【三浦愛の突撃ドライビング取材/第5回】平川亮選手に聞く、速さに結びつく“学び”とアウトラップのコツ

【三浦愛の突撃ドライビング取材/第5回】平川亮選手に聞く、速さに結びつく“学び”とアウトラップのコツ

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  • 更新日:2021/10/14
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2021年もスーパーフォーミュラのピットリポーターを務めるほか、レーシングドライバーとしてスーパー耐久をはじめとしたさまざまなカテゴリーに参戦中の三浦愛さん。今シーズン、オートスポーツwebでは、三浦さんの目線で気になるスーパーフォーミュラドライバーに突撃取材を敢行し、同じドライバー目線で気になることをぐいぐい質問していく企画『三浦愛の突撃ドライビング取材』を不定期でお届けしております。

第5回目の突撃取材ターゲットは、carenex TEAM IMPULの平川亮選手。スーパーフォーミュラ、スーパーGTでの活躍はもちろんのこと、今シーズンはWEC世界耐久選手権のハイパーカーのテストにも参加するなど、今注目が集まるドライバーのひとりです。

実は三浦さんは、平川選手と同じカテゴリーでレースをしていた経験があり、今季はスーパー耐久で同じST-Zクラスに参戦する“ライバル”でもあります。そんな平川選手に聞いてみたいこととは?

「平川選手とはスーパーFJ、フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン(FCJ)と走っていました。彼が全日本F3選手権やポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)を走っているときも、周りが『すごい新人が出てきた!』と騒いでいたのを覚えています。私も同じころに四輪デビューをして、平川選手の走りを目の当たりにして“ただただ凄い人”と思っていました。それでも、裏ではいろいろな努力をされているということも聞いていたので、具体的にどういうことをしていて、それをどうやって速さに結びつけているかを知りたいなと思いました。特に、ここ最近は強さが際立っているというのが印象的です。どんな秘訣というか努力をされているのかというのを、今回は取材したいです!」

それでは、三浦さんと平川選手のドライバーズトークをお楽しみください!

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2021スーパーフォーミュラ第5戦もてぎ 平川亮(carenex TEAM IMPUL)

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三浦:最近は海外にも行ったり来たりの生活かと思いますが、体調とかは大丈夫ですか?

平川:体調は良いと思います。あまり気にしたこともないですね。もちろんレースが終わってからは疲れているなと思うときはありますけど、そのときはしっかりと睡眠をとるようにしているので、大丈夫です。

三浦:今回、平川選手にお聞きしたいことをいくつか用意してきたので、よろしくお願いします!(緊張気味の三浦さん)

平川:はい、お願いします。

三浦:私もスーパーFJとかFCJに一緒に走らせてもらいましたし、そのときから周りから『すごい新人が出てきた!』と話題になっていました。もちろん、ここに辿り着くために、努力してきたこともたくさんあると思うのですが、具体的には何をやってきたのでしょうか?

平川:やはりFCJのときは、クルマがみんな一緒なので、ドライビングで何とかするという部分がありましたね。そこで速さを見せていくというのが大事だったのですけど、F3とスーパーフォーミュラに上がってきたら、ドライビングだけではどうにもならなくなってきて、そこで壁に当たってしまった感じはありました。その当時、ロイック・デュバル選手と一緒に組んでいたのですけど、彼が速く走れているのに、自分がまったくタイムを出せなくて、悩んだ時期もありました。

三浦:そうなのですね!

平川:それはまったくクルマ(のセッティング)を作れなかったのが原因でした。そこに気づくまで、けっこうな時間がかかりましたけど、それがわかってからは、クルマのセットアップとかもしっかり勉強するようになりました。そこに関しては、ここ3~4年は特に力を入れています。

三浦:じゃあ、昔からスピードはありましたし、チャンピオンも獲ったけど『いけてるな!』とは思っていなかったということですか?

平川:自分ではそう思ってはいなかったですけど、今振り返ってみたら……自分の言うのも変ですけど、凄かったなと思いますね(笑)あのときは流れも良かったですし、若いなりに考えすぎずに、感じた通りに走っていたのかなと思います。

三浦:でも、そういうところから挫折とかもあったと思います。そこから具体的にどういうふうに立て直して、成長させていきましたか?

平川:うーん、そうですね……。一番は、やはりニック・キャシディとの出会いですね。彼はクルマのセットアップがすごく上手ですよね。これを言ったら、たぶんニックが怒るかもしれませんけど、ドライビングでは僕の方がたぶん速いと思います。でも、ニックはクルマを作るのがすごくうまくて、そこで『こういう視点もあるのだな』と学んだこともありました。そこから、セットアップのことについて勉強とか、いろいろなことを試すようになりましたね。

三浦:ちなみに、セットアップをしていくなかで、エンジニアさんとコミュニケーションを取っていくと思いますが……これは私の勝手な印象なのですけど、平川選手は口数がそんなに多くない感じがしますが、セットアップの話をするときは、どのような感じなのでしょうか?

平川:スーパーフォーミュラとかも最初に出ていたころは、そこがうまくできていないなというか、うまく伝わっていないなというときがありました。でも、勉強してからは、変わりましたね。今はウイングの角度が何度になっていて、なにがどう付いているかがわかっているので、そこの数字を聞けば、どういう感じかというのは理解できます。だから、そこの部分では話していて誤差が生じることはないですね。

三浦:そういうセットアップの勉強もそうですし、海外に行ってテストに参加したりレースに出たりとなると、英語の勉強なども必要になってくるかと思います。日々時間がないなかで、その辺はどういうふうに意識して取り組んでいますか?

平川:やはり、シーズンに入ったら、勉強する時間はありませんね。あとは、各レースに関しては2~3週間前にエンジニアさんとミーティングをして、前回の反省とかも含めて話し合います。スーパーフォーミュラだと大駅(俊臣)エンジニアと2人でやるのですけど、長いときは3~4時間くらいは話し込むことがありますね。それくらい、しっかりと理解を深めます。それ以外のときも思いついたことがあれば、連絡をして話をするようにしています。

あとは昨年のレースとかを観たりして、どういう展開だったとか、どのような作戦をとっていたか、シミュレーションじゃないですけど、事前に頭に入れるようにしています。レース中も走りながらどういう感じで周りが走っているのかがわかりやすいので、そこは欠かさずやっています。

レースウイークになったら、細かいアジャストしかできないので、しっかりとドライビングに集中するようにしていますね。

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平川亮(carenex TEAM IMPUL)

三浦:平川選手はいろいろなカテゴリーに参戦されていて、S耐では私と同じST-ZクラスでGRスープラに乗っていますけど、正直今の私が壁だと感じているのが、クラス違いの遅いクルマを抜いたり、速いクルマを抜かせたりするとか、アウトラップでのペースが悪かったりするところです。そういうところのコツみたいなのがあれば……教えてほしいなと思うのですけど(汗)

平川:アウトラップは練習するしかないです。冷えたタイヤを積極的に使って、飛び出しても良いところとかでブレーキを我慢してみるとか、いろいろと試してみると良いかもしれません。

三浦:ブレーキング、ですか……。

平川:やはりブレーキで差がついてしまいます。ブレーキングが早いと、そのコーナーでコンマ数秒遅れて、次のコーナーにいくと1秒遅くなって……というふうになっていきます。そこで速いドライバーは、最初のコーナーからタイヤが冷えている状態での限界をついていくので、そこに少しでも早く到達できるように練習するしかないのかなと思います。S耐のGRスープラはABSがあるので、あまり関係なくいってしまっている部分もあるのかなと思います。

S耐では、いろいろなドライバーがいるので、プロが乗っているのか、ジェントルマンが乗っているのか、それを後ろから見て、動きで判断しないといけません。そこは気をつけるポイントだと思います。

三浦:けっこう周りの動きや、相手の動きに判断して、合わせていく感じなのですか?

平川:そうですね。この人は、このコーナーはあまり速くなさそうだから、ここで抜いてしまおうとか。プロが乗っていそうだから、このコーナーはついていって、次にコーナーで抜くとか。今抜いたら逆にタイムロスになるから、やめようとか……。その辺のコンマ何秒の積み重ねなのですよね。それが1周に2~3回あったらも簡単に1秒差がついちゃいます。

三浦:なるほど……。

平川:逆に上のクラスの相手が差してきたら、小さいラインなりに限界を走らなきゃいけないとか、その辺は微妙なタイミングで変わりますけど、そうした積み重ねだと思います。

三浦:最後に、この取材ではおきまりの質問になっていますけど、師匠や恩師みたいな方はいますか?

平川:特に“この人”というのはいないですね。お世話になった方はたくさんいらっしゃるので。恩師という意味だと、スーパーGTでは舘(信秀)さんですね。舘さんが僕を選んでくれて、そこからGTに乗って今があります。SFだと星野(一義)さんが僕を選んでくれましたし、たまに喝を入れたりしてくれます。そういう方はたくさんいらっしゃるので、誰というのは、なかなか決めづらいですね。

三浦:ありがとうございます!すごく勉強になりました!

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同じドライバーとして、気になるポイントをぐいぐい突っ込む三浦愛さん

【インタビューを終えて/三浦愛さんの感想】

「“気持ちに余裕を持ってサーキットに入る”という部分は、見習わなきゃなと思いました。そのために事前にいろいろな準備をされていると思うのですけど、それが平川選手のなかで習慣化しているというか、やろうと思ってやっているのではなくて、自分の仕事として当たり前にやっている。その意識の高さは見習わなきゃなと思いましたね」

「自分もレースが近づいてくると、気持ちが高ぶってきますけど、それ以外のときはどうしてもダレてしまいがちです。平川選手はそういうときもずっと意識をして、先を見据えて準備されているのだなと思いました」

「あとはスーパー耐久で同じ車種、同じクラスで走っているということもあって、自分のドライビングに直結できるような、それこそ次のレースから使えるようなことを教えてもらえて良かったです」

次回もスーパーフォーミュラに参戦するトップドライバーに、突撃インタビューを予定。今度は誰に、どんな質問をするのか……お楽しみに!

【プロフィール】
三浦愛(みうら あい)
1989年生まれ。レーシングカートで実績を重ね、フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権などに参戦。2014年には全日本F3Nクラスで日本人女性初優勝を飾った。2021年はスーパー耐久、フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップに参戦しつつ、スーパーフォーミュラではテレビ中継の現場解説を務める。
三浦愛 公式HP:https://ai-miura.com/

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平川亮(carenex TEAM IMPUL)にインタビューする三浦愛さん

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