2分の3Dアニメを制作して、毎週配信している。

「VTuberのライブ配信は1~2時間と長く、一見さんは入りにくい。最近、切り抜き動画(長時間の動画を編集して短くまとめたもの)がはやっているのもそのためです。ホロライブは切り抜き動画のほか、ショートアニメを配信して敷居を下げています。3Dアニメーションの展開は、私たちが最も強いところだと自負しています」

カバーはVTuberのマネジメント会社のほか、配信設備や配信システムをもつ放送局、そして自社でコンテンツをつくるアニメ制作会社としての機能を有している。業界への参入を目指す企業が配信やコンテンツ制作の機能をもつこと自体が簡単ではないが、カバーはそれらの機能の中心に3D技術を据えた。それが圧倒的な優位性となり、いまのポジションを築くに至ったのだ。

(続きはフォーブス ジャパン2023年1月号でお読みいただけます)

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谷郷元昭◎慶應義塾大学理工学部卒。ゲーム会社でのプロデューサー、アイスタイルでのEC事業立ち上げなどを経て、サンゼロミニッツを創業し、後にイードへ売却。2016年、カバー創業。

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