
※吉沢亮
評価の高かった大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)から見事なバトンタッチを見せた、『青天を衝け』の初回。北大路欣也(77)演じる徳川家康が、ナビゲーターとして登場。戦国時代から江戸時代の流れを説明するという方法で、『麒麟がくる』の余韻を上手にすくいあげたプロローグが見事!
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そして初手から吉沢亮(27)と高良健吾(33)の若さあふれる疾走。そしてもっと後の登場かと思っていた草なぎ剛(46)の徳川慶喜を見ることができた喜び。想像以上のファーストインパクトだった。
視聴率は20.0%(関東地区/世帯視聴率/ビデオリサーチ調べ)。大河で初回が20%の大台に乗ったのは8年ぶりである。
思い出せば、2019年9月9日に『青天を衝け』の制作開始と主演が発表されたときは、不安のほうが大きかった。日本資本主義の父とはいえ、渋沢栄一は知名度的には地味めの題材。そして主役が吉沢亮。大河抜擢の理由のひとつという映画『キングダム』を、私は当時、見ていなかったため「これまた賭けに出たなあNHK」と思ったものだ。
ところが20年5月29日の『金曜ロードSHOW!』(日本テレビ系)にて、『キングダム』が地上波初放送。それを見て、吉沢亮にビビりまくった。すさまじいオーラ。歴史ものがバシッとハマる、劇画調のルックス。なにより声! 威厳あるセリフの言い回しと声のトーンに「これは大河、楽しみだわ」と不安は一気に期待へと変わったのである。
■町田啓太の土方歳三にも期待!
そしてその期待通り、いや、それ以上だった第一回。徳川慶喜との初対面のシーン。草なぎの第一声である「言いたいことはそれだけか」に「うわ別人みたい、草なぎ剛、すごい!」と仰天し、そこに吉沢の張りのある「いやまだまだございます!」という声が響き「最高」と悶えた。そして慶喜を見上げる目の美しさに「吉沢亮、希望しかない」と感動した。
子ども時代のシーンでは、慶喜(幼名・七郎麻呂)に父親・徳川斉昭(竹中直人/64)が、毎日黒豆100粒だの果物は控えろだの常にカラカラでおれだの、やたら細かく健康術を伝授するのが気になった。あれが実は重要な伏線で、後々、回収があるのだろうか。そしてドラマ後半、突如、登場した泥だらけの玉木宏(41)! ボロボロなのが逆に、素の美しさを際立たせるという奇跡。
さらに今後、猛烈に楽しみなのが新選組副長・土方歳三役の町田啓太(30)。まちがいなく2021年の大ブレイク枠。鬱々とした自粛期間、amazonプライムビデオで見た『女子高生の無駄づかい』(テレビ朝日系)のワセダ役に、どれだけ心を救われたことか。ああ、登場が待ちどおしい。
キャスティングの素晴らしさも見事だが、タイトル通りに広がる青空、柔らかな自然の風景にも癒された『青天を衝け』。ただ、たったひとつ物申したいのが、お蚕様ダンス。小さなものがたくさん集まる図が苦手なので、あのシーンだけは別の意味で鳥肌が立った。もうありませんように……。(田中稲)
田中 稲