マンション価値を大幅に下げる...「マンション管理会社」ビジネスの“深すぎる闇”

マンション価値を大幅に下げる...「マンション管理会社」ビジネスの“深すぎる闇”

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2021/10/14
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マンションの管理会社のなかには、管理組合に情報がないのをいいことに、不当に高額の「中抜き」をして、他社に業務を発注しているところがある(中間マージン)。発注先からバックマージンを得るケースもあるというが、さらに別の手法で利益を得て、結果、マンションの入居者に不利益を負わせている場合もある。詳細を取材した。

【前編】「タワマンが「まさかの維持費値上がり」で1000万円も下落…60代男性を襲った「恐ろしい悲劇」

管理会社の受け取る「マージン」が大きい

これらの中間マージンやバックマージンなどの表に現れない収益の方が、「管理報酬」や「事務管理業務費」などの管理会社が目に見える形で受け取る利益よりはるかに大きいという。別所氏が続ける。

「他にも、小さな修繕工事や例えば防犯カメラなどの設備更新事業なども、協力会社から紹介手数料を受け取ります。相見積もりをとっていても、その見積もり先は管理会社が紹介手数料を得られる業者を“選定”しているのです。特徴的なのは、相場の分かりにくい事業や工事に管理会社の利益が多く含まれる傾向があることです。また、社員には実質的な営業ノルマも存在しており、分譲親会社を持たない独立系の管理会社はノルマが厳しい傾向にあります」

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〔PHOTO〕iStock

マンションにおいては、様々な設備更新や事業が「予防保全」を大義名分にスケジュール化されているが、更新間隔が短すぎたり、事前の更新自体が不必要で故障してからでも遅くない項目が多かったりするのも実情だ。

大規模修繕も必ずしも12年周期でなくても、状態を見て周期を延ばすという考え方も増えてきている。

「理事会での管理会社の提案自体、『営業』の側面があることも忘れてはいけません。予算計上の報告でも、例えば『防犯カメラ 200万円』など、項目と値段だけで、仕様や数量、品番すら書いていない場合も多いのですが、これだと金額の妥当性を検証できません。こういう見積もりを出してくる時点で、危険な会社であるサインと見るべきです」(前出・榊氏)

管理会社の粗利30%

このようにして得られる管理会社の利益分は、分譲時から管理費の減額に着手していない物件であれば、少なくとも年間の管理費のおよそ30%以上を占めると見られる。実際、マンション管理会社の決算を見ると、デベ系や独立系にかかわらず、顧客マンションの管理費や修繕費などを原資とした売り上げから25%程度の売上総利益(粗利)を得ている会社が多く、これは全業種と比べても高い部類に入る。

しかもあくまで30%は平均のため、物件によってはさらに割高な契約も少なくないだろう。ちなみに某大手財閥系が手がける高級マンションシリーズでは、物件のサービスの仕様や条件がほとんど変わらなくても管理費に1.5倍近い差があるケースも確認できる。築年数は違えど、委託管理契約は通常1年契約なので、同じシリーズ内でも割高な契約の物件があるのは区分所有者としては納得できないだろう。

それでは、管理会社自体の主な実務には何があるのかというと、十数年に一度の大規模修繕や設備更新や各種工事の提案のほか、「事務管理業務」に含まれる理事会支援や、外注先との調整業務やクレーム対応だ。一見大変そうにも思えるが、こうしたフロント業務を担う社員は1人で10棟以上の担当物件を受け持つことが一般的だ。

逆に考えると、管理会社が一つの物件に要する労力や人件費は実際にはわずかだと言える。クレームなどが比較的少ない投資用マンションなどでは1人が30棟近く担当する場合もあるという。「担当者が多忙で退職者が多いくらいマンション管理会社は大変だ」という声も聞くが、そもそもの担当物件を抱えさせすぎるという裏返しでもあり、経営上の問題だとも言える。

タワマンはコスパが悪い

そういう意味で特に管理組合にとって管理会社との契約のコスパが悪いのがタワマンなどの大規模物件だ。戸数が多くなっても理事会の回数自体は変わらず、対応する協力会社の数も戸数の多さに比例しないからだ。

シミュレーションしてみよう。仮に500戸で管理費が分譲時から変わらず月2万円の高級タワマンがあったとすると、月の管理費総額は1000万円。そのうち、管理会社が得る粗利はブラックボックスである中間マージンやバックマージンを含めれば軽く、毎月300万円は超える。それに対し、管理会社の労力は決して大きいわけではない。

前出の榊氏も「実は大規模マンションほど、管理会社を介さず、外注先を直契約に切り替えて自主管理にした方が合理的な運営ができます。確かに安易な自主管理はお金の管理や理事長の暴走など危険な面もありますが、管理組合を法人化し、外部監査や顧問を定額で導入するなど、ガバナンスの向上や透明性を高めて自主管理で成功している事例もあります」というほどだ。

管理費は削減が可能

一方で、こうした管理会社が手にする多額の利益部分などを原資に、管理費の削減をすることも可能だ。分譲時から一度も削減に着手していないマンションは、外部コンサルに頼んだり、リプレイス(管理会社の変更)などでマンションの管理費削減に取り組むと、概ね20〜30%か、それ以上の管理費削減が可能であることが多いという。

「大体、独立系の管理会社が3割ほど安い金額を提示し、現在の管理会社がそれに合わせて下げてくるか、もしくは値下げを提示した他社にそのまま乗り換えるかのパターンになります。ただ、独立系は月の管理費が安い分、大規模修繕やその他、小規模事業の提案で利益を確保しようとします」(前出・別所氏)

高額な事業については、面倒でも管理会社を通さずに直発注するなど、対策は必要のようだ。

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このようにして管理費削減に成功した実例を紹介しよう。横浜市のマンションで基礎杭が支持層まで到達しなかった問題で、今年、建て替えが完了した「パークシティLaLa横浜」も実は30%もの管理費減額にも成功している。当時、修繕委員として改革を主導した太田哲次元理事が言う。

「管理会社は分譲も手がけた三井系なのですが、傾き問題が発覚するまでは、コンサル会社と契約して管理費削減に取り組んでいました。管理が『安かろう悪かろう』になっても困るので、減額をした他のいくつかの物件の見学と理事らにヒアリングをした結果、むしろ管理の質が良くなったという声が多かったのです。最悪、元鞘にも戻れるし、削減計画の費用も成功報酬で持ち出しもないので、デメリットより今後ずっと安くなるメリットの方がはるかに大きいと感じました」

太田氏が続ける。

「元々の管理費も平均くらいで、決して高くはなかったのですが、『管理体制の現状維持』を条件に、独立系や財閥系など複数の大手管理会社に見積もりを依頼しました。すると、概ね約30%程度下げた見積もりが上がってきました。内訳を見ると、特に値下がり幅が大きかったのはエレベーター及び立体駐車場の保守費用で、各社独立系メンテ会社への切り替えで半額近くになっていました。

それで最終的に現行の三井系の管理会社が、意地があったのか同程度まで下げてきたので、今までの安心感から管理会社は変えずに30.5%ダウンで再契約しました。建て替えが終わった今は消費税や人件費等物価上昇も反映して若干上がりましたが、それでも首都圏平均(191円/平米)より安く、700戸超の大規模マンションで共用施設も多いのですが、管理費は168円/平米くらいです。

今はそのコンサル会社と月々10万円で業務監査をしてもらっています。目を光らせてくれているので、管理会社の不用な提案自体がなくなったと同時に補修工事等の見積チェックをしてもらっている結果、従来の管理会社の指定業者と比べコストが大幅に削減されたと感じています」

ほかの管理会社へ見積もりを頼む

管理費の減額だけであれば、コンサルを利用しなくても、一番手っ取り早いのが他の管理会社への見積もりだ。

「単純に『値下げしてくれ』だけでは相手にされません。今ではネットで総会資料で確認できる管理項目を入力して複数社で一括見積もりができるサービスがあります。理事でなくても、その結果を総会などで提示すれば、検討してくれる可能性もあるでしょう。またコンサルも当たりはずれがあり、中には利益相反まがいな悪徳もいるので見極めが重要です」(不動産関係者)

管理費減額やその他の改革にせよ、肝心なのが理事会メンバーへの根回しと区分所有者の合意形成だ。いくら正論をかざして改革を訴えても、合意形成が取れていないと成功は心もとない。最悪の場合、クレーマーや面倒な人扱いされてしまいかねない。

特に管理組合を運営する理事会には管理会社の担当者も同席し、結局、多くの理事は、管理会社担当者の意見が正しいと考えてそちらに流されてしまう。太田元理事が助言する。

「合意形成で重要なのは、管理会社が難色を示しそうな議題の時には、管理会社の担当者がいない場であらかじめ、意見集約しておくことです。我々は元々、住民間でコミュニケーションが密でしたし、理事会でそういう議題の時は管理会社の担当者には退席してもらっていました。

そうしないと、理事も大半は素人なので、管理会社の意見に影響され、せっかくの計画も流れてしまいます。大規模なマンションであればコンサル会社と契約するのも一つの方策ですし、区分所有者のなかで建築業や宅建業など知見のある人を探して理事会の下に改革のための委員会等を設けるのも一つの方策ではないでしょうか」

このようにして、損しない管理体制が固まれば、資産価値を高めるための積極的な運営管理も重要だ。特にタワマンは共用施設を十分に生かし切れておらず、運用面もやたら保守的で、設備投資もしないので、築年数が経つと陳腐さを感じるようになる。夜景が綺麗と謳っているスカイラウンジの利用時間が予約制で21時までしか使えないなど、使い勝手が悪いマンションも多い。

「管理会社や理事会は共用部分のサービスを充実させても金銭的メリットがない割に、問題が起きると批判の対象となるため、抑制的な運用にならざるを得ません。共用施設に魅力がなく、十分に生かされていない現状には、こうした管理側の体質もあるのです」(前出・別所氏)

しかし、こうした部分の改善こそ資産価値のアップに直接的に貢献するという。

「一般的に物件の資産価値は『収益還元法』に大きな影響を受けます。つまり賃料が高く取れるような人気物件は資産価値も高くなるのです。その点、既存物件の賃料を高めるには共用部分の充実化しかないのです。特にタワマンの賃借人は移り気ですぐ引っ越してしまう傾向があるのでサービスの向上は必須です。

必要性がほとんどないコンシェルジュは廃止されることも多いのですが、タワマンらしさの象徴でもあり、憧れを持つ人には欲しいアイテムです。用途変更も積極的に行うべきで、利用頻度が減ったキッズスペースをコワーキングルームに改修したりすれば住民は喜ぶでしょう。費用に関しても大規模物件のスケールメリットがあるので住戸あたりで考えると、大した負担になりません。資産価値向上への投資と考えるとコスパが良いのです」(不動産コンサルタント)

長い目で見ると、資産価値の維持・向上には管理を見直すのが王道だ。

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