夢にチャレンジする人が多い高円寺をスタートの場所に選ぶラーメン店も少なくない。高円寺に1号店を開いた後チェーン展開を果たしたり、若く意欲的な店主が個性的な味のラーメンや店舗作りで勝負したり。店を続けるうちに地元住民から強く愛されてきたラーメン店を紹介しよう。
秘伝の味噌ダレがポイント。『味噌ラーメン専門店 味噌一 高円寺店』
『味噌ラーメン専門店 味噌一 高円寺店』は1993年にオープンし、2023年には30周年を迎える。月曜日は21時閉店だが、他の曜日は明け方5時まで営業していて、深夜に働く人にも人気だ。
圧倒的な人気メニューは、シンプルな味噌一らーめん800円。オリジナルの味噌ダレがポイントで、レシピは社内でも一部の人だけが知っている。シャキシャキした食感のもやしや豆苗、コーンが彩りよく盛り付けられて、ぱつんと歯切れのいい太麺も食べ応えがあっていい。

『味噌ラーメン専門店 味噌一 高円寺店』では、入り口付近に味付け玉子、火吹きメンマ、火吹きもやしが置かれている。セルフサービスでカンパとして小銭を缶に入れると食べられるメニューだ。集まったお金は交通遺児育英会や埼玉のNPO、松ぼっくりの会に寄付されている。

セルフサービスメニューと年季の入ったカンパ缶。
『味噌ラーメン専門店 味噌一 高円寺店』店舗詳細
味噌ラーメン専門店 味噌一 高円寺店(みそらーめんせんもんてん みそいち こうえんじてん)
住所:東京都杉並区高円寺南2-35-15/営業時間:11:00~翌5:00(月は~21:00)/定休日:無/アクセス:丸の内線東高円寺から徒歩6分、JR中央線高円寺駅から徒歩13分
シンプルなメニューでも満足感あり『麺処 田ぶし 高円寺本店』
2003年に高円寺に1号店をオープンした『麺処 田ぶし』。今やインドネシアのジャカルタにまで店は広がり、焼き鳥店やビストロ居酒屋などを含む飲食店企業に成長した。

本家 田ぶし らーめんは850円。普通盛りでもなかなかのボリュームだ。
本家 田ぶし らーめんは、チャーシューに卵、メンマとネギ、ノリとラーメンらしい具材がのって、ラーメンを食べるぞという気持ちが盛り上がる。
具材以上に、魚介の旨みと香りで香ばしく仕上がった自慢の香味油と店舗ごとに作るもっちりした麺が決め手。もちろんスープも自慢で、2日かけて完成させている。
さらに腹ペコで訪れた人に嬉しいのが大盛り無料というサービスだ。対象はつけ麺も含む全てのラーメンのメニューだ。「7、8割の人が大盛りを頼みますね」というから、若い人が多い高円寺らしい。

お店があるのは高円寺中通商店街。
『麺処 田ぶし 高円寺本店』店舗詳細
麺処 田ぶし 高円寺本店(めんどころ たぶし こうえんじほんてん)
住所:東京都杉並区高円寺北3-2-17/営業時間:11:00~22:45LO/定休日:無/アクセス:JR中央本線高円寺駅から徒歩2分
飲んで食べて締めにラーメンを『二階麺肴酒店 黒黒黒』
『黒黒黒』と書いて“ミクロ”と読ませる『二階麺肴酒店 黒黒黒(にかいめんさかなさけてん ミクロ)』は、「お酒を飲みながら中華料理や懐かしさのある一品料理をつまみ、ラーメンで締める」スタイルの店だ。
豚足は、紹興酒とブランデー、数種類のスパイスを使ったタレを注ぎ足しながら、長時間煮込んで仕上げている。マーラーよだれどりは、鶏胸肉が程よく柔らかい。そして意外な組み合わせのザーサイセロリがさっぱりと箸休めにちょうどいい。

スパイスチューハイ550円、マーラーよだれどり650円、ザーサイセロリ450円、豚足500円。席料が別途100円かかる。
忘れてならない締めのラーメンの代表格、煮干し中華そばは、煮干しと昆布を煮出したスープに、配合にこだわった4種類の醤油をブレンドしたカエシを加えている。スープのストレートな醤油味と、煮干し由来の苦味のコンビネーションは「お酒のあとにいいんですよ」とスタッフさん。

煮干し中華そば850円。
『二階麺肴酒店 黒黒黒』店舗詳細
二階麺肴酒店 黒黒黒(にかいめんさかなさけてん ミクロ)
住所:東京都杉並区高円寺南3-57-7 高島ビル2F/営業時間:19:00〜25:00LO/定休日:無/アクセス:JR中央本線高円寺駅から徒歩4分
スパイスたっぷりでオリジナリティあり『混ぜそばみなみ』
『混ぜそばみなみ』の台湾混ぜそばは、スパイス使いが特徴だ。パウダー状の八角、花椒、桂皮、クローブを混ぜた台湾の伝統的なミックススパイス、五香粉をベースとして、別途粗挽きの黒胡椒とコリアンダーシードを加えている。コリアンダーシードは、注文が入ってからカウンターに置かれたミルで挽いて、生のまま加えている。

台湾混ぜそば850円。匂いが気になる人は刻みニンニクなしも可能。大盛り無料。
具として盛り付けられているのは、味をつけたミンチ肉、ニラ、ネギ、ニンニク、魚粉など。表面がツルツルしていて喉越しのいい麺を口に入れると、最初のひと噛みで、粗挽きのスパイスの香りや食感を感じる。その驚きを演出したくて、生のままコリアンダーシードを使っているのだ。具の粗挽き肉、野菜などは混ぜられて渾然一体となっているが、口のなかでそれぞれが程よく主張するのも楽しい。

コリアンダーシードはコーヒー用のミルで注文ごとに挽いている。
『混ぜそばみなみ』店舗詳細
混ぜそばみなみ(まぜそばみなみ)
住所:東京都杉並区高円寺南4-7-5 久万乃ビル103/営業時間:11:00~23:30/定休日:無/アクセス:JR中央本線高円寺駅から徒歩3分
辛さとシビレが選べる「赤」ラーメンが名物の『麺昇 神の手』
新高円寺のラーメン店『麺昇 神の手』では、常連さんたちはラーメンを色で注文する。通称「赤」と呼ばれる四川風辛味噌ラーメンのほか、醤油ラーメンは「黒」、味噌ラーメンは「黄」、ホワイトソースを使った「白」と、バラエティが豊富だ。「赤」こと四川風辛味噌ラーメンは、唐辛子と山椒の量を選べる。抜、少、普、増、天国とそれぞれ5段階にカスタマイズ可能だ。
辛さとシビレが魅力の四川風辛味噌ラーメンは、食べ終わった後も特にシビレの余韻がしばらく続いて、心地いい。

四川風辛味噌ラーメン「赤」850円。唐辛子も山椒も普(普通)。
店主が長く修業した鉄板焼きのメニューも充実。ラーメンのサイドメニューとして餃子も人気だ。餃子はもっちりとした皮に野菜もたっぷり入った餡がぎっしり詰まっている。鉄板焼きの要領で、じっくり10分ほど、何度か水を垂らしてふっくら仕上げている。

餃子480円。やっぱりラーメンと餃子の相性はバツグン。
『麺昇 神の手』店舗詳細
麺昇 神の手(めんしょう かみのて)
住所:東京都杉並区梅里1-18-12 ニュー高円寺コーポラス102/営業時間:11:30~13:30LO(土日祝 ~14:30LO) 18:00~23:30LO/定休日:月(月が祝日の場合は翌火)/アクセス:地下鉄新高円寺駅から徒歩4分
取材・文・撮影=野崎さおり