「大減税」公約で大勝した維新が、とつぜん「国民イジメ」に転換した理由

「大減税」公約で大勝した維新が、とつぜん「国民イジメ」に転換した理由

  • 現代ビジネス
  • 更新日:2022/01/15
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「やっぱり資産課税を始めろ!」

「日本維新の会」国会議員団の政調会長・足立康史衆院議員の発言が波紋を広げている。

維新は、先の衆院選挙で「大減税」を公約の一番に掲げ、大躍進。議席を11から41へと大きく伸ばした。維新のサイトにも「増税」(停滞)VS「減税」(維新)と大きく打ち、「減税と規制改革、日本をダイナミックに飛躍させる成長戦略。」を「2021維新八策」として前面に出した。

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選挙後、足立康史衆院議員は、『総選挙前ドタバタの中で落とした資産課税について、本当に党として「捨てる」ということでいいのか事後検証したかった次第です』(1月4日付Twitter)と、堂々の増税議論の開始を宣言、維新内部にも衝撃が走った。

足立氏のいう「資産課税」とは何か。

維新が昨年一度公表して撤回した日本大改革プラン当初案によると、日本にあるすべての資産(家計・非金融法人・政府資産)合計約3600兆円に1%の課税をするものである。維新の試算によれば、36兆円の増税となる。日本政府の2020年度の税収が106兆6580億円であることから、全税収の3分の1を上回る規模の増税だ。例えば、定期預金(スーパー定期・1か月・三井住友銀行の金利が0.002%)をしていくだけで、預金残高は毎年0.998%減っていくことになる。ネット上では「貯金税」として酷評されている。

同僚議員のTwitterをブロック

維新は、「大減税」を公約のいちばんの柱に掲げておきながら、選挙が終わると自ら積極的に36兆円もの大増税議論を開始したことになる。

維新関係者はこう話す。

「選挙前に、自身の持論である『資産課税』を選挙公約から落とされたのがよほど悔しかったのか、機会を伺っていたのでしょう。しかし、減税を信じた有権者を裏切るように見えてしまった。『事後検証』という言葉も変です。法律を施行したあとに、うまくいったかを検証するというならわかりますが、今回の場合、『事後』とは選挙後を意味します。有権者の立場になれば、公約なら選挙前に精査してくれよ、と考えると思います。選挙終わって、自分たちが掲げた政策が正しかったかを検証する政党なんて聞いたことがありません」

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足立康史氏ウェブサイトより

この発言を皮切りに、足立氏は、自身の行動に異を唱える同僚議員のTwitterをブロックするなど、不可解な行動を起こし、また、フルオープンを連呼しながら、事の経緯がほぼ明らかにならないまま、党幹部への「クローズド」での相談をした結果、事実上の「停戦」を宣言してしまった。何が起きているのか、イチ有権者である私には、さっぱりわからない。先述の維新関係者に、解説をお願いした。

「参院選に向けた公約策定作業は近く始まるので、自身に主導権を取り戻そうとしたのでしょう。自分の意見が若い執行部に通らないので、上から目線でモノを申す、みたいな態度を取ったのでしょうが失敗でした。『大減税』を衆院選で有権者には公約したけれど、党是として増税しますよということを言っています」

自民党も公約違反では?

他方、自民党だ。こちらは公約違反を犯しつつあるのは、政調会長の高市早苗氏でなく、岸田文雄首相だ。政府は近く、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)黒字化目標の検証作業に着手する。

しかし、自民党は、衆議院議員選挙の公約に大きく掲げた「財政の単年度主義の弊害を是正する」を進めるべきだ。岸田首相は、「財政は国の信頼の礎だ。足元の新型コロナウイルス対策と中長期的に財政健全化を考えることは決して矛盾しない」と党本部で開かれた「財政健全化推進本部」の役員会初会合で発言したが、財政の健全化やPBの黒字化とは、「財政の単年度主義」に他ならない。

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有権者の立場からは、暴走しているのは岸田首相なのだが、首相側近は「重要案件に高市氏を関わらせたくない」として、高市氏に決定権を握らせず、茂木敏充幹事長にすべてを一任してしまった。

自民、維新の両執行部は「暴走する政調会長を抱えて大変だ」という認識を持っているのだろうが、「国民との約束」という観点から考えれば、答えは違う。

選挙公約はきっちり果たすべきだし、そもそも選挙から数ヵ月しか経っていないこの段階で、平然と公約違反、つまりは大増税に走る姿勢は許しがたいものがある。

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