欧州名門に7億円移籍の日本代表FW・古橋亨梧 イニエスタも絶賛する「成り上がり」の努力家

欧州名門に7億円移籍の日本代表FW・古橋亨梧 イニエスタも絶賛する「成り上がり」の努力家

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  • 更新日:2021/07/21
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ヴィッセル神戸の古橋亨梧(C)朝日新聞社

日本屈指のFWが、ついに欧州の名門へ羽ばたく。ヴィッセル神戸の古橋亨梧(26)が、かつて中村俊輔(現横浜FC)が在籍したスコットランドの強豪・セルティックへ移籍を決めた。

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18日朝に急きょ行われた移籍壮行会では、ホームのノエビアスタジアム神戸に集まった2757人サポーターたちの前で「僕は皆さんに感謝しかありません。どんな時も熱く優しく時には厳しく応援してくれたこと、皆さんの前で、言葉には表せないくらい」と目に涙を浮かべながらも笑顔であいさつした。この様子はYouTubeでも生配信され、ピーク時は同時視聴数が約8000に達した。

古橋は、今シーズンのリーグ戦21試合15得点と現在得点ランキング1位。突破力のあるドリブルと左右両足の正確なキック、相手の守備陣の隙をつく動き出しのうまさ、パスを受けるトラップの正確さなど、高い技術を挙げればキリがない。運動量も驚異的で、その走力を生かし、試合では相手チームのDFやGKがボールを持っていると、古橋が徹底的に追いかけ回してプレッシャーをかけ続ける姿は、それだけで観衆が盛り上がるほどだ。

そんな古橋も、これまでのサッカー人生がすべて順風満帆だったわけではない。

古橋は大阪の強豪・興国高校から中央大学に進学し、プロ選手を目指したが、なかなか声がかからなかった。一時はJリーガーになることを諦めかけたが、大学卒業間近にFC岐阜の目に止まり、2017年から岐阜でプロのキャリアをスタートさせた。

真面目な性格で、サッカーに対して惜しみない努力を重ねる古橋は、すぐにチームで頭角を現していく。FC岐阜の在籍1年半で、リーグ戦68試合17ゴールと結果を残すと、2018年シーズン半ばにJ1のヴィッセル神戸へ移籍を果たした。

神戸でもすぐにポジションをつかみ地位を確立していったが、それ以上に大きかったのが世界的な名手たちとの出会い。元ドイツ代表FWのルーカス・ポドルスキ(神戸には2017年から2019年シーズンまで在籍)、元スペイン代表であり元FCバルセロナで数々のタイトルをとってきたアンドレス・イニエスタ(2018年途中から現在)、元スペイン代表のダビド・ビジャ(2019年)といったワールドカップの優勝経験者たちがチームメートとしており、技術や得点センスがさらに磨かれていった。

古橋はテレビ東京スポーツのYouTubeチャンネル内でこう発言している。

「お手本になった。盗めるものは盗んだ」

移籍時から共にプレーをするイニエスタ、同じくFCバルセロナから神戸に移籍したセルジ・サンペールとは相性の良さを発揮。彼らの絶妙なパスから古橋がゴールを決める黄金パターンは、神戸サポーターたちを沸かせた。

イニエスタは古橋が相当気に入っているようで、自身の「イニエスタTV」にゲストとして呼んだり、移籍壮行会でも「正直僕たちにとって悲しい日。キョウゴ(古橋)という大事なチームメートが、シーズンが残る中で去っていくことで悲しい気持ち。同時に彼が自分の夢をかなえるために、成長を続けるためにヨーロッパの舞台で挑戦できるということは本当にうれしいこと。クラブ、そして日本を代表する選手としてこれからも頑張っていってほしい」とエールを送った。

1週間ほど前にもイニエスタは、スペインの有名YouTuberの番組にゲスト出演し、「(当時は移籍が確定してなくうわさの段階だったが)彼はヨーロッパでも飛躍できるし、それだけの資質を持っている。でも、古橋が抜けるとしたら僕は困るよ」と苦笑交じりで話していた。

また、今回の移籍で異例なのは移籍金の高さ。今回セルティックが神戸に支払う移籍金は、約7億円とされる。日本代表とはいえ、古橋はすでに26歳。日本人有力選手が初めて欧州の舞台に挑戦する場合、20代前半くらいまでが大半だ。その際の移籍金は数千万円から高くても2~3億円程度。古橋のようにすでに26歳で、欧州のチームでまだ結果を残していない選手に対して、この金額は異例の高額といって良い。

古橋は自分がこれまで歩んだ道を振り返って、移籍壮行会で改めてこう感謝の弁を述べた。

「大学4年の時になかなかプロのチームが決まらなくて、岐阜さんが拾ってくれて大変感謝しています。僕は運良く岐阜さんに拾って頂いて、大木さん(当時の大木武監督、現在はロアッソ熊本監督)に出会ってノビノビとやらせてもらったからこそ、たくさんのチームメートの支えがあったからこそ、神戸に来られました。神戸でもたくさんの指導者に指導してもらえて、たくさんの選手たちに一緒にプレーして伸びたし、たくさんのファンサポーターの皆さんが応援してくれたおかげでここまで成長できたと思うので、たくさんの人に感謝したい」

そして、今回の移籍はJリーグでプレーする他の選手たちにも希望を与えられるのではないか、とこう続けた。

「26歳で海外挑戦というのは、正直海外(リーグでプレイしている他)の選手からしたら年はいっている。でも、26歳でも海外にいけるんだぞ、セルティックみたいな素晴らしいクラブにいけるんだぞ、というのはいろんな人に希望を与えると思う。でも行って終わりじゃなくて、行って活躍することで夢や希望を与えられる。これからが勝負」

セルティックは国内リーグで51回の優勝を誇る名門。かつて所属していた中村俊輔はここで大活躍し、今でもサポーターの間で伝説の選手として慕われている。古橋は当然、中村と同じ日本からやってきたということで、かかる期待は大きいだろう。

将来はスペインでプレーしたいと公言していた26歳。まずスコットランドに上陸し、欧州での第一歩が始まる。ここからさらにどう成り上がっていくのか。物語の続きが楽しみだ。(大塚淳史)

大塚淳史

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