連載/カーツさとうの酒と肴と男とサウナ
スゴイことになったよ!
オレが「いいなァ~」と思うサウナ室は2つのタイプがある。この連載でも前も書いたと思うけど。
両タイプとも「肌でシッカリと密度の高い熱を感じられるサウナ室」ってことは共通してるんですが、ひとつは常に適度な体感で熱を浴びられる、長居したくなるサウナ室。
もうひとつは、ロウリュによって時にはとんでもない熱で快感悶えするようなジェットコースターのようにスリリングなサウナ室。
そんな対極だが大好物の2タイプのサウナ室が並んで設置された、夢がごときサウナが完成してた!
赤坂見附駅から徒歩わずか1分。『SPA:BLIC 赤坂湯屋』だ!
まずは長居したくなるサウナ室の説明。
いわゆるオートロウリュなんですが、ロウリュのタイミングが、今までのサウナ室で普通に行なわれていた設定時間じゃない。
複数センサーで温度湿度を計測し、常に最高の絶対湿度を維持するように、タイミングも水量も適時適量ロウリュされる独自開発の世界初「AIオートロウリュ」!

↑これがAIロウリュ備えたサウナ室。この写真の撮影中、ドアを開けたことで湿度が下がったのか、さっそくAIによるロウリュ発射中! ちなみにこのサウナ室の床。あまりの湿度に、毎日調整しているにも関わらず、すぐに床板が湿気で歪み、踏むと音がする。「サウナは生きている」証拠として、もはやその軋む音もありがたがって聞くくらいになりたい。
このAIロウリュがよくできていやがる! 温度計は70度という「低くない?」という表示なのに、その体感は確実にプラス20度。
もはやヘルシンキあたりのサウナの主オヤジの脳を移植したAIじゃないか? ってくらいベストな体感が、20名は入れそうな広いサウナ室中でズ ッと続く。
そしてジェットコースター型サウナ室は完全なセルフロウリュ。3段ベンチの1段分は高いが、逆に天井低めという対流熱が一番ヤベェ 感動のデザイン。
さらに定員9名の大きさの室内に比べ、圧倒的に巨大なハルビアのストーブというWヤベェ 状態。

↑気付いてる人もいるといると思いますが、ストーブ回りに無粋な木枠なんぞないアダルト志向なのも見逃せない。
ベンチ最上段に座ったら、ラドル2杯のロウリュで肌がチリチリっとするような降りそそぐ対流熱を味わえたのには驚いた! 低湿度高温サウナやアウフグース以外の、ナチュラル対流熱でこのチリチリ感を味わったのは久しぶりだなァ~。
ちなみに2つのサウナ室には名前があり、前者は『薙(なぎ)』、後者は『荒(すさ)』。
その『荒』の説明の最初に『完全なセルフロウリュ』って『完全』って単語を入れたのにはワケがある。
最近、セルフロウリュのできるサウナ室も増えてきたけど、まだセルフロウリュ自体が日本に根付いてないってこともあって、ロウリュしすぎを懸念してか、砂時計を置いたりして時間制限かけている所が多いじゃない。
それはそれで致し方ない部分はあると思いますが、でもそれって砂時計が10分計ならば、10分ごとの『人力オートロウリュ』でしかないんだよね。
オートロウリュ自体は日本が編み出したすごいシステムだけど、オートロウリュだったら、その最新鋭のAIオートロウリュの『薙』があるしね。実際に『時間制限セルフロウリュ』より『薙』の方が数段優秀だし。
成熟させたい、日本の大人のサウナ文化
で! この『荒』。そんな時間制限のある『人力オートロウリュ』ではない、本当の意味での『セルフロウリュ』なんですよ。
時間制限セルフロウリュしか知らない人は最初とまどうかもしれないけど、回りの空気を読んで、声掛けして、ロウリュすればいいじゃない。完全セルフロウリュが当たり前のサウナ先進国はそうしてるワケなんですから。
日本もこういう制限なしのセルフロウリュが増えていくことで、サウナ室内の空気を詠むことを知り、サウナが文化として成熟していくことになるワケじゃない。この『荒』はそういうキッカケになると思う。
ちなみ「空気を読む」という言葉には、いわゆる「回りの人間の気持ちをくみ取る」という意味以外に、サウナに関していえば、文字通り「空気の温度を読む」という意味もあるんですよ。
実際にロウリュする人はベンチ最下段の人になるだろうから、最下段の人は、一番熱い最上段の人の気持ちも温度も読んで、声もかけてロウリュする。
それが大人のサウナの入り方ですよ!
そんな『薙』と『荒』。そのどちらにもハマらないサウナ好きはいないと思う。
ほかにはアディロンダックのガーデンチェアが並ぶ、外気も少々取り込んだ休憩スペースも出色!

↑クールダウンスペースのイスは11脚。幽体離脱したのか? と思うほど絶好調にホゲ~ッとできます。
そしてこの施設。全体的に心落ち着く和テイストなんですよ。なにしろ館内着は浴衣ですから。

↑こちら水風呂なんですが、水風呂の横にもちょっとした和風の箱庭的植栽。
さらにこれは取材時にはまだオープンしてなかったんだけど、個室サウナも一部屋用意されている。この個室も和風なんだけど、特筆すべきは個室サウナなのに水風呂はもちろん(個室サウナってシャワーだけの所も多いからね)、温浴槽まで完備!

↑これが個室サウナ。手前の水風呂と奥の温浴槽という贅沢さにまいり、そしてこのアダルトなムードに、アダルトとしては利用したい気持ちビンビンです。
サウナ自体は男性専用ですが、この個室サウナは女性も利用もできるようになる予定。詳しいことはホームページ(記事の最後にもちろん書いておきます)で発表されるので、興味ある皆さんは日々チェックしていただきたい。
そしてココ。サウナである『SPA:BLIC 赤坂湯屋』と飲食施設『涼庵』、カプセルホテルの『かぷせる旅籠 赤坂』という3つの複合施設なんですよ。
要するに、同時利用もできるが、個別利用もできる。さらに個室でないサウナは男性専用と書きましたが、飲食施設の『涼庵』は女性の利用もできる。

↑サウナが苦手という人もどうぞご利用ください。『涼庵』でございます。
これが世界1のアフターサウナドリンクだ!!
その『涼庵』で、サウナ上がりに館内着の浴衣で呑んだ酒が『キュロ・ジントニック』!
知ってるヤツは知っている、フィンランドのサウナで生まれたというクラフトジンの『キュロ』。
これがローズマリーとクランベリーを入れたフィンランドと同じスタイルのジントニックで呑めるんですよ!
ちなみにこのキュロのこのスタイルのジントニックは『インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション2015』のジントニック部門で優勝しております。当時はリブランドする前で『ナプエ』って名前だったけど、生産者も中身も同じ。
都内でもバーなら呑めるところは若干あるかもしれないけど、サウナ上がりに館内着で呑めるとは思ってもみなかった。

↑そのルックスからして絶対に美味い『キュロ・ジントニック』は990円。バーで呑むよりそうとにお安いはず。
ハッキリいう。これがサウナ上がりに呑む酒で世界一旨い!!
そしてこちらで食べた酒の肴が『とんかつ』。今、とんかつって、外で食べるとどこもかしこもバカみたいなお値段高くない? そんなご時世に反逆するが如く単品で880円!!

↑みなさん! これが今の世知辛い世の中に880円で食べられるとんかつでしょうか? すでに肉の厚さは充分であるにも関わらずプラス550円で、さらに肉厚な『厚切り』になるという。オレも若い頃なら行ってたであろう…。
それでとんかつも美味いんだけど(しつこいようだけど880円はありえない価格)、添えられた特製ソースがオシッコ漏れるかと思ったくらい美味い。付け合わせのキャベツがいくらでも喰えると思ったもん。

↑せっかくなんで載せときます! たまらん味の特製ソース。これも見た目からしてもう美味い!
とんかつを定食で食べたい人には、御飯、豚汁、漬物ときて、納豆に温泉たまごもついた『定食セット/530円』も当然ございます。
そしてダメ押し!! このサウナの休憩室がなんと都内最大級という92畳にも及ぶ入れ込みの座敷!!
『笑点』で山田隆夫が運んでくるクラスのフカフカの座布団を自由に使える仕様になってまして、そこで浴衣で大の字になってみなさいな。オヤジならば昇天するよ。

↑午後になると西日が差し込み、とんでもない熟睡の昼寝ができる休憩室たる大広間。
以上、好き勝手を書かせていただきましたが、何を書いても実体感には及ばないんですよね。とにかく行って感じていただきたい、その熱を!!
DATA
○住所:東京都港区赤坂3-10-4 赤坂月世界ビル3階
○電話:03・5561・7544
○料金:入浴のみ2200円(2時間)。1ドリンク+館内着+座敷休憩2500円(2時間)/3500円(8時
間)。延長30分300円。深夜(24:00~5:00)30分200円 ※深夜と延長は二重加算
○営業時間:24時間・無休
○交通:地下鉄赤坂見附駅より徒歩1分
○HP:spablic.com
※試験営業中の取材の為、上の料金は予定価格です。変更になることもありますので、最新情報はHPでご確認ください。
文/カーツさとう
コラムニスト。グルメ、旅、エアライン、サブカル、サウナ、ネコ、釣りなど幅広いジャンルに精通しており、新聞、雑誌、ラジオなどで活躍中。独特の文体でファンも多い。
施設撮影/末安善之
ありふれたサウナ情報では満足できない熱いファンのために!
2014年3月に日本初のサウナ専門誌として誕生した伝説のバイブル『Saunner』。最新刊『Saunner 2022』が発売になりました!
今回は前回以上に編集部による偏愛たっぷりの特集企画が満載!
「ととのう」だけでは満足できなくなったサウナーたちへ、サウナをもっと深く楽しむためのヒントや新しい視点を先輩サウナーやサウナ施設に取材。サウナってまだまだ奥が深いんです。

定価1320円(税込)
発売日2022.06.30
判型/頁B5判/128頁
https://www.shogakukan.co.jp/books/09104258
“ととのう”という言葉もすっかり定着し、有名どころサウナは一通り回ったというサウナーも増えました。しかし、本誌は言いたい!「でも、その先があるんだよ!」 と。表紙はサウナ歴38年、高橋克典さんです!
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