約一ヶ月前の町田ゼルビア戦、我々HOTSTUFFは新たに3x3mサイズのアルミポール旗を導入した。
2021年11月のフラッグ解禁から2年足らず、ジュビロのゴール裏は以前と見違えるほど華やかになった。その次のフェーズとして、より大きな旗を増やしたいという意見はグループ内でも前々から出ており、どうせ作るなら節目のタイミングにしようということで、8/6開催のJリーグ昇格30周年記念マッチに合わせて製作を始めることになった。
しかし、7月終盤になっても仲間内のスケジュールが合わなかったり作業場所が確保できなかったりと、なかなか思うように作業に取りかかれない時間が続いた。その間にも週末は群馬ダブルヘッダー(https://note.com/hotstuff_iwt/n/na7a459aabb08)&いわき戦(https://note.com/hotstuff_iwt/n/nfaa2fc8a5146)とアウェイ遠征に費やされ、気がつけばあっという間に8月に突入。ポール旗計画は始まる前から頓挫しかけていた。
ゴール裏にデカい旗を増やしたいという想いは同じだったようで、いつも一緒に応援させてもらっているULTRA’ IWATA STALWART、DESAFIOもこの夏3*3mの旗を製作していた。特に同じタイミングで出そうという話をしていたわけではなかったが、両団体とも一週後のアウェイ町田戦に照準を合わせていると聞いてすぐに方針を変えた。
「よし、俺らも町田戦で出そう!」
このフレキシブルさがHOTSTUFFの強みである。そうは言っても残された時間はもう二週間もない。グループ内で特別製作チームを編成し、大急ぎで作業に取り掛かった。
8月3日 布を買う
今回のポール旗はHOTSTUFFが誇るマテリアル製作部隊、tkm&やまけんがメインで担当することになった。彼らが手がけた「HOTSTUFFマテリアル製作講座〜ゲーフラ編〜」(https://note.com/hotstuff_iwt/n/n231ab1ahttps://note.com/hotstuff_iwt/n/n231ab1a5dd0d5dd0d)はありがたいことに大変好評をいただいたようで我々としても嬉しい限りだが、今回については特に人様の役に立つ内容ではないことをあらかじめご了承いただきたい。
布のチョイスだが、tkmいわく染◯郎などメーカー製のパイフラでもよく使用されているテトロンポンジという布があるらしい。とても薄いので大きなサイズでも振りやすいし、手書きのデザインが簡単に裏まで透けてくれるので両面に絵を描く必要がない。なるほど、メーカーが採用するだけのことはある。あまり一般流通していないのか、都内の大きな手芸用品店を探してみたが在庫がなかったため、言い出しっぺのtkmが某クリムゾンレッドのネット通販で手配することになった。
tkm「買いました」

「ちょっと待て、高くね?」
tkm「184mあるので。これはロール丸々でしか売ってませんでした」
かつてこんな衝撃と共に始まった旗作りがあっただろうか。仮に3x3mを毎年一本作ったとしても向こう20年は布に困らない計算だ。これを躊躇しないでポチれる彼はやはり只者ではない。ていうかお前ほんとにシラフか?
tkm「金額が20万とかだったら無理だけど2万ならアウェイ1回お休みで元取れるので」
本末転倒オブザイヤーである。
数日後、tkm家には業者さながらのロール布が届いた。買ってしまったものは仕方がない。潔く次の工程へ進むことにしよう。

テトロンポンジ184m。どう考えても狂ってる
8月8日 ミシン掛け
地元組で唯一自宅にミシンがあるという理由で、全工程のなかで最もめんどくさいであろうミシン掛けはやまけんが担当する羽目になった。
購入した布は巾幅が1.2mほどあるので、最終的に3x3mになるよう重なり部分を微調整しながら縫い合わせていく必要がある。アルミポールが入る棒袋のための余白を取り、突き破らないよう先端部分を当て布で入念に補強。サイズがサイズだけに、耐久性にはしっかり気を配りたい。

普段から裁縫に慣れていない人間にとって、薄い布をミシンで縫い合わせていく作業はかなり難易度が高い。布がミシンに巻き込まれてしまったり、途中で重ね合わせがズレてしまったりといったトラブルはザラだ。塗り作業にかかる時間を考慮すると、ミシン掛け完了のタイムリミットはすぐそこまで来ている。
失敗続きのストレスで奇声を上げながら夜中までミシンを掛け続けたやまけんの頑張りにより、なんとか3x3mの一枚布が完成。スペシャルサンクス、やまけんのオカン。

なお、パイフラの作り方についてはSTALWARTのShutoくんが素晴らしく分かりやすいHOW TO記事をアップしてくれているので、自作に興味がある人はぜひこちらをチェックしてほしい。こんな駄文の100万倍タメになること間違いなしだ。
http://solidsuuto0411.livedoor.blog/archives/13471861.html
とりあえず旗の形にはなった。とはいえ、大変なのはここからだ。どうやら他団体の旗はすでに完成したらしい。これでうちだけ間に合いませんでしたなんて事態は超絶カッコ悪い。是が非でも完成させなくては…。
8月10〜11日 色塗り作業


ゆめりあの多目的室を押さえることができたのは町田戦直前の8/10 (木)、8/11(金)の二日間、夕方から夜にかけての計6時間のみ。このサイズの旗を仕上げるには時間的に心許ないがやるしかない。静岡県内在住のメンバー達が集まって塗り作業を進めていく。
サイズが大きくなってもデザインの塗り方は以前あげたゲーフラ編のやり方と基本的に同じだ。まず布に輪郭を下書きしてから元デザインに沿ってどんどん色を塗り進めていく。直線部分はマスキングテープで縁取ったほうが輪郭が綺麗に仕上がる。詳しい工程は前回のゲーフラ編をご参照いただきたい。
ちなみに今回のように大きな布、もしくは白以外の布に下書きをするにはプロジェクターがあると断然便利だ。数千円レベルの安物でもデザインを転写するくらいなら十分使えるので、一台持っておいて損はない。

設備面の事情もあり、今回はコンビニプリントのA4印刷144枚を繋ぎ合わせて下書きを進めていく。改めて見ると引くほどデカい。

横断幕やゲーフラなら水性ペンキやアクリル絵の具という選択肢もあるが、多少のゴワツキが出るためフラッグには向かない。布専用の塗料もあるが高価すぎるため、手に入りやすく耐水性もあるという万能振りを買って今回はポスカを採用。あとはひたすら塗っていくだけ。
多少の色ムラはむしろ味なのでまったく問題無し。良くも悪くも、作った本人以外は細かい部分まで見てないものだ。気楽にやろう。


だんだんと布に色がついてデザインが浮かび上がってくる過程こそマテリアル作りの醍醐味には違いないが、そうは言ってもこの工程が体力的に一番キツい。

地元組が連日塗り作業に奮闘するも、二日目終了時点で完成度は8割程度。残りは翌日、町田戦当日の午前中に野津田公園内で仕上げ作業を行うことになった。夏休みの宿題を9/1の朝に大慌てで終わらせるようなものだが仕方ない。もはやなりふり構っている場合ではないのだ。
特に我々関東組はここまで一切作業を手伝えていないので、地元組の頑張りに報いるため是が非でも仕上げてスタジアムで掲げようじゃないか。翌日のラストスパートに向け、覚悟を決めてベッドに入った。
8月12日 町田戦当日

起きたら出来てた。
寝惚けたままの頭では何が起きたのか分からずスマホをニ度見した。
「クソ暑い真夏の野外で塗り作業やるくらいならクーラー効いた部屋で徹夜したほうがマシ」という強い意志をもってtkmが一晩で仕上げ切ってしまった。この男やはりどうかしてる。最高かよ。
地元組の浜松出発は朝7時台。ほとんど寝ずにスタジアムまでやってきた勇者のおかげで、我々のポール旗は微力ながら町田GIONスタジアムのアウェイスタンドを彩ることができた。5m近いアルミ製のポールを振り続けることの体力的負担は想像以上だったが、それよりも迫力のあるゴール裏に向けて一歩前進できたという歓びのほうが大きい。
昨日の町田戦はアルミポール旗が新たに3本登場しました。他団体がここに照準を合わせて作ると聞いて、うちも乗っからせてもらった次第です。
お互い刺激し合ってゴール裏が盛り上がっていくのが理想的だと思うので、団体も個人も関係なくどんどん作っていきましょう! pic.twitter.com/BCCwufAyhj
— HOTSTUFF (ジュビロ磐田応援グループ) (@HotStuff_IWT)
August 13, 2023
from Twitter
ってか、こうして振り返るとメンバー個々の根性でなんとかやり切った感がハンパない。ブラック企業かよ。適当人間が仕切るHOTSTUFFの辞書にに計画性などという言葉は初めから存在しないのだ。
デザインについて〜まとめ

旗のデザインにはクラブの過去、現在、そしてこれから創っていく未来への想いを込めて「THEN, NOW AND FOREVER」という文言を、そして中央にはこれまで獲得した主要タイトルのトロフィーと三光鳥を入れた。当初はJ昇格記念マッチで出すつもりだったので、ヤマハ時代のモチーフはあえて使わず、今回はあくまでも「ジュビロ磐田」にフォーカスした。
名波政権末期〜秀人監督退任にかけてだったか、いわゆる”黄金期人事”への風当たりが強かった頃に散見された「黄金期なんかなければこんなふうに低迷することもなかった」という論調がずっと心に引っ掛かっていた(ごく一部の声だったのかもしれないが)。当時のクラブの体質に問題がなかったとは思わないけれど、だからといって先人たちが積み上げてきた過去の栄光はいっときの感情で否定されていいようなものじゃない。それが何十年前のことだろうが、全てのタイトルは俺たちの財産であり誇りだ。クラブにとっての大事な節目に、改めてそんなメッセージを表現したかった(間に合わなかったけど)。
この旗に新たなトロフィーが加わるのが先か、それとも年季が入ってボロボロに朽ち果てるのが先か。できれば前者であることを祈りながら、このクラブと一緒に新たな時代を創っていけたら幸せだなと思う。
(後日追記)
その後何試合か振っているうちに、旗全体が青味がかったカラーに変色してしまった。どうやらポスカで厚塗りした部分が布に定着せず、雨で周りの布地に染み出してしまったようだ。

←新品 2試合経過→
幸いデザイン自体が滲んだりはしていないので、インクがしっかり布に乗れば耐水性はちゃんとあるようだ。製作の際は厚塗りしすぎないようご注意を。
真っ白よりは多少ボロいくらいのほうがカッコいいとは思うけれど、味が出るペースが想定の50倍くらい早い。来年タイトル獲るくらいじゃないともう間に合わないんですけど。

アイロン加熱でも定着に差が出るのか実験

特に変わらず。いずれにしても耐水性はありそう
ところで、今回使用した布は縫い代部分も含めて約12mほど。つまり我々の手元にはテトロンポンジのロールがまだ170m以上も残っている。自作パイフラに興味のある方、ご連絡お待ちしてます。
製作担当: tkm & やまけん
文: kz_ishii
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