原発の最大限活用 後処理問題、直視すべきだ

  • 福井新聞ONLINE
  • 更新日:2023/01/25

【論説】政府は、脱炭素の新たな基本方針で原発の「最大限活用」をうたい、東京電力福島第1原発事故後に「可能な限り依存度を低減する」としてきた政策を大きく転換した。原発を持続的に活用するというなら、必ず発生する使用済み核燃料の中間貯蔵や再処理、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分などバックエンド(後処理)問題を直視し、解決を図るべきだ。

基本方針では、原発を「出力が安定的で自律性が高い」として、脱炭素のベースロード電源と位置付けた。次世代型原発の開発、廃炉が決まった原発との建て替えを明記。具体化の前提として、「六ケ所再処理工場の竣工(しゅんこう)等のバックエンド問題の進展」を挙げた。

青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場は当初1997年完成の予定だったが、26回にわたり目標時期が延期されている。昨年12月に「2024年度上期のできるだけ早い時期」と新たな目標が示されたが、安定操業は見通せないまま。全国の原発から使用済み核燃料を搬出できず、サイト内にたまり続けている。

関電は、新規制基準に合格した県内原発7基全てが稼働し、今後も使用済み核燃料の搬出が一切ないと仮定した場合、高浜原発は5年、大飯原発は6年、美浜原発は7年で貯蔵プールが埋まると試算している。

政府は21年10月に改定したエネルギー基本計画で、「国が前面に立って」と繰り返し、貯蔵能力拡大など使用済み核燃料対策の抜本的強化に取り組むとした。

使用済み燃料貯蔵の逼迫(ひっぱく)は、今に始まったことではない。福島事故前の10年改定の同計画は、原発の大幅な新増設を打ち出す一方で、貯蔵能力が「中長期的に各発電所共通の課題」とされ、再処理まで保管する中間貯蔵施設の立地など広く対応策を検討するとしていた。しかし、10年余りの間、解決の糸口すらつかめていない。

関電は中間貯蔵施設を県外に立地する方針で、23年度末までに具体的な計画地点を示すとし、明示できない場合は運転開始から40年を超えた原発を運転しないと言明している。計画地点明示は、これまで2度先送りされた経緯があり、今回も具体的な動きは見えないまま、期限が迫っている。この間、国が前面に立つ姿勢はうかがえない。

国内で原発が運転を始めて以降、バックエンド問題は常に課題としてありつづけたが、半世紀余り先送りされてきた。原発回帰に踏み込んだ責任として、これ以上将来にツケを回すことはできない。

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