
【前回の記事を読む】最近はもう見かけない…子どもが「おつかい」に行くべき理由
第2章人に見られるから背伸びができる
1おねしょの克服
2019年1月、千葉県野田市で小4女児が両親から虐待を繰り返され亡くなりました。
寒い中、風呂場で冷水シャワーを浴びせていた行為について、父親は、「おねしょをするのでしつけた」と供述したそうです。
私は、辛い気持ちでいっぱいになりました。
私は、小学校高学年までおねしょをしていました。
おねしょをした寒い冬の朝などは、石油ストーブに当たって着替えながら、母の体験談を何度も聞いたものです。
冬の朝、「外に立っとれ!」と祖母に怒鳴られたエピソードです。
私は後始末を担う母が経験者だったので、幸せなことに一度も怒られた記憶がありません。
寒い冬の朝、「外で立っとれ!」と声を荒げた祖母の当時の状況は、出征した夫(祖父)をビルマ(現在のミャンマー)で失い、手元には5人の子どもが残された……
この5人の子どもを女手一つで育てるために、名古屋に働きに出ていたのです。
私の母は、その5人兄弟の真ん中。出勤の朝など、祖母は母にはむしろ下の2人の面倒を見てくれることを期待したはずです。
そんな、冬の朝にやらかした母のおねしょなのです。
感情的に怒ってしまったのも頷けます。
恐らく、母も子どもながらにいっぱいいっぱいの状況を理解し、祖母の手を「またしても自分が煩わせてしまった」という〝申し訳ない〟という思いと〝自分自身が情けない〟という気持ちが交錯し、時を経ても思い出される「切ない思い出」となっていったように思えてならないのです。
皆様の周りにも、子どものおねしょで悩んでいる方はいらっしゃると思います。
ご夫婦ともに経験が無い場合は、特に心配が大きいと思いますが、そうした方々の参考になればと思い、私の体験を振り返ります。
おねしょをする子どもが〝今日もしてしまうのではないか……〟と不安に思いながら床に就くと、その子はやがて夢を見ます……
夢の中で、仲間と思いっきり遊ぶのです。田圃で泥んこになったり、川で魚を取ったり……
そう、川で魚を追いかけていた仲間が尿意を催します。
川から上がると亀がいて、おしっこを掛けると驚いて頭を引っ込めます。
それが面白くて、仲間と川から上がって自分もおしっこを掛ける……やがて目を覚ますと布団はびしょ濡れ……といった昔話。
つまり、夢の内容と体が連動しておしっこをしてしまうという話ですが、これは本当なのです!
全てではありませんが、私もこうした夢を見ました。
おねしょは「夢」と「尿意」という生理的な信号が混信し、身体が反応して放尿してしまう現象のように思えるのです。
成長すれば、身体が成熟し、溜めておく膀胱の容積も大きくなるので自然と治る……という物理的な要因もあるとは思いますが、脳も成熟し「尿意」を「これは現実の身体信号である」と認識できるようになり、混信が起きなくなるのではないか?と思います。
歳を重ねると、膀胱の柔軟性が低下し頻尿になります。
かつては頻繁に混信を起こしていた私の脳も「尿意」をきちんと「生理現象の信号だ!」と認識し、今は夜中にトイレに起きなくてはならなくなってしまいました。
これが経験者としての私の仮説です。
今、おねしょをするお子さんが目の前にいる方は、感情的に怒るのをじっと堪えて、「どんな夢を見たの?」と尋ねてみて頂きたいのです。
書き留めておけば、学会で発表できるような記録になるかも知れません!
どなたか、私の仮説を証明して頂けないでしょうか?
神田 厚