「選挙の命」握手ができない...コロナ下の衆院選、アピールに苦慮

「選挙の命」握手ができない...コロナ下の衆院選、アピールに苦慮

  • 毎日新聞
  • 更新日:2021/10/14
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公園で「青空集会」を開く立候補予定者=福岡市で2021年10月10日午後5時1分、土田暁彦撮影

14日の衆院解散から31日の投開票まで戦後最短の17日間。異例の短期決戦となる選挙戦が事実上始まり、立候補予定者たちは有権者への浸透を急ぐが、今回の選挙は新型コロナウイルスの感染対策が大きな制約になる。「3密」や人との接触を避けながら、いかに政策や人柄を売り込むか。各陣営は難題に直面している。

異例の任期満了直前解散 感染拡大が戦略に影響

「普段ならこの時期は公民館を借りて100~200人規模の集会を開いて、人が会場からあふれるくらい盛り上がるんだが。コロナ下であふれさせたら感染対策がずさんだと思われてしまう」。福岡県内のある選挙区で、自民現職の秘書はため息をついた。陣営ではせめて30人規模に縮小してでも集会を開きたいと考えているが異論もあり、「まさに協議中」という。

選挙区内でこまめに集会を開くのが難しくなったことで、自民党が得意とする選挙戦略も痛手を受けている。通常、同党の候補者は小学校区などの単位で集会を開催し、参加する支援者から、公示後に電話などで投票を依頼する知人らをリスト化した名簿を集める。別の自民現職の秘書は「新規の名簿がまったく集まらない。前回の衆院選(2017年10月)時の名簿を使うしかないが、久しぶりの選挙なので高齢化が進んでいる地区では亡くなっている人もいる」と悩みを打ち明けた。

従来は企業や団体の朝礼に参加して顔を売り込んできたが、コロナを理由に「今回は遠慮してほしい」と断られることも増えた。事務所の運営にも感染対策が求められる。選挙中は少しでも活気があるように見せたいのが各陣営の本音だが、今回は運営スタッフを減らすために、ビラの封入など作業の一部を在宅にしている陣営もあり、人の出入りはどの事務所も大幅に減っている。

事情は野党も同じだ。ある立憲現職の陣営は今月、「青空集会」と銘打って風通しが良い公園で50人規模の集会を開いた。過去の選挙では参加者を見送る際に握手を交わしていたが、今回は「グータッチ」にとどめている。握手は人の心を引き寄せる感覚があるという現職は「握手は命。できないのはつらい」とこぼす。

与野党とも集会の代わりに街頭のつじ立ちやSNS(ネット交流サービス)の活用に力を入れるが、集会を上回る効果が得られるかどうかは不透明だ。当選回数を重ねた現職でも、発信力を示すツイッターのフォロワー数が3000人に満たない人は少なくない。

知名度で劣る新人にとっては、状況はなおさら厳しい。野党系のある30代の新人は、若い世代に浸透を図ろうと大学生らを集めたオンライン集会の開催を試みたが、コロナ下でリモート講義が多い大学生と出会う機会がそもそも少ないため開催のきっかけすらつかめないという。この新人は「コロナ下の選挙戦では、地域をくまなく回ることが難しいのは現職も新人も一緒だ。知名度を高めるのは大変だが、つじ立ちを重ねるしかない」と話した。【土田暁彦、谷由美子、今野悠貴】

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