兵庫県丹波篠山市黒岡の春日神社の秋祭りで城下町を巡行する鉾山9基のうち、「鳳凰山」「三笠山」2基のシンボルの「鉾」が修復され、お披露目のため、1世紀ぶりに屋根の上に据えて巡行した。近世の町並みが残る河原町通り(約600メートル)の無電柱化事業をきっかけに、地元有志らの情熱で実現した。晴れ渡った空の下、甦った鉾山の風格あふれる姿が沿道の観衆を魅了した。

1世紀ぶりに復活を遂げた「鉾」を屋根に立て、電柱がなくなった通りを進む2基の鉾山=19日午前、丹波篠山市河原町
祭りは、河原町地区を含む市街地で350年以上の歴史を誇り、京都・祇園祭の影響を受け、優美さと勇壮さを併せ持つ。近世の鉾山巡行では、屋根の上に鉾を掲げていたが、明治末の電化により、市街地に張り巡らされた電線が障害に。高さ制限ができたため、鉾を外した状態での巡行が約110年間続いていた。
2年前、景観保全を目的に河原町通りの電線が地中化されたのを受け、地元有志らが鉾復活実行委員会を結成。昨年、クラウドファンディングで寄付金を募って、目標額200万円を上回る217万6千円を集め、復活巡行を実現させた。
保存されていた「鳳凰山」と「三笠山」の鉾は、京都の専門業者が約1年がかりで修復・復元し、鉾山に飾り付けられた。復活に尽力した実行委の川内隆志委員長(68)は「これまで鉾が立った姿を実際に見たことがなく、胸が熱くなった。残る7基も復活できれば」と感無量の様子だった。