
"法隆寺の境内=2022年6月15日、奈良県斑鳩町、米田千佐子撮影"
世界遺産・法隆寺(奈良県斑鳩町)が、境内の植木の手入れなどの費用をクラウドファンディング(CF)で募ったところ、開始から9日目の23日で、目標額の5倍の1億円を突破した。用意していた返礼品の一部が不足する展開となり、法隆寺はCFのウェブサイトに、「予想をはるかに超えたご支援をいただいた。感謝に堪えない」などとするコメントを載せた。
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寺社がCFで資金を募るケースは増えているが、文化財の修復などを目的としたものが中心で、日常経費を求めるのは異例だ。
今回のCFは、コロナ下で、収入の柱の拝観料が減ったことが背景にある。2019年度に約65万人だった拝観者数は20年度は約20万人、21年度は約35万人に減った。檀家(だんか)のいない法隆寺にとって、拝観料の減少の影響は大きいという。
支出を抑えるため、大規模な建物の修理費(年間約5千万円)、文化財指定を受けていない彫刻や絵画の修理費(同1400万円)を一時的にカットし、草刈りや樹木の剪定(せんてい)などの境内整備費(同約2千万円)を4割近く減らしたという。だが、拝観者の目につきにくいところでは樹木が伸び放題になるなどしていた。