菅首相、消費増税はまったなし!? 安倍元首相と“同じ轍を踏む”方針に疑問

菅首相、消費増税はまったなし!? 安倍元首相と“同じ轍を踏む”方針に疑問

  • 日刊サイゾー
  • 更新日:2020/10/16

もはや、新型コロナウイルス禍のあとの“大増税の到来”が、避けられない状況になってきた。

政府は2020年度予算の第3次補正予算の編成に取り掛かり、21年度予算は過去最大を更新する見込みだ。これを後押しするように、新たな内閣官房参与も任命された。

20年度予算は当初予算の102.7兆円に加え、2度の補正予算編成により、総額は160.3兆円に膨らんでいる。新規国債の発行により賄われる財源は90.2兆円で、このうち赤字国債の発行額は71.4兆円にものぼる(表参照)。

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補正予算分の新規国債発行額だけでも57.6兆円とリーマン・ショック後の09年度の経済対策による国債発行額52兆円を大きく上回った。公債依存度(一般会計歳出額のうち、国債発行が財源となっている割合)は56.3%(うち赤字国債の割合は44.5%)に跳ね上がり、国の経費の半分以上を国債という“借金”で賄っている。

これだけでも、十分に将来の増税要因になり得る。その上、菅義偉首相は追加経済対策のための第3次補正予算の編成を行う方針だ。その予算規模は明らかになっていないが、新規国債(そのほとんどは赤字国債)の発行額が一段と増加するのは間違いない。

さらに、9月30日にまとまった21年度予算概算要求の総額は、一般会計で105.4兆円となった。前述のように20年度の当初予算額102.7兆円を上回っている。その上、この概算要求額には、新型コロナウイルス対策費などの“いくら必要か不明”のため金額の要求を行わない「事項要求」は含まれていない。事項要求を含めれば、予算総額は2020年度当初予算をはるかに超えるものとなる可能性が高い。

国債発行残高の増加で、財務省は20年度当初予算の23.4兆円を2兆円上回る25.4兆円の国債費(国債の償還と利払いを行うための経費)を要求している。これは予算総額105.4兆円の約24%を占め、これだけの巨額が借金返済(国債費)に充てられることになる。

これだけの借金を重ねれば、いずれ新型コロナ禍が収まれば、その返済のための増税が行われるのは必至だろう。もちろん、景気が急速に回復して、予想を上回る法人税収が得られる環境になれば、個人への増税は軽くて済むであろうが、現状を見ればその予想はあまりにも楽観的に過ぎよう。

その上、10月13日に任命された内閣官房参与6名のうち、「経済・財政政策」担当の高橋洋一・嘉悦大教授と「経済・金融」担当の熊谷亮丸・大和総研チーフエコノミストの任命は、「財政の拡大」と「増税」を後押しすることになりそうだ。

すぐに思い出されるのは、財務官僚退官後に東洋大学教授に就任したものの、銭湯で脱衣所のロッカーから現金や腕時計など約30万円分を盗み、警視庁練馬警察署に窃盗容疑で書類送検され、同大学を懲戒解雇となったことだろう。

高橋氏の内閣官房参与任命に対して、ネット上では、「窃盗犯を内閣の重要ポストに就任させた」などの書き込みが多数行われているが、注目すべきは経済政策に対する考え方だ。

高橋氏は、安倍晋三前首相が日銀総裁に黒田東彦氏を迎え、「アベノミクス」として進めた「リフレーション政策」の提唱者の1人。リフレーション政策は大規模な金融緩和や機動的な財政出動により、緩慢なインフレを継続させることにより、経済の安定成長を図ることができるとするマクロ経済学の理論。高橋氏は「リフレ派」学者と言われている。安倍前首相に近く、「安倍応援団」の1人でもあり、積極的な財政出動を強く唱えている。例えば、次のように述べている。

「ある意味で、国債の大半は“返済されない”といっても言い過ぎではない。今でも、借換債を発行して、借り換えが行われているのが事実だ。制度上は、日銀が保有している国債すべてについて、日銀引受による借り換えが可能だ。つまり、日銀保有国債については、償還しなくてもいいわけだ。日銀に払った(国債の)利払いは納付金ですぐに政府に帰ってくる」

つまり、日銀に買い入れさせれば、国債は無制限に発行できる。従って、国債をいくら発行しても日本の財政は痛まないし、財政破綻などしないということだ。これだけ見ても、高橋氏に“財政規律”や“財政の健全化”という概念がないことがわかる。すでに、リフレ政策は“失敗”だったことが明らかになっている。

また、直近の菅首相が日本学術会議の新会員候補者6人の任命を拒否した問題では、日本学術会議側を批判している。

一方、熊谷氏は新型コロナの影響により財政出動が膨らんでいることについて、「当面は緊急事態なので、ある程度、歳出が増えるのはしかたないが、財政の規律を守り、むだはしないという精神を貫くことが非常に重要だ」と述べており、基本的には財政出動には慎重な姿勢を示している。

だが、自著の中で「政治家の質が低下しているのだとすれば、それは日本人の『民度』の低下を映す鏡に過ぎない。象徴的な事例は、国民の間に蔓延する『消費税引き上げ』に対する過剰な拒絶反応である。『民度』を高めること、つまり国民一人一人が『見識』を持たなければ、日本の財政破綻は回避できない」と述べている。

新型コロナ禍の真っ最中の8月5日、政府税制調査会(首相の諮問機関)で熊谷氏は新型コロナという天災のため、「責任をなかなか追及することができないので同調圧力が強く、野放図に歳出の拡大圧力、財政の悪化が続くリスクがあるから、財源の調達の機能、とくに消費増税を中核に据えた骨太の議論が必要」との発言している。

9月10日、自民党総裁選の最中に菅首相は、「これだけの少子高齢化社会、どんなに私どもが頑張っても人口減少は避けることはできない。行政改革を徹底して行った上で、消費税は引き上げざるを得ない」と発言した。翌日、「将来的な話として答えた」と付け加えることで批判をかわしたが、菅首相の頭の中には明らかに“消費増税”がある。

高橋氏は「積極財政で増税反対」、熊谷氏は「財政出動に慎重で消費増税推進」と対立した構図に見えるがそこは政治家、“自分に都合の良い考えだけ”を採用する。つまり、「積極的な財政出動を行い、そのツケは消費増税で返す」という考えだ。

もちろん、この新型コロナ禍を乗り切るために“本当に必要な”財政出動を否定するものではない。だが、効果も見込めない政策や途中でどこかに消えてしまう予算は絶対に無くさなくてはならない。

安倍政策の継承を掲げて首相に就任した菅首相は、人材の登用も安倍人脈やお友達人事を踏襲し、積極財政と消費増税も継承するのだろうか。安倍前首相の功績と言えば、2度の消費税率引き上げぐらいだ。菅首相も“同じ轍を踏む”つもりなのか。

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