
◆ソフトバンク春季キャンプ(20日、宮崎・生目の杜運動公園)
無観客で行われている福岡ソフトバンクの宮崎春季キャンプで、読者の「目」となりホークス選手の一日を伝える「キャンプ密着 モニタリング」。第3回は両ふくらはぎの不安からリハビリ調整を続けている千賀滉大投手(28)を追いかけた。19日に工藤監督が今季の開幕投手に石川を指名したことを明言。一夜が明けた20日、適切な距離を保ちつつ鷹のエースを徹底マークして見えたのは「開幕」を逃してもなお変わらない、エースの風格だった。
■2度目のブルペン
張り詰めた空気のブルペンに、千賀の剛球が捕手のミットを激しく鳴らす音だけが響いた。今キャンプ2度目のブルペン投球は、報道陣の数を制限した代表取材。前回ブルペン入りした16日は非公開だっただけに、現時点での状態を目に焼き付けるべく、投球に見入った。
立った状態の捕手にスラーブ、カーブを交え14球。その後は捕手に片膝を突いてもらい、3球のカーブを含む15球を投げた。球速は計測していなかったが、初ブルペンで最速153キロをマークした通り、真っすぐの勢いは実戦さながらだった。
15球目の真っすぐを投げ終えると、捕手が立ち上がり軽めのキャッチボールに切り替わった。投球が終わったのかと思い、ブルペンを出ようとした瞬間、千賀の「お願いします」という声が聞こえた。再び捕手が片膝立ちとなり、今度はカットボールやフォークも含め15球。ここで終了となり、スタッフがスマートフォンで撮影した自身のフォーム映像を念入りにチェックしていた。
投球を2度に分けたのは、試合を想定したものだと思えた。イニング間のキャッチボールを挟んで計2イニング分。実戦登板はまだ先だが、練習の中でできる実戦を意識した最大限の工夫だったように感じる。
■悔しさ胸にしまい
自主トレ中に両ふくらはぎに不安を覚え、今キャンプはリハビリ組でスタートしたが、着実に回復している。この日は室内練習場で20メートルほどのダッシュを実施。まだ全力ではないが、バック走やジャンプを組み入れながら強度を上げている。
工藤監督は今季の開幕投手に石川を指名したことを明かした。昨年末に「(開幕戦はシーズンを)しっかり戦っていくための第一歩。しっかり準備をしたい」と語っていただけに、2年続けて「大役」を逃した悔しさがあるに違いない。そんなそぶりはみじんも見せず黙々と練習する姿に、小久保ヘッドコーチが今キャンプ中に発した言葉を思い出した。
「練習中、ちょっと声を掛けにくいなという雰囲気のある選手はこの世界でも抜けている」。リハビリ組の練習を見ていると、千賀の醸し出す空気はまさにその雰囲気。「エースの風格」が漂っていた。 (長浜幸治)
9時12分 サングラス、マスク姿で球場入り

生目の杜運動公園に到着しバスから降りる千賀
9時20分 生目第2球場でB、リハビリ組として集合。柳田と談笑
9時40分 室内練習場へ移動。ストレッチやダッシュのメニューなどをこなす

柳田(右)とウオームアップする千賀
11時28分 室内練習場で約30メートルのキャッチボール
11時44分 ブルペン入り。立った状態の捕手に14球投げた後、片膝立ちになってもらい15球

ブルペンで笑顔を見せる千賀
12時02分 キャッチボールを挟み、再び片膝立ちの捕手に15球
12時08分 ブルペンでの投球終了
12時10分 室内練習場に戻り、斉藤リハビリ担当コーチやトレーナーと話し合う
12時25分 ランチ
13時25分 メイン球場入り
西日本スポーツ