女性活躍社会 看板倒れに終わらせるな

  • 西日本新聞
  • 更新日:2020/09/16

「女性の活躍」を看板政策に掲げたこと自体は評価したい。だが残念ながら、満足できる結果が得られたとは言えまい。

きょう退陣する安倍晋三首相は2013年、成長戦略として「女性が輝く社会」を目指すと表明した。15年に女性活躍推進法、18年には政党に選挙の候補者の男女均衡を求める政治分野の男女共同参画推進法が成立した。女性の社会進出を後押しする法整備は着実に進み、企業社会や政界に女性登用を促した意義は小さくない。

それでも、男性中心の価値観や慣習が深く根付いた日本社会は、そう簡単には変わらない。

政府は20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げる目標「2030」を掲げてきた。現状は企業の管理職や衆院議員に占める女性の割合は1割程度にすぎない。

世界経済フォーラムの男女平等度ランキングで日本は長年、低位に甘んじてきた。19年は153カ国中121位だった。特に評価が低いのが政治分野だ。推進法施行後初の国政選挙となった19年参院選では、与党自民党の女性候補者の割合は約15%だった。地方議会も依然、男性が圧倒的多数で、女性議員がいない議会も珍しくない。

女性の雇用が増えたのは事実だ。ただし、大きな伸びを示しているのは比較的賃金が低く、不安定な非正規雇用である。賃金格差は男女間だけでなく、女性の間でも広がっている。

労働における男女格差はコロナ禍で浮き彫りになった。

労働政策研究・研修機構の調査によると、今年5月時点の休業者の割合は男性より女性が高く、特に18歳未満の子どもがいる女性の休業が目立った。学校や保育施設が休みになり、母親が子どもの世話をするために休業を迫られたとみられる。

次第に解雇や雇い止めが増加し、母子家庭の困窮が深刻化していることも見過ごせない。

共働き世帯を支える育児支援は拡充されてきたが、質量ともにまだ物足りない。希望しても認可保育園に入れない待機児童の解消も喫緊の課題だ。

コロナ禍で在宅勤務を経験した男性の多くが、家事・育児に対する意識が変わり、夫の役割が増大したという調査結果がある。こうした変化の兆しを教育や啓発活動を通じて、さらに盛り上げたい。「男は仕事・女性は家庭」という性別による役割分業意識を最終的に社会から一掃することも大切である。

女性の活躍を「看板倒れ」に終わらせず、実効性を高める。それは、きょう発足する菅義偉政権の大きな課題でもある。

西日本新聞

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