6月10日は「時の記念日」。671年に天智天皇が漏刻(水時計)を使って、日本で初めて時を知らせたという故事に由来しています。「記念日」とされるようになったのは、1920(大正9)年のこと。現在では「時間に正確」と言われる日本ですが、当時、時間を気にしない人が多かったようです。
【写真4枚】天文腕時計「ロイヤル・アイゼ・アイジンガ― リミテッド エディション」
そこで時間厳守を促すため、この年の5月から7月にかけて、国立科学博物館の前身である東京教育博物館で、時間をテーマにした「時」博覧会が開催されたのです。当初は会期1か月の予定でしたが、約7週間、43日間に延長され、22万人もの人が足を運びました。
「最初の時の記念日」には、東京で5万枚ものビラが配られ、通行人に「正しい時刻にお合わせください」とそれぞれが持つ時計を合わすよう呼び掛けを行いました。さらに正午には、東京全市に大砲がなり、工場や事務所の汽笛が鳴り、その音はしばらく響いていたそうです。
日本の標準時を決める子午線が通る街のひとつ・明石。明石市立天文科学館は1960年6月10日に開館し、その建物(塔時計)は子午線標識の役割も果たしています。漏刻の復元模型や、和時計やぼんぼん時計、精密な原子時計のほか、日時計や塔時計(子午線標識)など、時に関する展示も多くあります。今年も「時の記念日」の来館者には子午線通過記念証を配布(先着順)するほか、夜にはオンライン配信も予定しています。
そして今年・2023年はプラネタリウム100周年。これを記念して、同天文科学館では世界最古のプラネタリウムをモデルとした精密機械式天文腕時計を、時の記念日を含む6月9日から11日までの3日間限定で特別公開します。

天文腕時計「ロイヤル・アイゼ・アイジンガ― リミテッド エディション」 画像:明石市立天文科学館HPより
特別公開されるのは、オランダにある世界最古のプラネタリウム「アイジンガー・プラネタリウム」をモデルとして制作された「ロイヤル・アイゼ・アイジンガ― リミテッド エディション」。アイジンガー・プラネタリウムは美しい青緑の内装が特徴で、特注の油彩で腕時計の文字盤に再現しました。

明石市立天文科学館HPより
手作りで世界に6点しかなく、参考価格は1200万円。今回展示されるのは国内でただ一つのものです。またアイジンガー・プラネタリウムの紹介や、世界の天文時計写真なども併せて展示されます。

「アイジンガ―・プラネタリウム」外観 (パネル展示) 画像は明石市立天文科学館HPより
同館の井上毅館長は、「時計文字盤の中央下の円形は、中に太陽を中心にめぐる惑星の機構が組み込んであり、これこそまさにプラネタリウムです。世界最小のプラネタリウムと言えるでしょう。その精密な造形にも注目してほしいです」と話し、「博物館でこのような形で展示されるのは初めてではないか」とも言います。
同館のプラネタリウムは、開館当時からのもので、現在稼働しているものとしては日本で最も古いプラネタリウム。「世界最古」と「日本最古」。プラネタリウム100周年の時の記念日に、「明石」に集います。

明石市立天文科学館
プラネタリウム100周年記念事業 精密機械式天文腕時計
「ロイヤル・アイゼ・アイジンガ― リミテッド エディション」特別公開
2023年6月9日(金)~11日(日)
明石市立天文科学館 3階 特別展示室
ラジオ関西