
大番狂わせも起こり、視聴率も高騰一辺倒という盛り上がりを見せているWBC。「史上最強の侍ジャパン」と呼ばれる日本が14年ぶりに「世界一」の称号を奪還する日も近い。本項では決勝戦の相手国を「アメリカ」として、勝利までの過程を完全シミュレーションを行った。
前編『WBC、日本は優勝しかない!!その根拠となる、これからの準決勝「メキシコ戦」(21日)と決勝戦で活躍する「層が厚すぎる《過去最強の侍ジャパン》」の選手たち【大谷、村上、佐々木…】』より続く。
決勝:アメリカ戦 6年前のロスでの雪辱を果たす
'17年の第4回WBC覇者のアメリカ代表。今回のチームの特徴を、スポーツライターの友成那智氏が語る。
「エンゼルスで大谷と主軸を担うトラウトや、昨年のナ・リーグMVPのゴールドシュミットなど長打力のある選手が並び、打線は出場チーム中一、二を争うレベルです。機動力も備えているので、捕手・甲斐の働きも重要です。一方、エースのカーショーが出場を辞退し、先発陣は不安を抱えています」
それでは、決勝の行方を独自に予測する。
アメリカの先発はエース格のマイコラス。'15年から3年間巨人で活躍し、日本の打者の特徴もよく知っている投手だ。低めへのカーブやスライダーを武器とし、この試合も1回は三者凡退に抑えた。しかし2回、日本の4番・村上の豪快な一撃で試合が動き出す。
「マイコラスは被本塁打が多いタイプなんです。低めの変化球をホームランにするのが上手い村上や大谷には、一発が大いに期待できます」(友成氏)
打者が一巡した3回には大谷にも一発が飛び出し、アメリカのお株を奪う長打攻勢でリードを広げる。
日本の先発は、2年連続投手四冠の山本由伸。どの球種も一級品と評される山本だが、特に150km/h前後で落ちる高速スプリットが効果的だという。

「下位で先発するタッカーやマクニールは、昨年メジャーでスプリットの打率が3割を超えて注意が必要ですが、ほかの打者は軒並み苦手にしています」(友成氏)
自由自在に操る高速スプリットにアメリカの強打者のバットが空を切り、序盤は2点リードで日本のペースで進んだ。
そして後半戦は、球数制限もあり(準決勝からは95球)、継投勝負に。スポーツアナウンサーの節丸裕一氏が解説する。
「アメリカは先発に比べてリリーフ陣は充実しています。アストロズのクローザー、プレスリーを筆頭に、ホームベースを真横に滑るスライダーを投げるオッタビーノなど、様々なタイプのリリーフがそろい、初見で打つのは厳しいです」
米打線の弱点を突く若きリリーフ陣
追加点が奪えないと、流れが相手にいってしまうのが野球だ。6回には疲れの見え始めた山本から主砲のトラウトが一発を放ち、日本に暗雲が垂れ込める。
ヒットが出ない中、流れを変えるのは四球やミスだ。
「ヌートバー、吉田、源田はいずれも左打者で選球眼が非常に優れています。四球でもエラーでもとにかく出塁して、バントを駆使してでもなんとか1点をもぎ取るのが重要になります。アメリカには左のリリーバーが1人しか登録されていないのも大きい」(節丸氏)
8回には四球で出塁した源田を甲斐がバントで送る。大谷敬遠のあとに、ヌートバーが適時打を放ち、待望の追加点を手にする。
アメリカ打線がスプリットに弱いというデータを基に、球が速く、決め球に落ちるボールを駆使する宇田川、高橋宏斗、栗林良吏を次々に投入。鉄壁の投手リレーで決勝に進出した。

両チームとも捕手が強肩で、持ち前の機動力は使いづらい。どちらに転んでもおかしくない接戦は、投手力の差で日本に軍配が上がると予想される。
山本由伸の好投に期待

日本のキーパーソン1・大谷翔平[photo by gettyimages]

日本のキーパーソン2・山本由伸[photo by gettyimages]
準決勝以降はDHでの出場が濃厚な大谷には、接戦が予想される中での一発長打が期待される。また、HRが出にくい球場で多彩な球種を持つ山本を初見で打つのは非常に困難。できるだけ長いイニングを投げてほしいところだ。
元巨人・マイコラスに警戒を

マイルズ・マイコラス[photo by gettyimages]
巨人からメジャーに復帰した'18年に18勝を挙げ最多勝を獲得。

マイク・トラウト[photo by gettyimages]
トラウトのWBC参加表明がほかのスター選手参加の呼び水に。

J.T.リアルミュート[photo by gettyimages]
盗塁阻止率はメジャー平均の倍以上。強肩強打の全米No.1キャッチャー
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