47分の大遅延! 山手線「せき払い」トラブルに見る、コロナ禍の悲しき日本人の姿

47分の大遅延! 山手線「せき払い」トラブルに見る、コロナ禍の悲しき日本人の姿

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  • 更新日:2022/06/23
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電車内のイメージ(画像:写真AC)

6月17日早朝に山手線で発生

先日、乗客のせき払いが原因で、山手線が47分にわたり遅延したトラブルがインターネット上で話題になった。

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ことが起こったのは、6月17日午前5時半ごろ。JR山手線田町~高輪ゲートウェイ間の外回り電車内で男性がせき払いをしたところ、女性に注意され口論に発展。男性が非常停止ボタンを押し、高輪ゲートウェイ駅で駅員が乗り込み、ふたりは品川駅で降ろされた後、その場を立ち去ったという。この影響で、約2000人の乗客に影響が出た。

電車内にトラブルは付き物だが、電車が遅延して乗客に影響が出ることは、いったいどの程度起きているのか。国土交通省のデータを見ても遅延理由は記載されていないし、鉄道会社もそのような資料を公開していない。

そんな計測を試みたのが『東洋経済四季報速報』2018年2月20日付の記事だ。

この記事では「東急線運行情報」という東急の公式ツイッターアカウントを使って、過去2年間のツイートから、15分以上の遅延の原因を分析している。その結果、2016年2月7日から2018年2月6日までの間で、田園都市線では

・15分以上の遅れや運転見合わせ:91件
・月平均:3.8件

発生しているとわかった。

遅延理由は、

・人身事故:22件
・乗客救護:8件
・線路内立ち入り:8件
・線路内安全確認:6件

となっている。

乗客同士のトラブルによる遅延は、なんと1件だけ。これは雪、ポイント故障と同じで、極めてレアケースだった。

東急線運行情報では15分以上の遅延のみをツイートしているので、乗客同士がトラブルになっても、10分以内に電車から下ろすなどして解決しているのかもしれない。そうだとしても、乗客同士のトラブルが原因で列車が遅延することは明らかに少ないといえる。

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列車非常停止ボタン(画像:写真AC)

過去に起きた乗客同士のトラブル

新聞に報道された、過去の乗客同士のトラブルを振り返ってみよう。

2021年2月27日、北陸新幹線の富山~黒部宇奈月温泉間で男性が「スーツケースがぶつかった」として持ち主の女性と口論に発展した。女性が危険を感じて非常通報装置を押したため、新幹線は約10分間緊急停車。その後、黒部宇奈月温泉駅に到着し、駆けつけた警察が男性を降車させるまで約20分間停車した。

2010年12月7日、総武線上り電車の本八幡~市川間で、電車内で携帯電話を使っていた40代の男性会社員が60代の男性会社員に注意されるというトラブルが発生した。朝のラッシュ時で電車内は混雑していたが、ふたりの口論はヒートアップ。市川駅で大勢の乗客が乗ってきても治まらず、近くにいた乗客がホームの非常停止ボタンを押した。

この事件は朝のラッシュ時に起きたため、総武線は上下線計47本が運休し、うち28本に最大で19分の遅れが発生、約7万人に影響が出た。当時の報道では、JR東日本千葉支社が損害賠償を検討しているとある。その後、実際に請求されたかは不明だが、電車内でトラブルを起こせば、巨額の賠償金を背負う可能性も否定できないのだ。

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電車のつり革(画像:写真AC)

コロナ感染拡大以降の特徴

ただ、報道されないものの乗客の迷惑行為が原因で警察が出動するケースは、日常的に発生している。

広島県の広島電鉄の事例を見ると、2019年から2022年までの間、乗客同士が口論になるなどして警察が出動したケースは15件ある。たいていは列車が大幅に遅延にしていないため、報道されるには至っていない。

一方、新型コロナウイルス感染拡大以降、電車内ではマスクを着用せずに乗車したり、大声で話していたりしたことが発端となって、トラブルに発展するケースが相次いでいる。

2021年に日本民営鉄道協会が実施した調査では、電車内や駅で乗客が迷惑と感じる行為として

「騒々しい会話やはしゃぎまわり」

が最多の39%となっている。

冒頭で触れた山手線の事例のように、感染拡大以前はあまり気にされなかったことに敏感になる人は多く、それがトラブルの火種になっている。ちなみに同調査では、

「座席の座り方」(39%)
「乗降時のマナー(扉付近で妨げるなど)」(30%)

などが迷惑行為としてあげられている。

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電車に乗るビジネスマン(画像:写真AC)

未来の「財務省トップ」も逮捕

こうした迷惑行為に遭遇したとき、鉄道会社が推奨しているのは当人たちへの直接的な注意ではなく、

「乗務員に声をかけて任せる」

ことである。

言うまでもなく、電車内で権威のある乗務員が対応することで、問題が大きくなるのを防ぐことができるためだ。乗務員で収集ができないと判断された場合は、各社ともに警察に通報するとしている。

また、乗務員がすぐに対応できない場合は、電車内のSOSボタンをためらわずに押すことも推奨されている。ボタンを押せば列車は停止し、乗務員が駆けつける。

ちなみに、被害が自分に及びそうなときは

「近くの車両に避難してからボタンを押す」

のが賢い使い方だとのこと。

監視カメラなどが整備されるなか、電車内で迷惑行為や暴力沙汰を起こしても逃げることはできない。公共の場でのマナーには気を付けたいものだ。誤った振る舞いが、一瞬にして当人のキャリアを台無しにする。先日、未来の「財務省トップ」が酔って電車内で乗客を殴り、逮捕されたばかりだ。

小西マリア(フリーライター)

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