
ベンチ裏では意外な一面も?(時事通信フォト)
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が、日本を熱狂の渦へと包み込んだ。驚異的な視聴率を記録したが、テレビ中継には映らない侍ジャパンの“ベンチ裏”の様子はどうなっているのか。今大会の表も裏も知り尽くした4人の現役記者がタブーなしで語り尽くす!【全3回の第1回】
【写真7枚】ファインプレーで魅せたラーズ・ヌートバー。村上宗隆や大谷翔平なども
大谷が苦笑いした瞬間
在阪スポーツ紙デスクA:いやあ、正直WBCが日本中を巻き込んでここまで盛り上がるとは思わなかったよ(笑)。
スポーツ紙記者B:やっぱりエンゼルス・大谷(翔平、28)の効果は絶大ですよね。メディアも周りの友人もみんな「オオタニサン」「オオタニサン」の大合唱です。チーム内でも代表メンバーに積極的に声をかけていて、速攻で溶け込んでいました。
スポーツ紙記者C:特に巨人・岡本(和真、26)とDeNA・牧(秀悟、24)のことを気に入っていますね。事あるごとに岡本のことをいじったり、牧のツーブロックの髪を撫でたりして遊んでいました。
大谷は品行方正に見えて、実はいたずら好き。岡本と牧はチームで4番を打つ大黒柱ですが、癒し系のいじられキャラなので、相性がいいんだと思います。
スポーツ紙デスクD:大谷は日本ハムでプレーしていた時は、周りを引っ張るタイプじゃなかったんだよ。大将と呼ばれた中田翔(現巨人、33)がいたし、2015年の国際野球大会「プレミア12」でも先輩についていく感じの優等生タイプだった。2018年に海を渡ってメジャーで結果を出したことが自信となったんだろうな。日本ハムで一緒にプレーした選手たちが、大谷の“キャラ変”に驚いている(笑)。
在阪デスクA:大谷が出演する新CMがこのほど放送されて話題になっているけど、「コーセー」の美容液を愛用しているんだって? グローバル広告契約を結んでいるとはいえ、昔はオシャレに無頓着だったあの大谷がなぁ……。ほんとにキャラが変わったよな(笑)。でも、夜の繁華街とかには一切興味を示さず、野球一筋の姿勢は変わらないと聞く。
記者C:試合前の打撃練習では規格外の飛距離の柵越えを連発して話題になりましたが、エンゼルスの打撃練習ではあんなに強くスイングすることは、なかなかないですよね。相手チームも見ていますし、WBCというのを意識しているんだと思います。
記者B:ただ、大会関係者から「サインがほしい」という声があまりに多いらしく、苦笑いをしているという情報もあります。有名税というやつですね。ほかの選手も「もっと大会に集中したいだろうに」と同情しているそうです。
ササキを連れて帰りたい
デスクD:こうなると、パドレスと早々に話をつけて来日したダルビッシュ(有、36)が気の毒にも思えてくるよな。メジャー組で唯一、宮崎の強化合宿に初日から参加して、事実上の主将としてチームを盛り立てる存在だった。でも、WBCが開幕すると主役が大谷に移ってしまった。今やほかの選手は大谷にベッタリに見える。
記者B:それがそうでもないんですよ。「WBC使用球」の扱いに苦しんでいた投手が多かったのですが、ダルビッシュから助言を受けてみるみる改善した。投手陣はみんな“ダル信者”です。1次ラウンドで成績不振の選手に向けて、「野球なんて気にしても仕方ない。人生のほうが大事」とコメントしたことも、代表メンバーの励みになっています。人間的にも尊敬されていますし、先生みたいな存在ですね。
記者C:特にオリックス・山本(由伸、24)は、ダルビッシュの信奉者のよう。大阪ドームでの強化試合の時も山本が行きつけの高級焼肉店にダルビッシュを招待したらしいですし、1次ラウンド中もベンチで隣に座っていることが多かった。投球術やメジャーの情報などを聞いていたんだと思いますね。
在阪デスクA:山本は今年のオフにポスティングでメジャー挑戦が濃厚だしな。オリックスも流出を覚悟しているはず。侍ジャパンの試合にはネット裏にメジャーのスカウトだけじゃなく、GMクラスや代理人の姿も見える。そんななか評価を上げた筆頭が山本で、ドジャースのスカウトは宮崎の強化合宿まで足を運んでいた。メジャー挑戦となれば、複数球団の争奪戦になることは間違いないだろう。
記者C:山本だけでなく、ほかの投手たちもメジャーのスカウトからの評価は高いですよ。彼らは試合中にスピードガンで球速を確認していましたが、MLB公式球と同じである「WBC使用球」に対応できているかも重要なポイントだと言っていました。
そのなかで評価が高かったのが、ロッテ・佐々木(朗希、21)、DeNA・今永(昇太、29)、中日・高橋(宏斗、20)の3人。某球団のスカウトは「この3人はメジャーに来てもすぐに先発ローテーションで勝てる投手だよ。連れて帰りたいね」と話していました。
記者B:大谷の専属通訳・水原一平氏が、山本、佐々木、高橋、ヤクルト・村上(宗隆、23)のNPB組とカージナルスのヌートバー(25)とで食事をした写真をSNSにアップしていました。このメンバーですから、当然メジャーの話題も出たでしょう。ヌートバーは質問攻めにあったんじゃないですかね。将来メジャーでのプレーが有力視される選手にとって、実りの多い大会であることは間違いない。
(第2回につづく)
※週刊ポスト2023年3月31日号
NEWSポストセブン