「隠れ移民政策」で格差拡大。労働者を“コスト”として買い叩き使い捨てる日本社会=鈴木傾城

「隠れ移民政策」で格差拡大。労働者を“コスト”として買い叩き使い捨てる日本社会=鈴木傾城

  • マネーボイス
  • 更新日:2021/11/25
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コロナ禍では非正規雇用者が真っ先に切られた。労働力の使い捨ては2000年代から社会問題化しているのだが、この残酷な流れは是正されるどころかさらに進化し、今の日本企業は「もっと安い人材」を海外から連れてきて、途上国の若者を低賃金・悪条件で使うようになっている。その結果、必死で働いても食べて行けない若者たちが日本で大量に出現した。さらに岸田政権は外国人労働者に対し、永住権の拡大など受け入れ体制を強化するとしている。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

労働力の使い捨ては是正されるどころかさらに進化した

「何の仕事でもいいから真面目に働いたら暮らせる」「一流企業に勤めたら定年まで安泰だ」「日本企業は定年までしっかりと面倒を見てくれる」……。それは「当たり前」だと、ほんの少し前まで私たちは思っていた。

しかし、2000年以後には非正規雇用が爆発的に増え始めた。

非正規雇用というのは、要するに「使い捨て人員」である。景気が悪化したらすぐに切れる人材である。だから、コロナ禍では景気の調整弁として彼らが真っ先に切り捨てられた。

こうした労働力の使い捨ては2000年代から社会問題化しているのだが、この残酷な流れは是正されるどころかさらに進化し、今の日本企業は「もっと安い人材」を海外から連れてきて、途上国の若者を低賃金・悪条件で使うようになっている。

日本は移民政策を取っていないはずだが、企業は留学生・技能実習生・単純労働者・インバウンドで入ってきた外国人を雇って事実上の「隠れ移民政策」を行っており、これを「多文化共生」という美名でごまかしている。

本来であれば、こうした動きを政府が問題視すべきなのだが、経団連と結託している政府は黙認しているどころか、むしろ隠れ移民政策を積極的に推し進めているのである。

結局、非正規雇用と隠れ移民政策が進められた結果、必死で働いても食べて行けない若者たちが日本で大量に出現するようになっており、自暴自棄に陥って自殺したり、他人を巻き添えにして事件を起こす若者も目立つようになった。

日本では労働の価値が意図的に下げられているのだ。今の日本で起きていることを認識するのは重要だ。

いかに「利益」を出すかが唯一無二の指標となっている

かつて日本の大株主や経営者は「会社は公器」という意識はあったはずだ。

しかし、今の大株主・経営者はそうした高尚な意識はない。だから自分の利益を最大限に拡大し、意図的に労働者の賃金を下げるような動きもする。

労働者を使い捨てできる環境にするのは、そうした流れから生まれた。人件費が最も「コスト」なのだから、ここを下げれば利益が上がる。単純な経済的論理だ。

そうやってコスト削減して手に入れた利益は会社に内部留保されるか、もしくは株主に配当として配られる。現在、それが徹底化されている。

内部留保や配当は会社の「利益」が元になるので、現在の経営はいかに「利益」を出すかが唯一無二の指標となっている。

これがROE経営と呼ばれるものである。

「企業は株主のもの」ROE経営は何をもたらしたか

会社が株主のためにあるという考え方は、アメリカでは昔から徹底されていた。企業は株式市場から資金を調達するスタイルを基本にしていたので、株主に報いるというのは最優先事項だったのである。

企業が株主に報いているのかどうかは何で測るのか。「ROE」で測る。ROEとは、「株主資本利益率(Return On Equity)」を意味している。その会社が株主資本を使っていくら儲けたかを示す指標だ。

もっと分かりやすく言うと、「株主が投資した資金でいくら儲けが出たのか」を示す指標がROEだ。

株主は企業にカネを貸している。だから、株主は自分たちに報いる経営をしてもらう必要がある。経営者も株主に報いるために努力する。この構図で見れば、企業は誰のものか、はっきりと分かるはずだ。

企業は株主のものなのだ。

労働者は単なる「コスト」

企業はそこに投資している株主のものであるから、株主をどれだけ儲けさせるのかが重要であり、それをROEという指標で測っている。

優良企業とは具体的に言えばROEが継続して高い企業を指しており、労働者に報いているから優良なのではなくて、株主に報いているから優良なのである。

労働者はROE経営の中では単なる「コスト」でしかない。コストは常に削減される。つまり、労働者は繰り返し給料削減やリストラの対象になる。あるいは、安く働く外国人労働者に置き換えられる。

現代の資本主義はROE経営が生み出している。この仕組みが見えただろうか。

この、ROE経営はグローバル化した資本主義社会の「中核」となるものである。今後も「株主重視」の経営が続く。これは、当然のことながら株主の方が従業員よりも厚く報われることを意味している。

株主は自分たちの取り分をさらに増やすために、「もっと利益を、もっとコスト削減を」と経営者に強く迫る。そのため、経営者はコストの中で最も大きな部分である「人件費」の削減を恒常的に行う。

それが労働条件の悪化を加速させていき、非正規雇用者と外国人労働者を大量に生み出す元凶となる。

必死で働いるのに食べていけないという状況になっても、最初は往々にして「本人のせい」にされる。なぜなら、社会は全員が一緒に貧困に落ちるのではなく、まだらに落ちていくからだ。

若者、高齢者、障害者、女性……。社会の弱い部分からポトリ、ポトリと貧困に落ちていく。

しかしその時点では、まだ働いて食べていける人がたくさんいるので、「本人の生き方、働き方」が悪いようにしか見えない。だから、自己責任論がずっと続く。

弱肉強食の資本主義の正体をよく知っておかなければならない

かつての日本企業は社員を終身雇用で雇うためにコストには消極的で、必然的にROEが低い経営を余儀なくされていた。コストが増大であると分かっていても社員を守っていたのだ。

しかし、日本企業は完全に変質した。

外国人の株主、外国人の経営者、外国企業との提携が当たり前になっていき、ROE重視の経営に変化したのだ。日本でも大株主や経営者「だけ」が報われて、労働者が貧困化する社会がますます先鋭的になっていく。

今後も、この流れは続く。日本の雇用はもっと悪化し、エリート以外のすべての労働者は「働いても食べていけない」という方向に落とされていくことになる。

そして気づけば、安い賃金で働く外国人で日本は溢れるようになる。

一方で、経営者や大株主が空前の利益で「超」がつく富裕層へと成り上がっていく。彼らは貪欲に利益の分け前を要求し、経営者に株価の上昇と配当の増額を求め、それを実現させるからだ。

今、私たちは「格差が広がる社会」であると認識している。これは始まったばかりである。これからも、もっと格差は広がっていく。本番はこれからだ。まだ今は地獄の入口にいる。

・非正規雇用者の増加
・外国人労働者の増加

この2つは労働者の搾取構造の中で密接にリンクしているのだ。

私たちはこの「弱肉強食の資本主義」の正体をよく知っておかなければならない。日本で静かに広がって定着しているこの流れは、私たちの将来を根底から変質させてしまうことになるからだ。

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