鳥谷敬氏が明豊-樹徳戦を生観戦「楽しんでほしい」コロナ禍で聖地にたどり着いた球児にエール

鳥谷敬氏が明豊-樹徳戦を生観戦「楽しんでほしい」コロナ禍で聖地にたどり着いた球児にエール

  • 日刊スポーツ(野球)
  • 更新日:2022/08/06
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全国高等学校野球選手権大会を観戦する鳥谷氏(撮影・岩下翔太)

阪神、ロッテで活躍した鳥谷敬氏(41=日刊スポーツ評論家)が第104回全国高校野球選手権が開幕した6日、甲子園で明豊(大分)-樹徳(群馬)戦を生観戦した。

高校野球の球場観戦は大学進学以降では初めて。聖望学園(埼玉)3年時に出場した99年以来、23年ぶりに夏の聖地を体感した。高校野球の醍醐味(だいごみ)を再確認し、新型コロナウイルス禍の中で聖地にたどり着いた球児たちにエールを送った。【聞き手=佐井陽介】

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高校球児にとって甲子園はどういう舞台なのか。試合前、樹徳と明豊のシートノックが早速教えてくれた気がしました。まだ本番前だというのに、両チームの選手とも際どい打球に迷いなく飛び込んでは、泥だらけのユニホームで笑顔、笑顔…。このグラウンドに立てる喜びがどれほどのものか、忘れかけていた感情を思い出させてくれました。

自分も聖望学園3年夏、遊撃手兼投手で甲子園の土を踏んでいます。今思えば、当時はまだグラウンド上の思い出にしか目を向けられていなかったかもしれません。今日、二十数年ぶりに高校野球を球場で観戦する側に回って気付きました。甲子園はベンチに入った選手や監督だけの聖地ではない。ベンチを外れたメンバーはもちろん、吹奏楽部にチアリーダー、保護者に友達、学校関係者…。すべての人々が思い出を共有できる場所なのだと。

試合中はアルプス席からも目が離せませんでした。コロナ禍が続く状況なので大声は出せません。応援団にとってはこの上なく難しい制約です。それでもベンチ外の選手たちは限られた環境下で懸命に工夫を凝らしていました。たとえば樹徳側はヒッティングマーチごとに細かく振り付けを決めて、一糸乱れぬ動きで応援ムードを高めていました。陰で相当に練習を積んできたのでしょう。

良い悪いは別にして、プロ野球では打席に立つ選手の人気度によって、声援量に多少の差があるものです。それが高校野球の場合、どの選手にも同じ音量が注がれていました。関係者は皆、同じ応援服を着用してメガホンをたたき、手が腫れそうなほど拍手する。応援する側もされる側も目の前の1試合、一瞬に懸ける熱量が変わらない。だから高校野球は人を魅了できるのかもしれません。

5回裏、樹徳が適時内野安打で同点とした場面。一塁にヘッドスライディングする選手以上に、一塁コーチャーが興奮のあまりガッツポーズしていました。控えの選手でもそこまで熱くなれる。たった1試合を見ただけでも、高校野球、甲子園の醍醐味に近づけた気がします。

特に今の3年生はコロナ禍で高校生活を送り続けて、想像を絶する難しさがあったはずです。いつコロナにかかってもおかしくない毎日。時には練習も制限されたでしょう。大会が開催されるのか不安を覚えた回数も1度や2度ではないでしょう。そんな苦悩を乗り越えて、やっとたどり着けた聖地です。かけがえのない一瞬一瞬を、心の底から楽しんでほしいと願います。

◆鳥谷氏と甲子園 聖望学園3年夏の99年、遊撃手兼リリーバーとして同校を創部18年目で春夏通じて初の甲子園出場へ先導。甲子園では初戦の日田林工(大分)戦に「3番遊撃」で出場し、中犠飛と左越え三塁打をマークするなど3打数2安打。投げては5回途中から3回2/3を1失点と粘投したが、試合は3-5で敗れた。早大を経て阪神入団後は、20年3月にロッテ移籍するまで16年間甲子園を本拠地とした。

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