日本ハムは「新球場」移転で人気復活なるか 道民の中には意外に“冷めた目”の人も

日本ハムは「新球場」移転で人気復活なるか 道民の中には意外に“冷めた目”の人も

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  • 更新日:2022/09/29
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来年オープンする日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」

北海道で絶大な人気を誇った日本ハムにかつてほどの勢いがない。今季は“BIG BOSS”こと新庄剛志監督が就任し、開幕前は大きな注目を浴びたがチームも低迷し、いまいち集客も伸びていない。

【写真】きつねダンスで話題の「ザ・フォックス」を歌うイルヴィス来シーズンからは新球場への移転を機に再出発したいという思惑も十二分に伝わってくるが、一部の北海道民は新球場への移転を“冷めた目”で見ているという。

だが、移転当初の熱狂については今もファンは忘れていない。9月24日から28日まで札幌ドームで開催される今季最後の5試合は「FINAL GAMES2022」と命名され、来場者へ記念品がプレゼントされるなど多くのイベントが企画され、ファンからの反応も非常にいい。

また先立って9月17日のロッテ戦では、「ファイターズレジェンドメモリアルピッチセレモニー」を開催。2006~07年のリーグ連覇を達成した当時の指揮官トレイ・ヒルマン氏がメモリアルピッチセレモニーで登板し、優勝メンバーが各ポジションに就いた。札幌ドーム19年間への思いが込められたセレモニーにより試合前から球場のボルテージは最高潮となった。

「かつての熱気が戻ってきたようだった。スタンドには立錐の余地がないほどの大観衆が集まった。コロナ禍で声を出せないが、拍手で選手を後押しする姿は当時と変わらない。現在のチームを取り巻く状況とは好対照で思うことが多かった」(北海道のテレビ局関係者)

「稲葉篤紀(現GM)、森本稀哲など、当時のレジェンドが勢揃いすることが告知されると立ち見チケットまで完売。3年ぶりの超満員となったこともあり大きな注目を集めた。9月のホーム試合で着用する旧ユニフォーム関連グッズも信じられないほど伸びている。改めて北海道民に感謝するとともに、移転して良かったと痛感した」(日本ハム関係者)

17日はセレモニーの勢いも加わったのか、試合でもかつての日本ハムのような粘り強さを見せた。2回に清宮幸太郎が右中間席へ17号本塁打を放つと、2点ビハインドの8回にアルカンタラの本塁打で追いつき、9回にルーキー上川畑大悟のサヨナラ打を放った。

「前向きでガムシャラな選手をスタンドの観客が後押しする。北海道移転後の日本ハムを象徴するような試合で、今後に大きな期待を抱かせた。しかし現実はそこまで甘くない。この試合に足を運んだうち、どのくらいの人が来年以降も新球場へ足を運ぶかは未知数。燃え尽きる前に大きくなるロウソクの炎でなければ良いのですが……」(北海道のテレビ局関係者)

北海道へ日本ハムがやって来てから長い歳月が経過した。その間にチームはBOS(ベースボール・オペレーション・システム)と呼ばれる独自の球団運営システムを採用し、強豪チームへと生まれ変わった。ダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(エンゼルス)など人気と実力を兼ね備えた選手も多く誕生した。

また、グラウンド外では米国を参考にした積極的なファンサービスを展開し、人気チームの仲間入りを果たした。北海道は元来巨人ファンが多い土地柄であり、移転当初は地元密着に不安の声すらあった。しかしそれを覆してプロ球団の成功モデルとして、たびたび取り上げられた。

「日本ハムはプロスポーツのチームとしての成功例。東京時代はBクラス常連でスタンドは空席ばかり。昭和時代からある伝統的な『親会社ありき』の球団だった。北海道移転後は180度変化、魅力を感じて多くのファンが札幌ドームに集まった。しかし中田翔(巨人)の暴力事件など、多くの問題が噴出し始めた。過渡期に差し掛かっているのは間違いない。新球場が再出発の起爆剤となるかどうか」(スポーツマネージメント会社関係者)

ホテル、温泉、アウトドアショップ、施設内でのグランピング……。新球場のエスコンフィールド北海道に関して、多くの情報が発信され始めた。しかし球場への具体的なアクセス方法など、地元ファンが知りたい情報が十分とは言えず不満の声も聞こえてくる。

例えば、球場の北側を通るJR千歳線に新駅設置が予定されているが、開業は2027年度末の予定。当面の最寄駅はJR北広島駅となるが球場までは1.7kmほど離れた場所にある。札幌市をはじめ各方面からバスや車で向かう場合、大渋滞も予想されているほどだ。

「札幌ドームは行きやすい場所にある。気軽に足を運べ、試合後も市内へ戻って食事などもできる。北広島だとそうもいかない。JRの新駅ができるのはまだ先で、それまでの具体的なことは伝わってこない。行ってみたい球場だが、これまでのようにはいかない」(札幌ドームに訪れていた日本ハムファン)

「告知に関しては、地元より全国のファンを意識しているように感じる。球場施設内の物価も上がることが予想される。現状、地元の人が日常生活の中で簡単に行けるような場所ではない。顧客ターゲットを変えたのかもしれない」(スポーツマーケティング会社関係者)

札幌ドームの本拠地使用を断念したのは、興行時の営業条件面などで札幌市と折り合いがつかなかったことが原因。自前の新球場を建設することで球団収入が増えることは喜ばしいが、その分の負担がファンに回ってきては本末転倒だ。まして地域密着を謳いながら地元が蔑ろになってしまうようでは話にならない。

「新球場」「BIG BOSS」そして「きつねダンス」……。世間的に注目を集めるコンテンツは大切で、北海道を全国、そして世界へ向けて発信するには欠かせない。しかしそれだけに寄り過ぎて足元が揺らいでしまってはどうしようもない。今後の日本ハムがどの方向を目指しているのか、北海道民はシビアに見ているはずだ。

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