AIの推進を邪魔し続ける企業データの「スキマやズレ」

AIの推進を邪魔し続ける企業データの「スキマやズレ」

  • Forbes JAPAN
  • 更新日:2023/01/25

人工知能が提供する知見を最大限に活用するための準備を、企業側はどの程度できているのだろうか。ツールは準備できていて、優秀な人材も入ってきているかもしれないが、データにギャップ(隙間やズレ)がある可能性は高い。確かに、企業にはたくさんのデータが流れているが、それを生産的かつ公平な方法で活用することは、また別の話だ。

Wavestone NewVantage Partnersが、データ分析上級管理職を対象として行った、新しい調査によれば、現時点で自らをデータ駆動型と考える企業はわずか24%であり「データ文化」と考えられる企業はわずか21%に過ぎないことが明らかになった。また、組織内や業界内で責任ある倫理的なデータ利用を確保するために十分な取り組みを行っていると回答した企業はわずか24%だった。この研究の著者であるトム・ダベンポートとランディ・ビーンは「データ駆動型になることは、何年も何十年もかかる長く困難な道のりであることを、組織は徐々に認識している」と指摘する。「企業における、データ倫理の方針と実践への注意と取り組みは、依然として不足しています」

AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)のカテゴリーマネジメントディレクターであるモナ・チャダは、データのギャップこそがAIの成功に影響を与える最も差し迫った問題だと述べる。彼女は「企業はデータの品質の悪さや、不公正なバイアス、セキュリティの甘さなどの問題にもっと気を配らなければなりません」と語る。「AIモデルの予測の品質は、モデルの学習に使用したデータに強く依存します。データの品質が悪いと、結果が不正確になったり、モデルの動作に一貫性がなくなったりして、顧客や社内の関係者からの信頼が得られにくくなります」

データバイアスやセキュリティも、AIに対して取り組むべき課題だとチャダは続ける。「私たちは、AIは人よりも公平な判断ができるという思い込みに陥りがちです。AIモデルの学習に使用されるデータ中に存在する不当なバイアスは、差別的な行動を引き起こし、企業を危険にさらす可能性があります。攻撃者は常にAIの脆弱性を利用しようとしています。企業は、自社のAIシステムがデータとアルゴリズムにわたる敵対的な攻撃から保護されていることをしっかりと確認する必要があります」

--{ギャップ解消によりAIを推進するためのビジネスケースを構築し始められる}--

データ品質に関していえば、組織はデータ資産を監視するためのプロセスに焦点を当てる必要がある。チャダは「既存のデータは、複数のデータベースやデータウェアハウスに散らばっていることが多く、重複や異常値、無関係なデータポイントが含まれていることがよくあります」という。「また、既存のデータセットの中にはギャップがあります。組織は、データのクリーニングとラベルづけを行うためのより良いツールを必要としています。データの品質が悪いと、結果が不正確になったり、モデルの動作に一貫性がなくなったりして、顧客や社内の関係者からの信頼が得られにくくなります」

データギャップが解消されれば、企業はAIを推進するためのビジネスケースを構築し始めることができる。「AIが普及するにつれ、業界を問わず、多くのビジネスユースケースが成果を上げています」とチャダは付け加える。「たとえば、創薬のスピードアップによる製品イノベーションの促進や、複雑な交通状況の中を移動するための自動運転車の訓練などがその例です。AIは、金融詐欺対策や産業機器の計画外ダウンタイム削減などを通して、企業のリスク軽減を支援しています。また、AIがレコメンデーションエンジンによってコンテンツエンゲージメントを促進したり、AIが人間のエージェントを支援することによって顧客サービスを向上させたりすることで、消費者はユーザーエクスペリエンスの向上を実感しています。そして、AIはコンピュータビジョンによって製造業を支援することで、全体の効率と安全性の向上に大きく貢献しています」

情報開示:過去1年間、私は独立したアナリストの立場で、この記事で紹介したAWSのプロジェクト作業を実施している

forbes.com 原文

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