中学校の校内合唱コンクール 指導したのはプロのオーケストラ指揮者 生徒たちに伝えたことは

中学校の校内合唱コンクール 指導したのはプロのオーケストラ指揮者 生徒たちに伝えたことは

  • KKT熊本県民テレビ
  • 更新日:2023/09/19
No image

KKT熊本県民テレビ

ここをクリックすると元記事で動画再生ができます。

熊本市の中学校で9月、合唱コンクールに向けた特別な授業が行われました。指導に携わったのは、海外でも活躍の実績があるオーケストラの指揮者。歌に込めた思いを伝えるためのプロのアドバイスとは。

熊本市の出水中学校。教室で行われているのは合唱コンクールに向けた練習です。本番を今月末に控える中、教師たちには悩みが…。

★歌~「未来へと 君とともに」

■指導する高田智史教諭(社会科)

「未来へとちょっと間を空ける感じで」

クラス対抗の合唱コンクール。教師の多くは音楽に関する知識がない中、手探りで合唱の指導をしているのです。

■ 高田智史教諭(社会科)

「みんなで頑張ろうという雰囲気づくりをすることは意識をしてやっているんですけれど、やはり専門的なところで、どこに表現を付けたらいいのかだったり分からないので、その辺りはちょっと悩むところがあります」

悩みを何とかしようと、音楽専門の教師がこんな配慮も。

★音楽教諭 髙野理沙さん

「生徒が自分たちだけで練習が出来るように工夫をしていっているというような、担任の先生の力を借りずに。というのが一番目指しているところです」

部活動は2年連続で全国大会出場の実績がある出水中。ただ、全てのクラスで部活動と同じような練習はできません。

プロのオーケストラ指揮者が合唱を指導

No image

大阪交響楽団常任指揮者の山下一史さん

この現状を何とかしたいと立ち上がったのが、元教師の坂本一生さんです。教師の仕事の傍らで、熊本地震後は復興祈念コンサートを開催するなど長年、クラシック音楽の普及活動を続けてきました。

坂本さんが考えたのが、プロのオーケストラ指揮者による指導でした。

Qこの企画を考えた理由は?

■オフィスMGF 坂本一生さん

「自分はどうしていいか分からないという先生たちがいっぱいいて、イメージを共有するとこんなことが出来るんだというものを体験してもらおうと。先生と生徒で話し合いをしながら、それに向かってもらったら、これは素敵な合唱コンクール。今でも素敵ですけれど、もっと素敵になるだろうと思って考えました」

坂本さんが指導を頼んだのは、以前から親交があった大阪交響楽団の常任指揮者、山下一史さん。山下さんは、デンマークやスウェーデンなど15年近くにわたって海外の交響楽団で指揮者を務め、ヨーロッパを中心に活躍してきた実績があります。

■大阪交響楽団 常任指揮者 山下一史さん

「音楽の力で通じ合えるものというのはあると思いますね」

Q中学生にどういう指導を?

「自分が壁を作ってしまったら何も伝わらない。いかに彼らの中に入っていく事が出来るかというのが、やはり指揮者の適性でもありますから。

■高田智史教諭(社会科)

「気持ちの乗せ方もそうですし、 合唱のどこを見たらいいのか、学べたらいいなあと思っています」

■生徒

「歌が上手くなるっていう事は、自分が成長しているというのが分かるので楽しみです」

■生徒

「言葉が聴いている人にハッキリ伝わるように歌いたいなと思う」

■生徒

「1人だけじゃなくて皆で合わせるような感じで頑張りたいと思います」

歌詞に込められた思いを伝える

No image

山下一史さんの指導で合唱練習

9月6日、指揮者・山下さんとの練習の日を迎えました。指導を受けるのは200人以上の3年生から選ばれた40人。歌詞を暗譜して練習に臨みました。

♪合唱

山下さん、すぐさま何かを感じとりました。

■大阪交響楽団 常任指揮者 山下一史さん

「暗譜しました。じゃあ今度は譜面を見て歌ってみよう。そうすると譜面というのは新しい発見があるんですよ。必ず一つは新しい発見があるんですよ。その歌詞をどういう風に感じるのか、自分の思いとして、それを伝えようと思う強い気持ちが必要なんです。私は生きているよー、だとホラ、全然聴こえない。私は生きているよ! て言わないと。しっかり言ってみて欲しい」

歌うのではなく、あえて楽譜を見ながら歌詞を声に出して読む。これまでの練習ではやっていなかったことです。

♪皆で歌詞を読む「君と生きているよ明日の夢を抱きながら」

■大阪交響楽団 常任指揮者 山下一史さん

「そうそうそうそう」

♪合唱「きみと生きているよ~」

■大阪交響楽団 常任指揮者 山下一史さん

「今 変わったの分かります?はっきり変わった!」

♪合唱

より気持ちを歌詞にのせ、歌声は体育館に響きわたりました。

1時間の貴重な指導。山下さんが最後に伝えたのは…。

■大阪交響楽団 常任指揮者 山下一史さん

「この歌詞は何を訴えているのか、一人ひとりがそのような気持ちで向かって欲しい。歌うのは君たちです」

■生徒

「歌うのではなくて、そこはやった事がなくて、意図をくみ取るようなのが、なるほどなと思った」

■生徒「メッセージの伝え方だったりというのを、意識しながら今後も歌を歌っていきたいなと思っています」

■高田智史教諭(社会科)

「楽譜をしっかり見るという事の大切さを凄く感じました」

■オフィスMGF 坂本一生さん

「音楽の知識はないけど、だけどあのクラスはいい合唱で聴いたらジンとくるねという、そんな合唱が広がるようになったらいいと思います。」

合唱に対する「意識の変化」をもたらした、プロの指導。本番に向け生徒たちは「伝える合唱」に磨きをかけていきます。

校内合唱コンクールは9月29日です。

この記事をお届けした
グノシーの最新ニュース情報を、

でも最新ニュース情報をお届けしています。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加