人工知能やAR技術を駆使した最先端の半導体工場がまもなく稼働、「工場内を見渡せる360度ムービー」も公開中

人工知能やAR技術を駆使した最先端の半導体工場がまもなく稼働、「工場内を見渡せる360度ムービー」も公開中

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  • 更新日:2021/06/10
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ドイツに本社を置くテクノロジー企業・ボッシュが、ドレスデンに建設した半導体工場で2021年7月から本格的な生産活動を開始すると発表しました。この工場では人工知能(AI)とモノのインターネット(IoT)が組み合わされた最新鋭の技術が使われており、300mmのウェハーが製造されることも注目を浴びています。

Bosch chip factory Dresden | Bosch Global

https://www.bosch.com/stories/bosch-chip-factory-dresden/

Bosch opens wafer fab of the future in Dresden - Bosch Media Service

https://www.bosch-presse.de/pressportal/de/en/bosch-opens-wafer-fab-of-the-future-in-dresden-230080.html

Bosch reaches milestone on the way to opening new wafer fab in Dresden - Bosch Media Service

https://www.bosch-presse.de/pressportal/de/en/bosch-reaches-milestone-on-the-way-to-opening-new-wafer-fab-in-dresden-225600.html

延べ床面積が7万2000平方メートルのボッシュの新工場の構想は2017年には立ちあがっており、ドイツ政府や欧州連合からの助成金を含めて10億ユーロ(約1300億円)をかけて、2018年6月から建設が開始されました。工場では700人が従業員として働く予定で、最新のAIとIoT、拡張現実(AR)を駆使した最先端の技術により、製造プロセスをリアルタイムで分析したり、機械のメンテナンスをリモートで行ったりといった作業が可能になっているとのこと。

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ボッシュが公開している以下のムービーでは、工場内の様子を360度見渡せることができます。スマートフォンやVRデバイスを使えば、家にいながらにして工場見学が可能です。

Welcome to the factory of the future: 360° tour through our wafer fab in Dresden, Germany - YouTube

厚さが人間の髪の毛の50分の1にもなる半導体を扱うため、従業員は服を着替え、完全にクリーンな工場内へと移動します。

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工場内はこんな感じ。ウェハーに使われるフォトレジストを正常に機能させるために、黄色い光で照らされているとのこと。

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ウェハーには昼夜を問わず材料を供給する必要があるので、工場に設けられたサブファブで、特殊なガス、化学薬品、電気などを供給する仕組みを備えているとのこと。

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半導体製造に欠かせない水を蓄えるタンクも。毎日1200立方メートルの水が使用されるとのことです。

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ウェハーは砂などに含まれる二酸化ケイ素を還元して、純度の高い金属シリコン(ケイ素)を作る作業から始まります。その後シリコンをディスク状にスライスし、表面にフォトレジストをコーティング。ボッシュが製造するウェハーは、露光・現像・エッチングなどの約250の製造工程を経て、約6週間かけて厚さ60マイクロメートル・直径300mmに成型。さらに約700の工程を経て、10週間かけて半導体チップを完成させるとのことです。ボッシュはウェハーの製造工程を以下の動画で解説しています。

Semiconductor production process explained - YouTube

ボッシュは本格的な量産体制に向けて2021年1月に最初のウェハー製造プロセスを実施しており、2021年7月から電動工具用のチップ、9月から主に自動車の自動ブレーキシステムの作動など、単一のタスクだけを実行する用に設計された専用の電源管理チップと、自動車の頭脳として機能する特定用途向け集積回路(ASIC)を製造する予定です。ただし、世界的に不足が騒がれているマイクロコントローラーなどは製造されないとロイターは報じています

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「なぜボッシュは自動車用の半導体を製造しているのか?」については、以下の動画で解説されています。

Travel back in time: Semiconductor development history at Bosch - YouTube

1950年代から半導体技術の研究を始めていたボッシュは、1970年に世界初の自動車用集積回路の量産体制を整えました。ジェトロニックと呼ばれる技術を開発し、以前から研究を続けていたABSを提供するボッシュの集積回路は、1978年にABSの一部としてメルセデス・ベンツ・Sクラスに初めて搭載されました。

自動車に搭載される半導体は電気自動車や自動運転技術の進歩で需要が高まっており、ボッシュはさまざまな用途をもたらす半導体がIoT社会のキーテクノロジーとなるとアピールしています。ボッシュのフォルクマル・デナーCEOは「ボッシュにとって半導体はコアとなるテクノロジーであり、自社で開発・製造することが戦略的に重要です。ドレスデンに建設した工場は、人工知能の助けを借りて半導体製造を次世代のレベルにまで引き上げます」と述べています。

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