55歳で突然、8歳と4歳の娘を持つ父親に...ステップ婚の漫画家が語る「子育てでズバ抜けてキツいこと」

55歳で突然、8歳と4歳の娘を持つ父親に...ステップ婚の漫画家が語る「子育てでズバ抜けてキツいこと」

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/05/03

3年前、55歳で8歳と4歳の娘を抱える16歳年下のシングルマザーと入籍。とある事情で、発達障害児である長女と半年におよぶ父子家庭生活を送ることにもなった漫画家・渡辺電機(株)。

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当時の様子を描いた漫画『55歳独身ギャグ漫画家 父子家庭はじめました』をnoteで発表している彼に、同作では触れられていない結婚や育児のエピソード、ステップファミリーという家族のあり方などについて聞いた。(全2回の1回目、#2へ続く)

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漫画家・渡辺電機(株)さん

離婚を勧めちゃった手前、責任を取らなきゃいけない流れに

――ふたりの娘を抱える16歳年下のシングルマザーとの出会いからお聞きしてもいいですか?

渡辺 もともと、Twitterで交流をしていたんですよ。ファンの方がフォローしてくださっていて、気が向いたら返事をしたりしていたんですけど、そのなかに奥さんもいたという感じで。アユはまだ4歳か5歳で、次女が0歳か1歳くらいでしたかね。いろいろとアユのことを彼女が書いているのを読んで、「なんか面白い子だなぁ」と思ってはいましたね。

――奥さんと出会って、その次にお子さんたちと交流、という順番ではなかったと。

渡辺 最初から、お子さんとのセット。奥さんはまだ、前のご主人と結婚もしていました。あくまで、娘さんのいる僕のファンの方とTwitterで交流していたという感じ。そのうちに、ご主人とうまくいっていないというか、家庭環境が非常にギスギスしているというのが漏れ伝わってきたわけです。いろいろと知るうちに「子供にとっても、あんまり良い環境ではないな」というのを感じましたね。

「それ、別れたほうがいいんじゃないの?」と言ったら、他にも色々な事情がかさなって、結局本当に離婚して。なんか離婚を勧めちゃった手前、自分のなかでなにかしら責任を取らなきゃいけない流れになっちゃって。「じゃあ、よかったらうちに来たら?」みたいなことも言ったらば「えっ、本気にしてもいいんですか?」と。それでサーッと話が進んで、僕と結婚しちゃったんですけど。

ふたりっきりは自分には絶対に無理

――ちなみに、「うちに来たら?」と誘った時点で、奥さんと直接会われたことはあった?

渡辺 なかったです。

――責任としては、なかなかの重さではありますね。

渡辺 責任を取るというよりは、「まぁ、いっか」みたいな感じ。ほんと、流れですよ。

ただ、新婚生活というか、ふたりっきりでいる期間というのが自分には絶対に無理だなとも思っていて。恋愛とか、ほんと好きじゃないというか面倒くさいというか、ああいったムードがとにかく苦手で。女の子と付き合っても、まず長続きしたことがなかったんですよ。

――カップルの期間や新婚の期間をすっ飛ばして、家庭の状態からスタートしちゃったほうが楽みたいな感じですか?

渡辺 そうですね。最初から、ふたりの間に子供がいるのって楽なんじゃないかって。どうせ結婚するなら子連れ婚というか、子供がいたほうがいいみたいな考えはずっと持っていたので。

――言い方は悪いですが、アユさんたちの存在が夫婦の間をいい按配にする緩衝材になるといいますか。

渡辺 そうですね。こんなことを言うとアユと次女に失礼なんですけど(笑)。でも、それはたまたまです。偶然、理想通りになったというだけで。

Twitterで人柄、相性、嗜好はだいたいわかる

――Twitterで知り合って結婚された夫婦は増えていると思いますが、会ったことがなくても人柄、相性、嗜好などはわかるものですか。

渡辺 だいたい、わかりますね。むしろ、会うよりもTwitterのほうが本音で喋っていたりするものなので。たとえば、奥さんに怒られても「昔はあんなに優しかったのに……」みたいにならない。「そういえば、Twitterでもこんなふうに怒っていたな。想定していた通りだな」と思える。そのあたりは、SNSがきっかけで結婚した夫婦はみんなそうなんじゃないかなと思いますね。

趣味や嗜好に関して言うと、Twitterで小説の話題になった時に、ふたりとも安岡章太郎の小説が好きだったのがわかって盛り上がって話が合うなと思いました。

――では、奥さんと初めて会われたのはいつですか。

渡辺 奥さんの離婚後、僕が大阪の同人誌即売会に参加した時に、アユを連れて会いに来てくれました。見た瞬間に「あぁ、こいつらだな」とすぐにピンときて挨拶しました(笑)。

姉妹がなついてくれて、2人で取り合いみたいに

――『父子家庭はじめました』第1話で、娘たちに「なぜか異様になつかれた」と描かれています。これは会ったそばからですか?

渡辺 その頃のアユは、誰にでもなつく子ではありましたから。横断歩道で、横にいたおばあさんに、「あのな、あそこのふたりがな」とかいきなり話しかけちゃうんですよ。そういう感じで、挨拶もそこそこに「コレなに?」って同人誌に興味津々になって、いろいろ訊いてきましたね。

同人誌即売会から少し経って、大阪の向こうの家に1回だけ遊びに行ったんですよ。その日は雨が降っていたんですけど、アユが玄関の前に立って僕が来るのをずーっと待っていたんですよ。一緒にゲームの「マインクラフト」をやりたかったみたいで、手にはその攻略本がありました。「こんにちはー」と挨拶したら、「あのな、レッドストーンがな」ってバーっと喋り出して(笑)。それから、ベッタリとくっついて離れませんでしたね。次女も同じようになついてくれて、2人で取り合いみたいになっていました。

――子供になつかれる、なつかれないは、シングルマザーと結婚するうえでは大きな問題ですよね。

渡辺 まぁ、なつかれたぞという妙な達成感はありました。どうやって彼女たちの懐に入ろうかなと、けっこう考えてはいましたからね。連れ子のいる女性と結婚した他の人の話を聞くと、やっぱり子供がなかなかなつかなくて大変らしいので。ラッキーだったのか、僕になにかしらの力があったのかはわからないですけど。とにかく、スーッといけたのは助かりました。

――すでにアユさんが発達障害児童であることはご存知だったんですね。

渡辺 ええ。注意欠如・多動性障害、ADHDです。放っておくと、勝手に料理を作って、火をつけっぱなしにしてどこかに行ってしまっていたり。そういう子だとはTwitterでの妻とのやりとりで知っていたし、子供って大なり小なりこんなもんだろうと思えるところもあったし。あんまり、気にはならなかったですね。

最初の頃は頬がこけるくらいゲッソリ

――4月のクラス替えに合わせ、アユさんだけ先に東京に来させたことから渡辺さんとの父子家庭生活が2018年3月から始まります。生活の場になったのは、以前から渡辺さんが暮らしていた部屋ですか?

渡辺 それまで、僕は実家の離れに暮らしていたんですよ。そこで家族4人で暮らせるかなと考えたんですけど、さすがに六畳一間では厳しそうだったので、アユが来るタイミングで部屋を借りました。もう小学校も決まっていたし、新年度開始の1週間前から学童保育も始まるので手続きをしなきゃいけないで、えらく慌ただしかったですね。

――父子家庭の期間は、やはり漫画は描けませんでしたか。

渡辺 初めは描けなかったですね。ただ、学校が始まると学童保育も含めて8時間近くは帰ってこないので、だんだんとその間に仕事ができるようになっていきました。でも、とにかく疲れるし、体力がもたない。最初の頃は頬がこけるくらいゲッソリしちゃって、僕の両親が本気で心配していました。

ズバ抜けてキツかったこと

――体力、気力、お金、どれも大変だったと思いますがズバ抜けてキツかったものはなんですか?

渡辺 プライベートが皆無だったことですね。8歳でも、面倒を見ないといけないことがいっぱいある。あと、トイレにアユが入っていてトイレットペーパーがないとか言われると、僕が入っていいのだろうかと考えちゃったり。もう親子なんだからと割り切って入っちゃいましたけど。

あとは食べ残しをどうするかとか。もったいないから残りを食べたいんだけど、「これ、よそのガキが食ったものなんだよな……」とか躊躇しちゃうんですよね(笑)。そこを超えないとどうしようもないので、食べましたけど。いまは、ぜんぜん平気になっています。

ヘルパーさんがしっかり様子を見ていてくれているんだなと安心

――血の繋がっていない父娘となると、どういった言動が性的虐待に繋がってしまうのか気になってしまいそうですね。特にふたり暮らしだったわけですから。

渡辺 風呂に入れたり、着替えを替えるのを手伝う場面がありましたからね。そこでアユが恥ずかしがったり、警戒するようだったら、こっちもそれに合わせて対応しようと考えてたんですけど、まったく、そういう感じにはなりませんでした。

あと、これは3人目が生まれてからなのですが、自治体が赤ちゃんがいる家庭向けに提供している「子育て応援券」を利用して、ヘルパーさんを呼んだんですよ。家のことをいろいろとやってくれるわけですけど、同時に男親が娘になにかしていないかもしっかりチェックしている。

ヘルパーさんがいる時に、「でっかいケツしやがって」と寝っ転がっているアユのお尻をパンと叩いたんですよ。そうしたら後で「カワイイお尻してるね」と言いながら触っていたとヘルパーさんが報告したようで、すぐに子供相談課みたいな方がやってきて「こういう話を聞いたんですけど、大丈夫ですかね?」と軽く取り調べられました。きちんと様子を見ていてくれているんだなと思って、逆に感心したというか、安心しましたね。実際に性虐待をしている例もあるらしいので。

――そういったチェックは納得できますけど、育児の様子を漫画で描いていたりすると変なチェックというか批判も入りますよね。『父子家庭はじめまして』第3話で、アユさんのお弁当をランチパックにしたことを描いたら批判されたそうですが?

渡辺 まぁ、やってみればわかるよと。でも、アンチの声が出てくるというのは反応がいい証拠なので漫画家として嬉しくもあるんです。まぁ、子育ての問題に正解はないですから。

【続きを読む】親の反応は「いい結婚じゃないな…」 シングルマザーと結婚の55歳漫画家が“一番気を使うこと”

【マンガ「父子家庭はじめました」第1話を読む】55歳漫画家に、突然小学生の娘が…「おれは全くわかっていなかった」初めての父子生活の顛末

写真=深野未季/文藝春秋

親の反応は「いい結婚じゃないな…」 シングルマザーと結婚の55歳漫画家が“一番気を使うこと”へ続く

(平田 裕介)

平田 裕介

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