黄砂とは?現状や具体的被害、政府の取り組みについて簡単解説

黄砂とは?現状や具体的被害、政府の取り組みについて簡単解説

  • 政治ドットコム
  • 更新日:2021/06/11
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黄砂とは、偏西風によって中国やモンゴルの砂漠の砂が、日本にまで飛んでくる現象を指します。
中国では砂漠化が進行しており、それに伴う黄砂の被害も年々深刻化しています。

今回の記事では、

黄砂の概要

黄砂の現状

黄砂がもたらす具体的な被害

黄砂に対する政府の取り組み

についてわかりやすく解説していきます。
本記事がお役に立てば幸いです。

1、黄砂とは

黄砂とは、中国やモンゴルに位置する

タクラマカン砂漠

ゴビ砂漠

黄土高原

の土壌や小さな鉱物が、偏西風によって舞い上がり、東アジアまで飛んでくる現象です。

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画像出典:黄砂ってなに?|環境省

黄砂は、

農業

生活環境

人体

に被害を与えるばかりではありません。

黄砂を核とした雲や雨などによって、地球全体の気候に影響を及ぼしています。
こうした悪影響から、黄砂はサハラ砂漠のエアロゾルと合わせて「世界の2大鉱物性ダスト」と呼ばれています。

参考:黄砂ってなに?|環境省

(1)黄砂の原因

黄砂被害が拡大する原因には、過放牧や森林伐採などの「人間の活動」が、関連していると言われています。

黄砂は主に乾燥地帯で発生します。
乾燥地帯では、冬に土壌がむき出しになり、春になるにつれて低気圧が発達し、強風が発生します。

この強風により巻き上げられた砂塵が、日本を含む東アジア一帯に飛来するのです。
そして近年、中国による都市開発などの影響で、黄砂の発生地域が拡大していると言われています。

例えば、開発に伴う森林伐採によって、多くの土壌が剥き出しになります。
剥き出しになった土壌は劣化し、砂漠化につながるのです。

また、人口増加に伴う食料需要を満たすため、十分に回復していない土壌が使われます。
こうした不完全な土壌を酷使することで、荒れ地となっているケースもあるようです。

(2)黄砂の成分

黄砂の主な成分は、石英や長石、雲母などの鉱物粒子です。

これらの鉱物にアレルギー物質はありません。
しかし中には針状や繊維状の鉱物があり、吸い込むことで人体に悪影響が出る場合があります。

また飛来する途中で、PM2.5やカビ類が付着します。
こうした汚れのついた黄砂を吸い込むことで、アレルギーを発生させることもあるようです。

上記の理由により、中国の工業都市から出る、大気汚染物質が非常に問題となっています。

2、日本における黄砂の現状

黄砂は年間約1億トンにも上ります。
そのうち数百万トンが、日本の上空に飛んでくると予想されています。

黄砂が問題になり始めたのは、日本への飛来回数が急増した2000年頃のことです。

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画像出典:黄砂観測日数の経年変化|環境省

環境省のまとめた黄砂飛来状況によると、黄砂の飛来量は、

東日本より西日本

太平洋側より日本海側

の方が多いようです。

特に九州では空が黄色く染まり、洗濯物や自動車に大量の汚れが付着しました。
極端に見通しが悪化したため、飛行機が欠航する事態にもなりました。

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画像出典:黄砂観測日数の経年変化|環境省

2021年3月には、高濃度の黄砂が日本に飛散し、国境を越えた深刻な問題となっています。

参考:知ってる?意外な豆知識|環境再生保全機構
参考:過去の黄砂飛来状況|環境省

3、黄砂による具体的な被害

黄砂による具体的な被害である

生活への影響

健康への影響

についてみていきましょう。

参考:PM2.5成分および黄砂が循環器・呼吸器疾患に及ぼす短期曝露影響に関する研究
参考:黄砂とその健康影響について|環境省

(1)生活への影響

黄砂は一過性の砂ぼこりではなく、私たちの生活に大きな影響を及ぼします。

実際に

精密機械工場への影響

航空機の運航影響

家畜の死亡

畑やビニールハウスへの被害

道路や建物埋没

送電線への被害

といった多くの被害が、モンゴルや中国で報告されています。
また黄砂の社会的影響は、砂漠化が進んだ地域だけでなく、周辺地域も巻き込んだ広範囲に渡ります。

日本でも、視界不良による交通障害や、洗濯物への付着などの被害が出ています。

(2)健康への影響

黄砂は、人体に対しても大きな影響を及ぼします。
黄砂はスギ花粉より小さいため、吸い込んでしまうと肺胞まで到達する恐れがあるのです。

環境省が2018年3月に発行した「黄砂とその健康影響について」では

アレルギー疾患

呼吸器疾患

循環器疾患

といった健康への被害が懸念されています。

①アレルギー疾患

黄砂は、アレルギーの発症リスクを高めます。

具体的には

目のかゆみ

結膜炎

鼻水

くしゃみ

といった症状を引き起こします。

②呼吸器疾患

黄砂は、呼吸器疾患の発症リスクを高めます。

黄砂の粒子に付着する

大気汚染物質

細菌

真菌

などが、原因の1つです。

③循環器疾患

黄砂は、循環器疾患の発症リスクを高めます。
黄砂が肺を通り抜けて、血管に入る可能性があるためです。

特に高齢者への影響が大きく、

高血圧

糖尿病

慢性腎臓病

喫煙者

であるほど、循環器疾患へのリスクが高まると言われています。

4、黄砂に対する国の取り組み

ここからは黄砂に対する、政府の取り組みについて詳しくみていきましょう。
日本では、以下のようなプロジェクトを通して、黄砂への取り組みを進めています。

ライダーモニタリングシステムの構築

ADB-GEF黄砂対策プロジェクト

黄砂情報提供ホームページ

参考:黄砂対策への環境省の取組|環境省

(1)ライダーモニタリングシステムの構築

環境省では、リアルタイムで黄砂を観測する「ライダー」の設置を進めています。

ライダー(LIDAR:Light Detection And Ranging)とは、浮遊する粒子状物質に反射するレーザー光線を捉え、上空の黄砂をリアルタイムで計測する機械です。

規模や頻度が拡大している黄砂に対し、より詳細な黄砂現象を解明するため、設置されました。
環境省がライダーを設置しているのは、

富山県

島根県

長崎県

新潟県

東京都

の5基です。

これに加え、国立環境研究所などの研究機関が、

札幌市

仙台市

つくば市

千葉市

東大阪市

長崎県福江島

沖縄県辺戸岬

の7ヶ所にライダーを設置しました。
官民一体となり、黄砂観測用のライダーモニタリングシステムの整備を進めています。

(2)ADB-GEF黄砂対策プロジェクト

国境を越える環境問題である黄砂について調査や対策を行うには、関連する国・地域との協力が欠かせません。

そこで、2003年1月、

国連環境計画(UNEP)

国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)

国連砂漠化対処条約事務局(UNCCD)

アジア開発銀行(ADB)

の4つの国際機関と

日本

韓国

中国

モンゴル

の4ヶ国合同でADB-GEF黄砂対策プロジェクトが開始されました。

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画像出典:黄砂対策への環境省の取組|環境省

ADB-GEF黄砂対策プロジェクトは、ADBおよび地球環境ファシリティー(GEF)の資金を活用し、

地域協力のフレームワーク作り

黄砂被害緩和へのマスタープラン作り

を目的としたプロジェクトです。

2005年には、北東アジアの「黄砂被害緩和における地域協力活動プラン」を報告書として作成しました。

このプランに従い、日本・韓国・中国・モンゴルの4ヶ国が協力して、黄砂への取り組みを行っています。

(3)黄砂情報提供ホームページ

環境省と気象庁は、黄砂情報をまとめた共同のHPを開設しています。

具体的には

黄砂分布の解析

気象衛星による観測情報

目視による黄砂観測情報

ライダーによるリアルタイムの黄砂観測情報

地図から見る浮遊粉じんの観測情報

黄砂予測情報

黄砂に関する気象情報

が主に公開されています。

黄砂について、更に詳しく知りたい方は以下のURLをチェックしてみてください。

参考:黄砂情報提供ホームページ

まとめ

今回は黄砂について解説しました。
黄砂は自然現象の1つですが、人間の開発に伴う伐採などで、被害が拡大しているようです。

日本においても黄砂による悪影響に悩まされる人が、今後増えていくかもしれません。
中国では黄砂だけでなく、大気汚染のレベルも急上昇しており、国際的な取り組みが強く求められています。

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