わが子が「問題だらけ」に見える親に伝えたい危険

わが子が「問題だらけ」に見える親に伝えたい危険

  • 東洋経済オンライン
  • 更新日:2021/10/14
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子どもを応援したい親ならば誰もが持つ、「親の色眼鏡」が問題を起こすことも(写真:マハロ/PIXTA)

※石田勝紀先生へのご相談はこちらから

現在中学2年生の娘のことで、相談です。中学受験をし、現在予定していなかった学校への進学でしたが、お友達にも恵まれ、コロナ禍の中でも楽しく学校生活をおくってはいるのですが、学力が下がりつつあり、机に向かっている時間の割には、学力テストの点数が悪いです。

また、整理整頓は小学生のときから苦手で、手をかけてきてしまったこともあり、優先順位をつけられないようです。注意をしても、改善できず、打ち込むこともなく、とにかく適当にこなすという感じで、面倒くさいが口癖です。将来が不安で仕方がありません。勉強も親がつきっきりでやらせて、という状態です。

ADHDを疑い、病院受診も考えています。どうか、よきアドバイスはございますでしょうか。

(仮名:猪俣さん)

子どもを応援したい気持ちが裏目に

これまでお子さんのために、本人の勉強や生活がもっとうまくいくように、なんとか短所がなくなるようにと、頑張ってこられたことがよくわかります。親として、子どもを応援したい気持ちはごく自然なことで、同じような対応をされる親御さんは少なくありません。

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しかし、そうした行動が、裏目に出てしまっている状態のように感じます。今のご状況をお聞きする限り、「根本的に対応方法が正しくない」可能性があります。もし対応が正しければ、効果が出ないまでも、このような負の連続状態にはならないように思うのです。

そこでまず、具体的に相談内容を分析してみます。

(1) 机に向かっている時間の割には、学力テストの点数が悪い

多くの場合、勉強のやり方を知らないだけということがあります。ただ書いて覚える、問題集を解くだけ、といった間違った方法で勉強する可能性が高く、その場合、勉強しても成績はなかなか上がりません。

(2)優先順位のつけ方がわからない

親の優先順位と子どもの優先順位が違っているだけかもしれません。また、整理整頓ができない子どもはとても多いのですが、それイコール優先順位がつけられないこと、と親が意味づけしてしまっている可能性があります。

(3)注意をしても、改善できない

その注意が伝わっていないかもしれません。注意をしているつもりでも、実際は感情あらわに怒っていることが強く伝わり、内容はほとんど伝わっていないことはよくあります。どのような注意をされているかわかりませんが、子どもは内容よりも感情を受け取ってしまうことがあるため、それこそ“注意”が必要です。

(4)打ち込むこともなく、とにかく適当にこなすという感じで、面倒くさいが口癖

親から監視され、あれこれうるさく言われると、親にこうした態度をとるようになる子は多くいます。親は「うざい」以外の何者でもないと、子どもが感じている可能性すらあります。

(5)勉強も親がつきっきりでやらせて

これをやればやるほど、ますます子どもは勉強から“自主的”に遠ざかっていきます。少し厳しい言い方にはなりますが、中学2年生でこの状態は望ましいと言えません。「子どもが勉強しないから親がつきっきりにならなければならない」のではなく、「つきっきりにいつまでもしているから子どもが勉強しなくなる」ということが実態と考えます。

(6)ADHDを疑い、病院受診も考えています

以上のように、極めて当然と思われる反応をしている子どもに対して、病院受診を検討されていることに少々危険を感じます。

子どもは学校生活を楽しく送っている状態ですから、極めて健全であり問題があるとは思えませんが、親の目から見たら問題だらけの子に映っているわけです。子どもにすればおそらく、納得いかないでしょう。

「親の色眼鏡」に問題の本質がある

なぜ、このようにすべての項目を180度ひっくり返してお伝えしたかといいますと、過去4000人以上の子どもたちを指導し、この5年間で8000人以上の母親からの相談を受けてきた経緯から、かなりの確率で「親の色眼鏡」に問題の本質があると感じてきました。

つまり、親がどういう眼鏡をかけているかによって、子どもの見え方が変わり、さらに、声かけが変わり、対応方法が変わるということです。

今、猪俣さんがかけている色眼鏡は、子どもの「欠点、短所ばかりが見える色眼鏡」です。すると、マイナス面ばかり探し、それを指摘して、また新たな不安を作り出します。その結果、指摘され続けた子どもの気持ちはどうなるでしょうか。

自己肯定感が下がることは言うまでもなく、「親をうざいと思い、イラつく」「親への対応が面倒になり、悪態をつく」「適当にあしらっておく」こうした反応を示すことが多くあります。

現状を変えていくには、「短所が見える色眼鏡」を「長所が見える色眼鏡」に変える必要があります。ですから、子どもをどうこうしようとか、あれこれ声かけすることでは現状は何も変わらないということです。

では、具体的にどうするといいでしょうか。

(1)子どもの長所を3つあげてください。その3つの長所を言語化して、伸ばしてあげてください。

→長所は、自分では気づかないことが多いです。なぜなら、意識しなくても自然とできる事柄だからです。ですから長所は指摘してあげないと本人は気づきません。一方の短所はというと、自分でよくわかっています。その短所を指摘されるから腹が立つのです。自分の長所に気づけば、短所を自ら是正してみようかと思う確率がぐっとあがります。これは人材育成の世界では、とても重要な原則とされています。

(2) 親は自分だけの時間を作り、自分の心を満たす

→子どもの一挙手一投足が気になり、しかもそれは短所や欠点ばかりであるとしたら、親御さんの心も日々不満に包まれている可能性があります。人は自分の心で感じていることと同じものを見つけるといいます。日々忙しい中でも、「忙中閑あり」と言われるとおり、短くとも自分だけの時間を作り、自分の心を満たすことを考えてみてください。

(3) 勉強以外の話題でコミュニケーションをとる

→現在の猪俣さん親子は信頼関係が弱くなっていると考えられます。信頼関係が築かれなければ、今後親のアドバイスを受け入れなくなることは想像にかたくありません。

大事なことは、コミュニケーション頻度を上げることです。ただし、テーマは「勉強以外」にし、気軽に雑談をすることです。上下関係が生じやすいテーマでは信頼関係は作られません。支配・被支配の関係となってしまうからです。そこからは信頼関係は生まれにくいのです。

3カ月で180度子どもの行動が変わる

以上、3つのうち1つ以上を3カ月間、行ってみてください。「短所ばかり見える色眼鏡」をかけていた方から、180度子どもの行動が変わったという報告が届いているのがこの3つの方法です。

筆者の経験上は、実際は3カ月もかかりませんが、期間を意識しなければ1カ月も続かないため、3カ月を意識することをおすすめしています。

家庭でも、職場でも、立場が強い人から行動を変えていかなければ、関係性はいつまでも変わりません。立場が弱い人から変わるということは極めて難しいものです。

もちろん実行は容易ではありませんが、「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」と決意することで、改善する可能性は高まります。ぜひ、参考にしてみてください。

(石田 勝紀:教育デザインラボ代表理事、教育評論家)

石田 勝紀

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