小島よしおが「なんで本を読まないといけないの?」と聞く中1女子に伝えたい、意外な“理由”とは

小島よしおが「なんで本を読まないといけないの?」と聞く中1女子に伝えたい、意外な“理由”とは

  • AERA dot.
  • 更新日:2023/06/01
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小島よしおさん(撮影/松永卓也=写真映像部)

「なんで本を読まないといけないのか」という相談を送ってくれたのは、中学1年生の女の子。数多くの子ども向けライブを開催し、YouTubeチャンネル「おっぱっぴー小学校」も人気の小島よしおさんが子どもの悩みや疑問に答えるAERA dot.の本連載。月に5~8冊読んでいるという小島さんが考える、本の魅力とは? 読書の時間が楽しくなるヒントも聞きました。

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【イラスト】小島よしお画・心が“落ち着く”癒やしキャラクター(全3枚)【相談40】
なんで本を読まないといけないのか。学校でも「読書の時間」というものがあり、日本語と英語の本を読むように言われている。いまではほとんどの人がスマホを持っているのに、わざわざ本を買わなければいけない理由を知りたいです。(ぷりん・中学1年生・女子)

【よしおの答え】
ぷりんピーヤ、いろんな情報の受け取り方がある時代に、疑問を持てるってすばらしい!ぷりんちゃんが言うように、いまはスマホがあればすぐにいろんな情報にたどり着くことができる。ネット検索すれば知りたいことの答えはだいたい出ているし、もっと詳しく知りたかったら誰かが動画で解説してくれているし、もちろん電子書籍もあるからね。

だけどいまでも多くの学校が読書を推奨していると思うし、学校には図書館が必ずあるよね。よしおが小学生のころから「本を読もう」とは言われていたし、誰の言葉かわからないけど「本は心の栄養」って言ったりもする。簡単に情報を得られる世の中で、どうしていまだに読書がすすめられるのか、よしおと一緒に考えてみよう!

まずはよしおの“読書体験”から話してみようかな。よしおは“読書家”って大きな声で言えるほどじゃないけど、本を読むことが好き。だいたい月に5~8冊は読んでいるかなあ。本を読むと新しいことを知ることができるのはもちろんだけど、“本を読んでいる俺、なんかかっこいいなあ!”って思うんだ(笑)。

よしおの後輩も、「明治神宮外苑のイチョウ並木(道沿いにイチョウの木がたくさん並んだ東京の名所だよ!)のベンチで村上春樹を読む自分に酔いしれていた」って言っていた。よしおも、大学時代は古めの喫茶店に入って芥川龍之介とか夏目漱石とかを読んで自分に酔っていたよ(笑)。「そんな目的で本読むの?」と思うかもしれないけど、これがけっこう充実した時間なんだ。

■目で追いかけてページをめくる本の魅力

じゃあなんで本を読むとそんなに充実感があるのか、考えてみた。まずは、紙の本と電子書籍の違い。電子書籍は、スマホやタブレットが1台あれば何冊も持ち歩くことができるね。家でも、本を置く場所をとらないからスペースに余裕ができる。紙を使わないから環境にもいいかもしれないね。

ただ、スマホやタブレットには誘惑が多い。誰かからメッセージが来たり、SNSをついチェックしてしまったり……。一方本は重くてかさばるけど、文字を追うのに集中できる。誘惑がないからこそ、本の世界に集中できるんだ。

そしてなんといっても、紙の本は1冊読み終えると達成感がある。ランニングをして目的地に着いたようなね。物として実際に目に見えるから、「ああ、俺これだけ読んだんだなあ」って実感できるんだ。電子書籍もいいと思うけど、達成感を得たくて紙の本を読んでいるっていうのもあるかもしれないなあ。

じゃあ次にスマホで得られる情報と本で得られる情報の違いについて考えてみよう。ネットの情報はすぐに何かを知りたいときには調べればすぐに答えが出てくるからすごく便利だね。それに対して、本は読むのに時間がかかるけど、情報がきっちり整理されていてまとまっている。

ネットの情報が全て間違っているわけではないけど、正しいかどうかを見分けるのは至難の業。だけど本はいろんな人の目を通って出版されているから、信頼できると思うんだ。それに、自分の考えを整理したり、知識を深めたりするときに、切り取り記事よりも順序だてて物事を考える手助けになるのが本なのかな、って思う。

自分に蓄積される知識の量も違う気がするんだ。不思議なもので、ネットサーフィンをしていると情報がどんどん流れていってしまう感じがするんだよね。反対に本は、自分の目で追いかけて自分の手でページをめくるっていう能動的な行為だから、情報を自分で手にしている感じがする。そうすると、自分のなかでもどんどん知識が重なっていくのを感じるんだ。

本を手にする過程も、よしおにとっては大切な時間。ネットですぐに本を買うことはできるけど、よしおは本屋さんや図書館に行くのをおすすめしたい。自分が欲しい本以外にも、いろんな情報が一気に目に飛び込んでくる環境だから、とても刺激があるんだ。自分では気づいていなかったけど実は興味を持っていたことが目に入ってきたり、自分には興味がないことでも周りの人が興味を持っていることが何かわかったりする。それを体験するのが楽しいんだ。

ネットで本を買うのと比べて、入ってくる情報量が全然違うんだよね。寄り道ができるっていうか、余白を感じるというか。それを感じたくて、本が欲しいときにはなるべく本屋さんに行くようにしているよ。

■本は読み切らなくてもOK!

ここまで一方的によしおが思う本のすばらしさを伝えてみたけど、何かピンときたかな? 自分で実感しないとわからないことだから難しいかなあ。ところで、ぷりんちゃんの学校の「読書の時間」は決められた本を読むのかな。それとも読む本の内容は自由で、日本語の本と英語の本を自分で探してきて読むのかな。

もし自分で本を選べるなら、とにかくいろんなジャンルの本を手にとってみたらどうだろう。学生のころって、「本は最初から最後まで1冊読み切らないとだめ」って思い込みがあるかもしれないけど、もし読んでいる本が「ちょっと読むの苦しいな」って思ったらどんどん違う本に切り替えてOK! よしおも、同じ内容の本でも読む時期によって、読みやすいときとそうでないときがあるんだよね。その情報を欲しているときにスラスラ読めるのかも。喉が渇いているときっていっぱい水飲めるよね? そんな感覚に近いかな(笑)。

本って小説もあれば知識を得る教養系の本もあるし、いろんな人の経験や考えが書かれたエッセーとかコラムもある。本っていろんなジャンルがあるから、絶対に好きなものがある気がするんだよなあ。もし許されるなら「読書の時間」に複数冊机に置いて、いろんな本をかじり読みするといいかも。「これなら読める!」という本に出合えたら、そこから本を読む面白さや知ることの面白さを知ることができるかもしれないね。

決められた本を読まなきゃいけないなら、それをゲームにしちゃうっていう手もあるかな。例えば、決められた時間に何ページ読めるか毎回ページ数を数えてみるとか、クラスの子と読んだ本の内容のクイズを出し合うとか。「このとき、主人公は何色の服を着ていたでしょう?」とかね。

そもそも本が苦手なようだったら、漫画や映像から入るのもありだと思うよ。よしおは湊かなえさんの『Nのために』っていう本はドラマが面白くて、もっと内容を知りたいと思って小説を買って読んだんだ。より作品を楽しめるし、ドラマで描かれていないストーリーも知ることができたよ。

だけど、必ずしも本を買わなきゃいけないってことはないし、読まなきゃいけないってこともないと思う。本を読まなくてもいいと思う人がいるのは別に悪いことじゃないからね。それに、「~しなきゃいけない」って義務のように感じて苦しいよね。

でも、学校で決められた課題をそう簡単に覆すことはできないから、せっかく設けられた時間なら「こうしたら楽しいかな」って考えられたらいいな、ってよしおは思う。それに、よしおは本のおかげで充実した時間を過ごせているから、少しでもその良さがぷりんちゃんにも届くといいなあ、と思う。本の楽しみ方って実はいろいろあるからね。ぷりんちゃんが相談を送ってくれたことをきっかけに、何かが少しでも変わったらうれしいな!

……って、僕は思うんだけど、君はどう思うかな?

(構成/濱田ももこ)

●小島よしお(こじま・よしお)/1980年、沖縄生まれ千葉育ちのお笑い芸人。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。「そんなの関係ねぇ!」でブレーク。2020年4月からYouTubeチャンネル「小島よしおのおっぱっぴー小学校」で子どもの学習を支援する動画を公開。キッズコーディネーショントレーナーの資格を持ち、子ども向けのイベントを多数開催している。

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