[動物別 素材図鑑]動物の革を利用する=サステナブルに繋がるってどういうこと?

[動物別 素材図鑑]動物の革を利用する=サステナブルに繋がるってどういうこと?

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  • 更新日:2022/08/06
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ひと口に“革”といっても動物によって千差万別。なめし方等にも左右されますが、硬さや風合いは全く異なります。人類が皮を革へと加工しはじめておよそ1万年。ここではその歩みのなかでとくに寵愛され、身近な存在となった動物たちの革の特性を紹介します。

①牛 世界中でもっとも頻繁に使われるキング・オブ・レザー

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厚くて丈夫、使い勝手がすこぶるいいことから、世界で最も流通量の多い原皮に君臨。十数億頭!という圧倒的な飼育頭数を誇るうえ、採れる面積も成牛1頭につき約2畳分と広大なことも、人気の要因に。年齢や性別で分類され、カーフ(生後半年以内の仔牛)やキップ(生後半年から2年まで)などがとくに人気高し。

②羊 強度はイマイチだけど柔らかさは天下一品♡

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羊の種類は多岐にわたり総称してシープと呼ぶが、どの羊革も強度は△。だが柔らかさは抜群で、とくにラムスキン(生後1年以内の仔羊)はそのしなやか〜な着用感から衣類に重用される。ちなみに、毛皮をそのままなめして毛を伸ばして染色を施したものがムートン。

③馬 総じて強度は低めだけどプリップリのお尻は別革!

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牛革と比較すると繊維が粗く強度は劣る。が、尻部分の革であるコードバンは別物。繊維が極めて密で、牛革の約3倍もの強度があるうえ弾力性にも富み、まばゆい光沢も有している。ちなみに、スペインのコルドバ地方で多く作られていたことが、名前の由来だそうな。

④鹿 濡れても硬くならない無二の個性がキラリ

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国内で最も古くから作られてきたとされるディアスキン。柔軟で通気性に優れ、伸びても元に戻るため手袋などに使われることが多い。ちなみに動植物油でなめし、スエード調に仕上げたものをセーム革と呼び、革のなかで唯一濡れても硬くならないため、やはり手袋に繁く用いられる。

⑤山羊 薄くても磨耗に強いから多目的に使える万能選手

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一般的に成長した山羊の革をゴートスキン、仔山羊の革をキッドスキンと呼ぶ。前者は薄くても強く、弾力性にも優れ型崩れしにくいことから高級靴などにも多く使用される。後者はとにかくキメが細かく、高級手袋用素材として著名。どちらも独特なシボが特徴。

⑥豚 軽くて摩擦にも強く通気性も抜群の機能派!

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一般的に国内で唯一自給できる原皮とされ、海外にも多く輸出されている。軽くて硬くて通気性に優れるのが魅力だが、銀面を硬い毛が突き抜けているため、表面に3つずつ一群になった独特の毛穴模様が並ぶのも特徴。加工しやすいため型押しやプリントにも向く。

⑦長尾驢(カンガルー) 激しい動きにも難なく対応する薄さ&しなやかさ

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ご想像の通り主な供給地はオーストラリア。捕獲量が制限されているのに加え、野生のため傷が多いのが難点。ただし薄くて軽く、しなやかで丈夫と機能面はピカイチなので、革小物や靴に使われることも多い。とくに運動量の多いサッカー用のスパイクなどに繁く採用されている。

⑧鰐(ワニ) 妖しい艶めきで魅了するエキゾ革のチャンピオン

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ご存じエキゾチックレザーの代表格。クロコダイル、アリゲーター、カイマンの3種類に大別されるが、いずれも哺乳類の革には見られない独特のウロコ模様と、妖艶な表情が魅力。体の部位によっても性質は異なるが、エレガントな模様は不変で、時計用ベルトに使われることも多い。

⑨鱏(エイ) ビーズのように煌びやかなウロコが目印

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革として使われるのは、主にアカエイ(英語ではスティングレイ、仏語では初めて加工した職人にちなみガルーシャと呼ばれる)。表皮を削るとリン酸カルシウムの粒状のウロコが出てきて、これがまるでビーズのような美しい輝きを見せるため、主に高級革小物用として寵愛されている。

⑩鮪(マグロ) 近年ようやく台頭! びっしりウロコがソソる〜♪

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かの新喜皮革が持ち前のコードバン作りのノウハウを活かして、近畿大学の養殖鮪の副産物を有効活用し始めたことにより、近年知名度が上昇中。びっしりと詰まったウロコ跡やギラギラとした光沢が、他にはない特徴。ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャーのアイテムが著名。

命を残さずにいただくということ

エコマインドが醸成しサステナブルやSDGsといった言葉が公用語化した今、革が再注目される理由。それは革作りに“無駄なく”という精神が息づいているからに他なりません。

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動物の皮を利用することがなぜサステナブルに繋がるの? なんて疑問符が浮かぶ方は上記をご覧あれ。

例えば牛の場合、原皮はあくまでも食肉用に飼育された家畜の副産物。原皮を採取するためだけに命を奪うなんてことはなく、本来は廃棄されるはずだったものを有効活用しているにすぎないんです。

処分するのに必要な施設の整備や、焼却の際に出るガスなど、環境への負荷も甚大……。命を残さずいただく。革はまさしくそうしたエコな精神の成果物なんです。

解説してくれた革の第一人者

いいでしょ!

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ライター 山田純貴さん

1992年にビギンでの編集&執筆を開始。革に関する体系的資料があまり存在していない時代から、綿密な取材によってわかりやす~い革のコンテンツを数多く作成してきた。通称「革博士」。

[ビギン2022年8月号の記事を再構成]スタッフクレジットは本誌をご覧ください。

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