山田祥平のニュース羅針盤 第245回 なんとなく訪れるハイエンドスマホの終焉

山田祥平のニュース羅針盤 第245回 なんとなく訪れるハイエンドスマホの終焉

  • マイナビニュース
  • 更新日:2020/09/21
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シャープが同社スマートフォンとなるAQUOS秋冬春モデルのラインナップを更新、8K+5GとAIoTで世界を変える方向性を表明した。同社はその発表会で製品をお披露目する中で、

au、ゲームや動画に向く5G対応スマホの中級機「AQUOS zero5G basic DX」

「なんとなくハイエンドスマホの終焉」

というキーワードを大きくアピールした。今回、発表されたのは5G対応のスタンダードモデル2機種で、AQUOS zero5G basicとAQUOS sense5Gだ。この2機種の追加で2020年下半期のAQUOSは、全リリーズで5G対応を果たしたわけだが、これを機に、同社では5Gノーマル化宣言を表明するなど鼻息が荒い。

○普通の人が普通に買える「ミドルレンジ未満」

同社の調べでは、かつてハイエンドスマホを購入したユーザーの65%は、次回購入時に価格と性能のバランスを重視すると考えているそうだ。通信事業者の端末販売における値引きが抑制されるようになった結果、スマホの価格が高くなり、エンドユーザー側では今買うなら5G対応していたほうがいいが、とにかく予算的に無理をしないで購入したいという気持ちが強いそうだ。

今回の5Gスマホ2機種は、ハイエンドのSoCを搭載していない。AQUOS zero5G basicはQualcomm Snapdragon 765 5G、AQUOS sense5Gは、Snapdragon 690 5Gだ。現在のハイエンドSoCはQualcommプロセッサの場合、Snapdragon 865 Plusだが、その採用は見送られている。もちろん、AQUOS R5Gのように、Snapdragon 865 5Gを搭載した製品をフラグシップに置きながらも、とにかく普通の人が普通に買える普通の5G端末として、ミドルレンジ未満に軸足を移そうとしている。
○5Gプランの「データ無制限」を活かした機能も

製品発表のデモコーナーでは、今回の製品に関連したさまざまなデモンストレーションが披露されていた。説明員の話では、ハイエンドSoCは、瞬間的なパフォーマンスは圧倒的だとしながら、その持続性という点ではミドルレンジ未満のSoCのほうがユーザーにとっては使いやすいという。ハイエンドのSoCが必ずしも最高ではないと同社では考えているようだ。

また、AQUOS sense5Gのデモでは、テザリングオートの機能がデモされていた。この機能は、自宅に固定ブロードバンドやWi-Fiアクセスポイントを持たないユーザーに向けたもので、無制限でデータを使える5Gプランが想定されている。同社のAI技術であるエモパーを活用し、今、持ち主がどこにいるのかを家の外か、中かなどを含めて判定し、帰宅していると判断したら、自動的にテザリングをオンにするというものだ。これによって、ユーザーは、自分のパソコンを開いただけで、Wi-Fiがスマホに接続し、高速なインターネット接続が得られる。

個人的には逆に、家についたらテザリングをオフにして、固定ブロードバンドが使えるようになるような機能も欲しかったところだ。いずれにしても、普通の人が普通に5Gを使える手頃な端末として新AQUOSをアピールしようとしているのは間違いない。

○5Gエリアの「普通化」が待たれる

その一方で、5Gの整備は遅々として進んでいないように感じる。たとえばドコモの5Gサイトを見ると、2021年1月末時点でのドコモ5G対応エリア(予定)を確認できるが、その数はものすごく少ない。

全国な5G対応エリアは、公表されたものが130カ所あるのだが、そこからドコモショップ、ドコモの実証実験店舗「d garden」、本社ビルなどのドコモ関連施設を除くと39カ所になる。

さらに、そこから体育館やスタジアムなどの「観客席」など、非日常空間をのぞくと、22カ所だ。行けばつながりそうな場所としては下記しかない。これで全部だ。

東京都 渋谷スクランブルスクエア SHIBUYA QWS
神奈川県 ニッサン パビリオン THE THEATER(2020年10月下旬までの期間限定)
長野県 長野京急カントリークラブ コース内の一部
埼玉県 ところざわサクラタウン ジャパンパビリオン ホールA、EJアニメホテル ロビー
東京都 東京スカイツリー スカイアリーナ周辺、ソラマチひろば周辺、PLAY5G
東京都 渋谷ストリーム ホール5階 ホワイエ周辺、ホール6階 ホール内
東京都 JR上野駅 駅周辺
東京都 JR五反田駅 駅前周辺
東京都 JR高田馬場駅 駅前周辺
東京都 JR秋葉原駅 駅前周辺
東京都 JR渋谷駅 駅前周辺
東京都 JR新宿駅 駅前周辺
東京都 JR池袋駅 駅前周辺
東京都 江東区青海二丁目 江東区青海二丁目周辺
東京都 MEGA WEB 施設周辺
東京都 新宿区西新宿二丁目 新宿区西新宿二丁目周辺
東京都 東京女子医科大学 第1病棟  2F、先端生命医科学研究所 B1F
東京都 羽田国際空港 第一旅客ターミナルチェックインカウンター周辺、第二旅客ターミナルチェックインカウンター周辺、第三旅客ターミナル到着ゲート周辺、江戸小路周辺
千葉県 成田国際空港 第三ターミナル フードコート周辺
東京都 東京都江東区青海二丁目 東京都江東区青海二丁目周辺
東京都 東京都新宿区西新宿二丁目八 東京都新宿区西新宿二丁目八周辺
東京都 東京都品川区東品川 東京都品川区東品川一丁目周辺

笑ってしまうくらいの少ないエリアだ。これでは5Gの付加価値に対して、ハイエンドスマホを購入したいと考えるユーザーが少なくなるのは当たり前だ。シャープがいうように、5Gを端末側で新しい当たり前にし、ミドルレンジ未満の製品として提示したとしても、エンドユーザーは我慢強くエリアが整うのを待つしかない。

さて、いったいいつ5Gは「普通」になるのだろうか……。

著者 : 山田祥平 やまだしょうへい パソコン黎明期からフリーランスライターとしてスマートライフ関連の記事を各紙誌に寄稿。ハードウェア、ソフトウェア、インターネット、クラウドサービスからモバイル、オーディオ、ガジェットにいたるまで、スマートな暮らしを提案しつつ、新しい当たり前を追求し続けている。インプレス刊の「できるインターネット」、「できるOutlook」などの著者。■個人ブログ:山田祥平の No Smart, No Life この著者の記事一覧はこちら

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