アマゾン、社員向け医療サービスの外販本格化

アマゾン、社員向け医療サービスの外販本格化

  • JBpress
  • 更新日:2021/06/11
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(写真:アマゾンHPより)

米アマゾン・ドット・コムが医療サービス「アマゾン・ケア(Amazon Care)」を提供する契約を複数企業と締結したと、米ウォール・ストリート・ジャーナル米CNBCが6月9日に報じた。

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今夏に米50州へ、まもなく一部地域で対面サービス

ウォール・ストリート・ジャーナルのヘルステックに関するオンラインイベントでババク・パービズ副社長が明らかにした。今夏にも契約企業を公表する予定だという。事業拡大のために新たに数千人を雇用するとしている。パービズ氏は「できるだけ早く対象地域を広げ、将来は地方でも提供する」と意気込みを示した。

アマゾンは2019年9月、同名の医療サービス部門を立ち上げた。当初は実験プロジェクトという位置付けだったが、20年2月に本社のある米ワシントン州シアトルで社員と家族向けに本格サービスを始めた。専用アプリを通じ、ビデオ通話とテキストチャットによるオンライン医療相談が可能で、必要に応じて訪問診療・看護も受けられる。処方薬の配達サービスも利用できる。

アマゾン・ケアはこれまでワシントン州全域で社員と家族向けに提供していた。21年3月には規模を全米に広げ、他の企業にも提供すると発表。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アマゾンはまもなく首都ワシントンやメリーランド州ボルチモアなどの都市でオンラインと対面のサービスを開始する。今夏には米50州でオンラインサービスを始める計画だ。

アマゾンの医療関連事業については21年3月、米投資会社のバークシャー・ハザウェイ、米金融大手のJPモルガン・チェースと設立したベンチャー企業ヘイブン(Haven)が閉鎖されたと報じられた。ヘイブンは企業向け医療サービスの拡充を促進するものとして期待されていた。だが、ウォール・ストリート・ジャーナルの別の記事によると、事業は設立当初からデータの入手や、社員の高い離職率、曖昧な目標、予期せぬ競争といった問題を抱えていたという。

その一方で、アマゾンはアマゾン・ケアの事業規模を着実に拡大。今では全米展開を目指せるまでになった。

新型コロナ対策に数千億円

アマゾンは、新型コロナ対策として、これまでに数十億ドル(数千億円)を投じている。21年2月には、米国700カ所以上の検査施設で採取した現場従業員の検体を100万回以上検査したと明らかにした。

このほかワクチン接種会場も開設した。21年3月には米食品医薬品局(FDA)が、同社が開発したPCR検査キット「アマゾンCOVID-19コレクションキット」に対し、緊急使用許可(EUA)を出したと発表した。先ごろは、アマゾンがこのキットを使った検査サービスを始めると報じられた

オンライン薬局「アマゾン・ファーマシー」本格展開

アマゾンは社員向けクリニックを開設したり、オンライン薬局を立ち上げたりもしている。米CNBCによると、20年7月に、米医療サービスのクロスオーバーヘルスと提携し、社員向けクリニックを開設すると発表した。現在は、カリフォルニア州やテキサス州、アリゾナ州、ケンタッキー州、ミシガン州の計17都市で開設しているという。

同社は20年11月に米国で処方薬のネット販売「アマゾン・ファーマシー」を開始した。利用者はネットで服用履歴や健康状態、アレルギーの有無などの情報を入力して登録する。その後、医師などから処方箋をアマゾンに送ってもらう。アマゾンから届く通知に従い支払い方法を選んで注文すると数日後に配達される。プライム会員には翌々日までに無料で配達している。

アマゾン・ファーマシーの前身は、18年に約8億ドル(約900億円)で買収した米国のオンライン薬局企業ピルパック(PillPack)。患者が医師からもらった処方箋をネットで受け付け、複数の薬を服用時間帯ごとに分けて一包化し、米国内49州に宅配していた。

21年6月8日には、プライム会員向けに処方薬の割引き販売を始めた。半年間の服用分を注文すると、1カ月当たりの価格が最も安くで1ドルに(約110円)になるというもの。対象は糖尿病や高血圧の治療薬など。アマゾン・ファーマシーでは保険を使わずに購入する際、割引している。ジェネリック医薬品(後発薬)で最大8割引き、先発薬で最大4割引きとなり、保険の自己負担分よりも安くなる場合もあるとしている。

小久保 重信

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