
2012年10月2日、東京・豊島岡墓地にて。写真/Photo by The Asahi Shimbun/Getty Images
皇室の方々が葬儀の際に身につけられるモーニングジュエリー「ジェット」。喪の装いに寄り添う、漆黒の深い輝きが魅力の宝石です。流木の化石であるジェットは、彫刻しやすく、細やかなデザインを施せるのも特徴のひとつ。女性皇族の方々は、それぞれの個性にあわせたデザインのジェットを着用されています。
なかでも、美智子さまが愛用されているジェットのジュエリーは、シャープなカットラインが際立ちます。洗練された美智子さまのスタイルにあわせたジェットの魅力とは?
黒の輝きを引き立たせる、ネックレス・イヤリング・ブローチのバランス

三笠宮寬仁親王殿下の墓所を参拝される天皇陛下(当時)と美智子さま。2012年10月2日、東京・豊島岡墓地にて。写真/Photo by The Asahi Shimbun/Getty Images
喪の装いにあわせた、3つのジュエリー。大きさやバランス、礼服のデザインとぴったりとあうジュエリー選びは、ハッとするような美しさです。
年齢を重ねると長さのあるネックレスを用いられることが多いようですが、美智子さまは襟にあわせた短めのものを選ばれています。肌に直接ジェットが乗ることで、漆黒の輝きが引き立ちます。
イヤリングは大きめのものを。シャープなカットが施され、大きめながら重さのない、洗練されたデザインです。ブローチは控えめなデザインで、ネックレス、イヤリングとのバランスが美しく調和しています。
様々な表情を湛える、漆黒のレイヤード

2014年12月12日、ベルギー元王妃の国葬に参列される美智子さま。写真/Belga Image/アフロ
漆黒の装いだからこそ際立つ、シルエットと質感。美智子さまの喪の装いには、品格ある黒の深みが表現されています。しっとりとした僅かな光沢のあるスカーフとグローブに、マットなケープ、そしてジェットの輝きーー。幾重にも重なった様々な「黒」は、漆黒のなかに様々な表情を湛えています。

2002年11月23日、高円宮憲仁さま「拝訣の儀」にて。写真/Photo by The Asahi Shimbun/Getty Images
イヤリングは角のあるラインを魅せたデザインが美智子さまのお好み。丸玉が一般的ですが、シャープなラインを描くことで、ジェットが持つ宝石としての魅力が引き立っています。
同じく黒い宝石であるオキニスに比べ、柔らかな素材であるジェット。その輝きも柔らかく、光が当たることで陰影がふわりと浮き立ちます。黒だからこそ見える多彩な表情は、まさにジェットならではの魅力です。
キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。
構成・文/熊木彩乃
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