6月から受給がはじまった令和4年度の年金額も確認

厚生労働省は、早ければ今夏にも基礎年金の目減りを抑える方策を検討する予定だと各種メディアで報じられました。
20歳以上60歳未満が原則加入する「基礎年金(国民年金)」。
少子高齢化が進んでも年金財政を持続させるためにマクロ経済スライドを導入したものの、基礎年金の給付水準が下がることが予想されており、それに対する対応が検討されるようです。
令和4年度の年金額は昨年度より0.4%減額となっており、今後の年金に不安を抱える方も多いでしょう。今回は基礎年金と厚生年金の平均額を確認しながら、基礎年金の平均額の推移についても見ていきます。
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【画像】基礎年金のげ平均の推移と厚生年金・国民年金の平均月額(出典:厚生労働省)
1. 基礎(国民)年金と厚生年金とは
まずは年金の基本について確認しましょう。

出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成
基礎年金は1階部分であり、20歳以上60歳未満が原則加入します。支払いができない方に向けて、「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」があるので、未納にせずに相談するといいでしょう。
厚生年金は、会社員や公務員が基礎年金に上乗せして加入します。パートの方の適用も拡大しているので、検討されるのも一つでしょう。
2. 基礎(国民)年金の平均月額はいくら?
ではまず、厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、平均的な受給額を確認します。

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
2.1 国民年金の平均月額
〈全体〉平均年金月額:5万6252円
〈男性〉平均年金月額:5万9040円
〈女性〉平均年金月額:5万4112円
基礎年金の平均は月5.6万円です。
自営業や専業主婦などが受け取る基礎年金ですが、これのみでは老後生活するのは難しいでしょう。早いうちから老後に備える必要があります。
3. 厚生年金の平均月額はいくら?
次に厚生年金を確認しましょう。

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
3.1 厚生年金の平均月額(受給者数1610万133人)
〈全体〉平均年金月額:14万4366円
〈男性〉平均年金月額:16万4742円
〈女性〉平均年金月額:10万3808円
※国民年金の金額を含む
厚生年金の平均は14.4万円。
しかし男女で6万円の差があります。
基礎年金とは違い、厚生年金は収入に応じた保険料を支払います。育児や介護などで離職する方もいるため、男女差は出やすいでしょう。
4. 基礎年金の平均額の推移と令和4年度の年金額
では、令和4年度の基礎年金と厚生年金の平均月額を確認します。

出典:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
基礎年金(満額):6万4816円
厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):21万9593円
令和4年度は昨年度より、0.4%減額されています。では、基礎年金の平均月額はどのように推移してきたのでしょうか。

出典:厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2021年12月)
2016年:5万5373円
2017年:5万5518円
2018年:5万5708円
2019年:5万5946円
2020年:5万6252円
月の平均額をみると、金額は上がっています。
一方で受給権者数も増えており、基礎年金の「老齢年金 ・25年以上」は2016年に3166万人ですが、2020年は3328万人に増加しています。
5. 公的年金以外での対策も行おう
今回は基礎年金と厚生年金について確認してきました。
政府は基礎年金の目減りに対して対策をおこなう予定ですが、個人で対策をおこなう必要もあるでしょう。公的年金は受給が始まれば生涯もらえる安心感がありますし、やはり老後生活の柱です。
一方で、公的年金では生活できない人も多いものです。
数々の値上げが相次ぎ家計も苦しいところですが、大きな金額となる老後資金ですから、時間をかけておこなう方が良いでしょう。今回のデータをもとに、ねんきん定期便などでご自身の受給予定額を調べて、老後に備える方法を考えましょう。
参考資料
日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)
厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」(2021年12月)
日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
宮野 茉莉子