チェキ撮影で「妙なポーズ」を要求、アイドルの母親を口説く...アイドルファンたちのヤバすぎる実態

チェキ撮影で「妙なポーズ」を要求、アイドルの母親を口説く...アイドルファンたちのヤバすぎる実態

  • 文春オンライン
  • 更新日:2021/10/14

一時期の“アイドル冬の時代”を乗り越え、アイドルブームと言われて久しいが、現場の感覚では「ブーム」と呼ばれるほどの状態はとっくに去っているという。

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大手事務所が仕掛けるアイドルグループがドームクラスの会場でライブを開催したり、グループ内の人気投票が「国民的イベント」と呼ばれていたのが約10年前。メジャーから地下、ご当地アイドルなど様々なグループが次々と生まれ、アイドルフェスが各地で開催されていたころがピークだったようだ。(取材・執筆=素鞠 清志郎/清談社)

チェキタイムで暴走するファン

この平成アイドルブームはジャンルの裾野を広げたが、別の見方をすればアイドルがひたすら細分化していった時期でもある。ここ数年は、メジャーデビューを狙わず、小規模なライブやイベントで細々と活動するインディーズアイドルが増加。しかしファン層は固定化しているので、現場はすっかり買い手市場になってしまった。

ライブのチケット代は会場費でほぼ相殺されてしまうので、アイドルたちは物販でギャラを稼ぐしかない。アイドルはいつもと同じ顔ぶれのファンに、何度もグッズを買ってもらわないといけないという状況なのだ。

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©iStock.com

そんな物販現場でアイドルたちの大事な収入源となっているのが「チェキ」である。ファンはお目当てのアイドルとツーショット写真を撮れるので、もはやステージよりもこちらがメイン。運営側としても原価が安く、同じファンに何度でも買ってもらえるため効率がいいのだ。しかし、このチェキタイムは、アイドルとファンが一番接触するポイントでもあり、暴走するファンが出てくる危険性も高い。

意味不明なポーズを指示してくる

あるアイドルグループを運営するスタッフの坂本航平さん(仮名)に話を伺った。

「チェキを撮るときに必要以上にアイドルに話しかけるファンは多いです。でも、そういうヤラカシを排除するのは簡単なんですよ。単純にルール違反なので、なにかあれば僕らが『ハイ終了です』と剥がしたり、出禁にすればいいだけですから。厄介なのは、ルール違反とも言い切れない謎の要求をしてくるファンですね」(坂本さん)

チェキ撮影時の「謎の要求」で代表的なのは、意味不明なポーズを指示してくるファンだ。

「他のファンと差別化したいのか、アイドルに妙なポーズを要求してくるんです。あとはオモチャとか野菜とか意味不明な小道具を持たせるというのもありますね。アイドルもよくわからないので言われたままやってしまうんですが、そのポーズがなにか変な意味を持ってたりするかもしれないので困るんですよね……」(坂本さん)

意味もわからず、卑猥なハンドサインをしてしまったアイドルもいるという。

ハートマークの多い、少ないでマウント合戦

「そのアイドルといままで撮ったチェキを何百枚もファイルに入れてきて、それと一緒に撮るというファンもいます。ある意味『これだけ課金してますよ』というアピールとも取れるので、ちょっと不気味ですよね」(坂本さん)

変わった行動をして、少しでもアイドルから認知されたいという心理もあるのだろう。

「撮ったチェキと一緒に焼き肉を食べている写真をSNSに挙げたり、テーマパークに行って、チェキとツーショットを撮ったりしてるファンもいますね。なかにはチェキをラミネート加工して、ラーメンに浮かせて撮影するという、何が目的なのかわからないファンもいました」(坂本さん)

チェキにはアイドルが直筆サインやメッセージを書き入れることがあるが、そこに添えられたハートマークの多い、少ないでマウント合戦が起こり、ファン同士のケンカに発展することもあるという。

「サインに添えるハートマークなんて、特に意味もないというか、アイドルがそのときの気分で描いてるだけじゃないですか。なのに、俺のほうが多いとか、大きいとか怒鳴り合ったりするんです。逆にハートマークが描かれてなかったことで落ち込んで、Twitterに恨み言をずーっと書いたりしてるファンもいます」(坂本さん)

チェキがそれだけ貴重になってくるのは、基本的にライブ中のステージは撮影禁止となることが多いからだ。

「ぶっちゃけ撮影可能にしてもいいんですけど、許可を出すと傍若無人なカメラマニアが集まってくるんですよ。ステージまで1メートルもない小さな会場なのに、月のクレーターでも撮るようなデカい望遠レンズを担いできて、客席に三脚を立てて撮ってたりするんで、他のお客さんの迷惑になるんです」(坂本さん)

とはいえ、望遠レンズで接写するだけならまだマシだという。

「運営としていちばん嫌なのは、写真がヘタというか、ヘタな写真を平気でSNSにアップするファンですね。何百枚も撮った写真を全部ネットにあげてたりするので、なかにはアイドルが半目だったり、可愛くない表情だったりする。そんな写真を他のファンが見たらアイドルのイメージダウンになるじゃないですか。

撮るのはいいし、ネットに挙げるのもいい。でも、せめて可愛い写真を選んでアップしてくれとは思いますね」(坂本さん)

撮影会の間、ひたすら昇り旗を振って応援している人

カメラ好きのアイドルファンには「撮影会」というイベントがある。参加費は高いが、水着姿のアイドルを思う存分撮ることができるので人気が高い。しかし、ここにも不思議なファンが集ってくると、アイドル撮影会を運営している尾花隆史さん(仮名)はいう。

「みなさんすごく高価で高性能なカメラを持ってくるなか、懐かしの使い捨てカメラを片手にやってくる中年男性がいるんですよ。たぶん、近くでアイドルを眺めたいだけなんでしょうけど、不思議ですよね。

あと、推しているアイドルの名前の入った昇り旗を持ってきて、撮影会の間、ひたすらその旗を振って応援している方がいました。最初は事務所の関係者なのかなって思ったんですが、一般のファンの方みたいで、写真も撮らずに時間いっぱい応援してましたね」(尾花さん)

ライブでも撮影会でも、アイドルの接触系イベントで運営がいちばん気をつけているのは、アイドルとファンが「つながる」ことだ。連絡先の交換などを目論むファンはたくさんいるようで、運営側としても特に未成年のアイドルには気をつけて対策しているという。

そこで、主に小・中学生のキッズ系アイドルグループを手がけている石田英之さん(仮名)に伺った。

「ウチは握手会もあまり行わないですし、接触にはかなり気をつけてます。会場の入出時も徹底的にガードしますし、イベントにはアイドル本人の保護者の方になるべく同伴してもらうようにしています」(石田さん)

しかし、そこで新たな問題が発生する。

キッズアイドルではなく、アイドルの“ママ”を狙うファン

「いわゆる“ママがっつき”がいるんですよ。キッズアイドルに同伴している保護者のママに話しかけて、家族しか知らない情報や写真などを入手しようとするんです。なかには、最初からママ狙いのファンもいて、実際に口説いてデキちゃったこともありました」(石田さん)

運営もさすがに保護者までには目が届かなかったようだ。しかし、ほとんどのファンは、アイドルから一歩引いた立場であることをわきまえ、ひたすら推しのために情熱を降り注いでいる。ただ、それが行き過ぎると、恐怖の事態が起こってしまう。

前出の坂本さんは語る。

「アイドルにとって、誕生月に行われる『生誕祭ライブ』は、収益的にも大事なイベントなんです。ファンも推しのアイドルのバースデーを祝おうといつも以上に力を入れてくる。あるファンは、生誕祭イベントでアイドルの顔写真を大きくプリントしたお面を作ったんです。それを大量に作って、当日会場に来たお客さん全員に配った。

それでライブが始まると、ファンがみんなお面を被って出迎える、というサプライズ演出をしたんですが、当のアイドルは会場を埋め尽くしたファンがみんな自分の顔をしているという異様な光景に声をあげるほど恐怖したそうです」(坂本さん)

あくまでもアイドル本人に喜んでもらいたいだけなのだが、その熱意が行き過ぎてしまうこともあるのだ。

アイドルと不遜なファンという、いびつな関係性が常態化

「あと怖かったのは、あるアイドルが生誕祭でファンからもらった色紙。いわゆる寄せ書きなんですけど、よく見ると、そのアイドルの親族や学生時代の友達からの直筆メッセージが書き込んであるんですよ。どうやらファンがそのアイドルの地元を訪ねて、友人知人からメッセージを集めたみたいで。アイドルが喜んでくれればと思って作ったみたいですけど、怖いですよね」(坂本さん)

アイドルが体調不良で休業したり、とつぜん引退するというニュースがたまに流れるが、このような、あまり表には出てこないファンの行動で心身が疲弊してしまったというケースもあるのかもしれない。

かつてアイドルはメディアの中だけに存在し、遠くから崇拝するように応援するものだったが、いまやいつでも会えて気軽に話せる存在になってしまった。物販のために頭を下げるアイドルと不遜なファンという、いびつな関係性が常態化してしまった以上、危険な事例はこれからますます増えてしまうだろう。

(清談社)

清談社

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