鳥取市・釧路市「姉妹都市」提携60周年 藩士移住から140年今に続く「故郷」との絆

鳥取市・釧路市「姉妹都市」提携60周年 藩士移住から140年今に続く「故郷」との絆

  • TSKさんいん中央テレビニュース
  • 更新日:2023/09/19
No image

山陰中央テレビ

ここをクリックすると元記事で動画再生ができます。

鳥取市と北海道釧路市が姉妹都市になってから2023年で60年。

これまで市民の間でも、様々な交流が行われてきました。

2つの市のつながりは140年前の明治時代から。

旧鳥取藩の士族が開拓のため釧路周辺の原野に移住したのが始まりです。

作野俊介記者:

「私がいますのは鳥取大通りです。実はここ、北海道の釧路市なんです。釧路市には、鳥取の名の付く場所がいっぱいあるんです」

鳥取小学校に、鳥取公園、鳥取神社に、鳥取ドームまで。

作野俊介記者:

「なぜ釧路市に鳥取の名が多いのか?その理由は明治時代へとさかのぼります」

鳥取市の賀露港の一角にある記念碑。

「釧路開拓移民団出港の地」と書かれています。

今から約140年前の1884年、明治17年から翌年にかけて、疲弊する士族救済のための政府の移住政策のもと、旧鳥取藩の士族とその家族105戸、513人がここから釧路へと旅立ちました。

直線距離で約1200キロ離れた釧路の原野に入植した人たちは、鳥取村をつくりました。

厳しい自然環境のもと開拓を進める鳥取出身者の心のよりどころとして、1891年明治24年に創建されたのが「鳥取神社」。

作野俊介記者:

「こんにちは」

Qどういった理由で建てた?

鳥取神社・木下正明宮司:

「近くの川が氾濫して作物が取れなかった状態だったので、大変困窮したというお話をきいています。乗り切るために、まず神様をおまつりしようという切羽詰まった気持ちもあったのではないかなと思います」

現在の社殿は1974年に建てられたもの。

130年ほど前に建てられたもともとの社殿は、現在の社殿の裏にひっそりと残されていました。

鳥取神社・木下正明宮司:

「むかしからでしょうけど、細工もしっかりしてますし、収入もほとんどない中、こういったものを一生懸命みなさんでお金を出し合って作られたんだと思う。本当に中心になった存在ではないかと思います」

境内にある「鳥取百年館」。

鳥取からの入植100周年を記念して、1984年に開設されました。

鳥取城をイメージした外観の館内には、入植者たちの生活道具など約1600点の貴重な資料が展示されています。

鳥取神社・木下正明宮司:

「この槍、もともと3倍の長さがあったが、持ってこられても使う場所がないので細かく切って、洗濯ものの物干しざおになってしまったという所も悲哀があるところではないかと思います」

入植した人たちは、湿原だった原野の開墾にあたりましたが、待ち受けていたのは冬の厳しい寒さでした。

鳥取神社・木下正明宮司:

「住宅がこれですね。板張りの家で、マイナス30度ぐらい当時気温が下がっていたと聞いています。お醤油とかお酒が凍ったっていう風に…。本当に厳しかったんじゃないかなって思います」

作野俊介記者:

「こんにちは」

入植者の子孫・安田圭佑さん:

「いらっしゃい」

鳥取からの入植者の子孫、安田圭佑さんです。

入植者の子孫・安田圭佑さん:

「1号の人がこの人、源治という人のご婦人。とにかくみんな大変だった」

安田さんの曾祖父が1885年、明治18年に入植。

安田さんは4代目にあたります。

入植者の子孫・安田圭佑さん:

「これがね、渡ってきた時の風景を書いているんですね。この船から上陸するときね、みんな泣いてたって言ってたよ。うわ~これがこれからわたしたちが一生送る所なのか。草ボーボー家は建ってない。ひどいとこでしょ」

安田さんの曾祖父が入ったのは、釧路の北に広がる荒涼とした原野。

入植者の子孫・安田圭佑さん:

「寒いのもそうだし、食べるものが大変だったと思いますよ。冷害の年もあったから。あと洪水で農産物やられた年もあったし」

安田さんは20年前、鳥取市を訪れ、曾祖父らが旅立った賀露港で、記念碑と対面しました。

入植者の子孫・安田圭佑さん:

「あそこ行ったときわたし、ジーンときました。子孫のわたしの時代でようやくここに来れたって。それまで誰も帰ってないわけだ。つらい思い相当つらい思いしたな…というね、そうしてわたしたち現代の我々というのは、先祖の命を受け継いだおかげだなって、ありがたいって思ってるよね」

この日は年に一度の鳥取神社の例大祭。

鳥取の伝統芸能「麒麟獅子舞」が奉納されました。

そして。

鳥取市の夏を彩る「しゃんしゃん傘踊り」も。

1963年、移住80年の記念に、鳥取市から「傘」が贈られたのをきっかけに、踊りが伝承されています。

釧路鳥取傘踊り保存会・高野佳廣会長:

「単なる傘を振り乱して、きれいな踊りだけでなく、そこには、いろいろ鳥取県の人たちの血のにじむようなことが入っているのではなかろうかと。郷土芸能をより大切にしていかなければならない」

今では地元の鳥取小学校、鳥取中学校でも「郷土芸能」として伝えられ、運動会などで披露されています。

また、2023年夏には、4年ぶりに釧路市の連が「しゃんしゃん祭」に参加。

鳥取市民に踊りを披露しました。

釧路鳥取傘踊り保存会・高野佳廣会長:

「鳥取市との絆をですね、絶やすことなく小さいお子さんがいるので、どんどん育って大きくなるまで頑張っていければ、保存会もずっと繋がっていけるのではないかと思っとります」

鳥取藩士が移住して140年。

そして姉妹都市になって60年。

約1200キロ離れた鳥取と釧路、2つの市の交流は大きな節目を経て次世代へと受け継がれます。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。

外部リンク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加