欠点がない「いい夫」に妻が抱いた“ある感情”

欠点がない「いい夫」に妻が抱いた“ある感情”

  • CHANTO
  • 更新日:2020/11/20
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夫が家事も育児もやらず、あげくに無神経な言葉を投げかけてきて妻が怒る家庭はよくあるケースでしょう。ところが、夫が家庭的で、なおかつ「とてもいい人」で、周りからの評判もいいのに、妻は「なんとも言えない孤独感」を抱えて、「夫にムカつく」ケースもあるようです。

ママ友、自治会、会社内でも好かれる夫。なのに…

明るくて、つねにポジティブに物事をとらえることができ、誰に対しても平等で愛想のいい夫。ある意味では理想的なのですが、そんな男性を夫にしているエリカさん(38歳)は、「まったく論理的ではないんですが、感情的にモヤモヤするんです」といいます。

2歳年上の彼と結婚して9年。7歳と4歳の娘を目に入れても痛くないほどかわいがる夫。家事も当たり前のようにこなし、出勤前に洗濯機を回す器用さもあります。

「マンション住まいですが、誰に会っても『お宅のご主人、マメねえ』『娘さんたち、パパと一緒で楽しそうね』などと言われます。週末は、夫はほとんど娘たちと一緒にマンション敷地内の公園などで遊んでいますからね。近所の子たちもまとめて面倒みていることも」

マンション自治会の役員もするなど、「人を束ねる」ことが向いているのだそう。当然、会社内でも人望が厚いようです。

「もとは同じ社内だったので、夫に人望があるのはわかっています。上からも下からも好かれる人って、そうはいませんからね」

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そういう人が家庭では妻を相手にストレス発散するケースもありますが、夫からひどいことを言われたのは過去に覚えがない、とエリカさんは言います。

「月に1回くらいかなぁ、趣味のフットサルをやっています。その仲間たちと遊んでくることもありますが、仕事が忙しくて娘たちと触れあっていない時期だと、フットサルに上の娘を連れていくこともあるんです。彼女はサッカーに興味があるみたいで。そういうときは、帰りに私と下の娘も合流して外食したりね」

つねに家族思いで、パートに出ているエリカさんには「どう?仕事、うまくいっている?」と尋ねてもくれます。そして、夫からグチを聞いたことさえないそうです。でも、そう話すエリカさんの表情が暗くなりました。

「ずっと、こんないい人と結婚した私は幸せだと思っていたんです。でも今は、“幸せだと思わなければいけない”気がしています。意味なく夫にムカつくことがあるんですよ」

自分の両親さえ夫に夢中「30分でも会いたい」

年に一度、夫はエリカさんの両親も誘って旅行をします。

「うちの両親は夫の大ファン。だから誘うといそいそとやってくる。私の実家がある地域に、夫が出張すると、必ずといっていいほど時間を作って会いにくる。ほんの30分でも、『顔を見に来ただけで、長くいられなくてごめんなさい』と帰っていくそうです」

全面的な信頼感は、結婚当初からまったく変わっていませんが、ときどきエリカさんは心がモヤモヤするそうです。

「夫と自分を比べてしまうこともあります。夫は大らかで寛容だけど、私は近所の奥さんにイライラしたり、感情的に子どもを怒ったりしてしまう。明らかに人としての器が小さい。こんなによくできた夫に、私のような妻は不釣り合いなのではないかと思うこともあります」

それが高じて、「私はここにいていい存在なのかしら…」と考え込んでしまうときもあるそうです。少し落ち込んでいると、夫がいち早く察して「疲れてるんじゃない?」と声をかけてくれますが、それさえうっとうしいと感じ、そう感じた自分を嫌悪するという悪循環に陥ります。

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「夫は強烈なポジティブ思考ではないのですが、人間はつねに前を向いて頑張るべきと思っているんですよね。私はどちらかというとネガティブ思考だから、自分がへこんでいるときに穏やかな表情でイキイキする夫に疎外感を覚えます。暑苦しい感じの人なら、『うるさい、少し放っておいて!』と言えるけれど、夫は心からの親切心で気遣ってくれる。文句は言えない。それも私のわがままなんでしょうけど…」

あまりに優秀で完璧な人が近くにいると、たしかに自分を顧みて落ち込んだり卑下したりしてしまうことは、誰にでもあるでしょう。でもそれが「夫」なのがつらいところかもしれません。

「なんでそんなにいい人なのよ、キーッ!!」と言うことができればラクになれそうですが、今の状態が続くと、エリカさんの自己評価が下がっていきかねません。夫と自分は違う人間だからとくらべずに「ダメな自分も自分」と、受け入れることが大事なのではないでしょうか。

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※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元にストーリーを紡ぐコラムです。

文/亀山早苗イラスト/もちふわ

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