
3月25日、京セラで岡田監督㊧と話す青柳。〝二者面談〟から信頼が深まった
18年ぶりのリーグ優勝を飾った阪神のプレーヤーが、岡田彰布監督(65)の改革を語る連載「岡田監督のアレやコレや」。第4回は青柳晃洋投手(29)。今季8勝4敗、防御率4・17と悔しさが募るシーズンだが、将から受けてきた大きな期待。勇気を出して歩み寄った対話から、信頼関係は深まっていった。
18年ぶりの歓喜に飛び込み、沸きあがる甲子園の大観衆の前で行われた優勝監督インタビュー。今季の投手陣について問われた岡田監督は、マイクを通してこう話した。
「最初はね、西(勇)と青柳でいっぱい勝てると思ったんですけどね。なかなか勝てなかった」
就任時に思い描いた先発ローテの中心は昨季3冠(最多勝、最優秀防御率、最高勝率)の青柳。「2年連続最多勝のピッチャーによう言わんわ、そんなん。失礼やろ」と右腕はオフの調整方法を一任され、目標だった開幕投手も初めて務めた。
ただ、開幕前最後のオープン戦登板だった3月24日のオリックス戦(京セラ)では左打者の外角に外れる球が目立ち、指揮官は「クイックで外に流れてボールばっかりになるなあ。クイックは(17日に登板した)神宮のときにも言うたやんか」と苦言。その発言に青柳は「監督と紙面で会話したくない」と口をつぐみ、翌日に将のもとに駆け寄った。
「監督が求めていることがあるのであれば、それに応えるのが選手。何を求めているのかをちゃんと聞きにいかないといけないと思った」
歩み寄ることに「勇気は要りました」と明かすが、感じたのは文字で見たコメントの真意と自らの考えをきちんとすり合わせ、起こり得る誤解を防ぐことの必要性。〝二者会談〟を通して求められていることも理解し、開幕を前に同じ方向を向いて歩み出すことができた。
「監督のイメージは、最初と今では違う」
次第に人柄も分かり始めれば試合後の監督談話も気にならなくなったといい、一歩ずつ信頼関係を築いてきた。
タイトルが証明する昨季までの活躍から一転、今季は2カ月弱の2軍生活も経験したが、昨秋から一貫する指揮官の思いはしっかりと感じている。
「期待してくれているから、いまこの成績でも投げていると思うし、この成績でも投げさせてもらっているからこそ8勝できていて2桁勝利も狙える。その期待には絶対に応えないといけない」
無論、CSと日本シリーズも報いるための日々に含まれる。青柳がその使命を果たしたとき、両者はより強固な信頼で結ばれる。(特別取材班)