ウクライナ産穀物の輸出合意を再延長 期間の主張には食い違いも

ウクライナ産穀物の輸出合意を再延長 期間の主張には食い違いも

  • 毎日新聞
  • 更新日:2023/03/19
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ケニアの港で荷降ろしされる穀物=ケニアのモンバサで2022年11月26日、AP

国連のグテレス事務総長の報道官は18日、ウクライナ産穀物を黒海を通じて輸出するためのウクライナとロシア、仲介役の国連とトルコの4者による合意について、再延長が決まったと声明で明らかにした。同日夜が期限だった。トルコのエルドアン大統領も延長を発表した。ただ、延長期間への言及はなく、ウクライナとロシアの主張には食い違いが出ている。

ウクライナ産穀物輸出合意、延長 60日間、露が応じる方針

昨年7月の合意は当事国が反対しなければ期限ごとに120日間延長する内容で、同11月に120日間延長された。

ウクライナのクブラコウ・インフラ相は18日の再延長を受け、今回の期間について120日間だとツイッターに投稿した。一方、タス通信によると、ロシア外務省の報道官は「強調しておくが、ロシアは60日間の延長に同意した」と述べた。ロシアは、自国産の農産物や肥料の輸出が欧米による対露制裁の影響で停滞していると不満を強めており、今回は60日間の延長にしか応じないと表明していた。

ロシア産の農産物や肥料は対露制裁の直接の対象ではないが、ロシア側は銀行取引などが制限を受けていると主張。17日の国連安全保障理事会の会合で、ネベンジャ国連大使は「ウクライナからの輸出継続に関心があるなら、2カ月以内にロシアの農産品に関連する全ての制裁を解除する必要がある」と語った。延長期間の長さと引き換えに、対露制裁の緩和などを引き出したい狙いとみられる。

再延長を受け、グテレス氏の報道官は声明で「世界の食料安全保障、特に発展途上国にとって極めて重要だ」と述べたが、期間をめぐる今後の対立は必至だ。ロイター通信によると、トルコのチャブシオール外相は18日、「2カ月(60日)後にさらなる延長ができるよう努力する」と語った。

ウクライナ産穀物の輸出合意は、世界的な穀物価格の高騰を抑えることに貢献した。国連によると、これまでに約2500万トンの穀物などが45カ国に運ばれたという。【ニューヨーク隅俊之】

毎日新聞

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