角野栄子さん、建設現場に足を運ぶ!─「江戸川区角野栄子児童文学館」開館プロジェクト 第10回

角野栄子さん、建設現場に足を運ぶ!─「江戸川区角野栄子児童文学館」開館プロジェクト 第10回

  • カドブン
  • 更新日:2022/11/25
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取材・文:葛山あかね
撮影:内山めぐみ

「江戸川区角野栄子児童文学館」開館プロジェクトレポート
▼第1回はこちらhttps://kadobun.jp/feature/readings/entry-42511.html
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「江戸川区角野栄子児童文学館」開館プロジェクト 第10回 角野栄子さん、建設現場に足を運ぶ!

「久しぶりに、ここに来ることができました。どんな感じで工事が進んでいるのか、ずっと気になっていたの」──角野栄子さんが、前回「江戸川区角野栄子児童文学館」の建設現場に足を運んだのは、施行が始まる前の2020年のこと。

今では、建物の輪郭が分かるまでに工事が進んでいます。角野さんは早速、ヘルメットを装着。複雑に足場が立ち並ぶ、建物の内部に足を踏み入れました(2022年9月)。

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興味津々!現場を歩き回る角野さん

「このスペースは何になるの?」「入り口からの奥行きはどれくらい?」「こっちは本棚で、あっちは吹き抜けになるのよね?」──現場の様子を確認する角野さんは、行く先々でスタッフに質問を投げかけます。

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図面を見ながら現場で説明を受ける角野さん。

「私、こういう現場を見るのが大好きなの。小さい頃から家に大工さんが来ると、その作業の様子を横でずっと見ていたりしてね」と楽しそう。

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階段を上る角野さん。

建物の中心となる「コリコの町の大階段」を2階に上がると、そこは中庭とつながる読書サロンや本の展示室のフロア。角野さんのご自宅の創作現場を再現したアトリエもできる予定です。それぞれの部屋の広さや窓の大きさ、方角、家具の設置場所の説明をうけた角野さんは、「図面だけでは分からなかったことが、具体的に見えてきました」と満足そう。

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3階のカフェスペースからは旧江戸川が見える(撮影:9月28日)。

さらに階段を上りきると3階はカフェ空間になります。窓の外にはデッキを設けられ、オープンエアで楽しむこともできるそうです。「明るくていいですね。旧江戸川も見えて見晴らしが良さそう」

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現場に建てられたモックアップ(実物大の模型)で、外壁の素材感や軒部分を確認。

モックアップの説明を受けて見学終了。角野さんは安心した様子で「まだまだ大変な作業が続くと思いますけど、よろしくお願いいたします。完成を楽しみにしています」と現場スタッフに言葉をかけていました。

難所“フラワールーフ”の設置へ

角野さんの訪問後も、工事は着々と進んでいます。9月下旬には、この児童文学館建設の「一番の難所」といわれる屋根の取り付け作業が始まっていました。花びらのように広がる形が特長の屋根、“フラワールーフ”の設置は苦労の連続だそうです。

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建物完成模型。上から見た“フラワールーフ”。

「屋根は大きく分けて10枚あります。1枚1枚形が違いますし、大きさも、設置する幅や角度もそれぞれ異なりますから、慎重で難しい作業になります」と話すのは、施工責任者の佐藤匡宏さん。今まで施工した建築物の中でも、トップレベルの難しさだといいます。

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屋根部分。鉄筋コンクリートの上にH鋼など(茶色い鉄骨)が設置されている。

まず大変なのは、屋根を取り付ける前の下地づくりです。「壁となる鉄筋コンクリートの上に、H鋼と呼ばれる重量鉄骨をのせ、そこに屋根を支える骨組みとなる母屋材や垂木材を設置していきます。H鋼を取り付けるために、事前に鉄筋コンクリートの所定位置に無数のボルトを打ち込んでおきます」と、現場を案内してくれたスターツCAM株式会社の施工担当の竹内勇磨さん。

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屋根を支えるための骨組みとなる母屋材や垂木材。中央の太い茶色の鉄骨がH鋼。

下写真の左下端を見ると、グレーのコンクリートの壁の上からボルトが何本も突き出ているのが見えます。このボルトに、穴を開けられたH鋼を取り付けることで、強固に留めることができるのです。

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取材時は3枚の“フラワールーフ”の設置が進められていた。

「このボルトの位置が少しでもズレてしまうと、H鋼をきちんとはめることはもちろん、のせることすらできません」と竹内さん。ボルトは全体で700箇所以上、しかもボルトを仕込む間隔は工事場所によって違うとのこと。緻密な作業です。

たった1㎜のズレが、大きなズレに

さらに難しいのは、“フラワールーフ”が立体的に重なり合う部分。形やサイズ、傾斜が1枚1枚異なり、それぞれがイレギュラーに重なります。ということは、生じる隙間がそれぞれ異なるということ。全体の形状を美しく仕上げるために、重なり合う屋根と屋根のバランスや屋根を支える鋼材の角度など、複雑な要素をすべて計算して進めていかなくてはなりません。図面との誤差が生じることもあり、都度、調整を繰り返しながら、屋根の花びらを形成していきます。

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完成パース。それぞれの建物の屋根同士が少しずつ角度を変えて重なっているのがわかる。江戸川区提供

竹内さん曰く、「屋根を支える垂木材の角度が1㎜ズレただけで、大きなズレに繋がってしまいます。“フラワールーフ”の見た目の美しさのためにはもちろん、雨漏りや劣化の原因に繋がるため、慎重な作業が要求されます」。

屋根材は、現場で加工!

また、現場には見慣れないものが……。ロール状のものや細長い板状の金属が何枚も重ねて置いてありました。「これが屋根のパーツになります」(竹内さん)。塗装が施された素材は、マットな質感のステンレス鋼材だそうです。

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ロール状のステンレス鋼材

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屋根では白色の面を上にして設置される。

屋根材は現場で、ロール状のステンレス鋼材を専用の機械に通して、両端を直角に曲げた建材に加工されていました。1枚の幅はおよそ30㎝。“フラワールーフ”10枚それぞれの面積に合わせた長さにカットされます。この板が組み合わさって、1面の大きな屋根の表面になるわけです。

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建設現場はたくさんの専門業者によって成り立っています。
地盤補強業者、鉄骨の組み上げを行う鉄骨業者、クレーンによる揚重作業などを行う揚重業者、足場を組み高所の作業を行う鳶職人、建物の外壁・内壁の塗装業者など。「江戸川区角野栄子児童文学館」は、緻密な設計とそれを支える職人の技術で建設が進められています。

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カドブン編集部

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