社説:原爆の日 核廃絶へ今こそ行動を

  • 京都新聞
  • 更新日:2022/08/06

核兵器使用の脅威が現実味を増す中、広島と長崎は77年目の「原爆の日」を迎える。

ウクライナに侵攻したロシアは核の威嚇を繰り返し、対抗する米欧保有国との緊張を高めている。

一方、核兵器を違法化した核兵器禁止条約の締約国会議が6月に初めて開かれた。7年ぶりの核拡散防止条約(NPT)再検討会議は米ニューヨークで開催中だ。

核の使用を阻止し、廃絶を目指す取り組みは重要性を増している。改めて核の脅しを非難し、唯一の戦争被爆国としての役割と行動を考え直す機会としたい。

松井一実広島市長はきょう、平和記念式典で、核抑止論の拡大を批判し、「核兵器のない世界の実現に向け、あらゆる努力をすべき時」と訴える。

グテレス国連事務総長は初出席する式典に先立ち、「核の使用は決して容認できないと、核保有国に要求するのに日本ほどふさわしい国はない」と語った。

これまで以上に日本の立場が問われていよう。

広島選出の岸田文雄首相は、11月に核軍縮の方策を話し合う「国際賢人会議」、来年5月には先進7カ国首脳会議(G7サミット)の広島開催を提唱した。

だが、先の日米首脳会談では米国の「核の傘」を含む「拡大抑止」の強化を表明。日本は核保有国と共に核禁条約には未加盟で、オブザーバー参加すら拒否した。

日本が自任する核保有国と非核保有国との「橋渡し役」としての存在感や行動を示せていない現実を直視する必要がある。

国内では、米国の核兵器を日本に配備して共同運用する「核共有」論が自民党の一部や日本維新の会から聞かれる。国是である非核三原則に反する短絡的な言動で、断じて容認できない。

広島の被爆者認定を巡っては、「黒い雨」が国の定める区域より広範囲に降ったと判断した広島高裁判決を受けて、国は4月から基準を改めた。被爆者健康手帳が新たに千人近くに交付された。

だが、疾病要件を満たしていないとしてふるい落とされる人がいる。既に母親が亡くなった「胎内被爆者」は審査が中断している。新認定基準は長崎には適用されていない。被爆者援護法の理念に沿って国は柔軟に救済すべきだ。

被爆者の平均年齢は85歳近い。それでも核の脅威を世界に訴える姿は核廃絶運動の原動力となってきた。その思いを引き継ぎ、世界に働きかけていかねばならない。

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