閉鎖された寄宿学校の闇、「魂の救済」と児童虐待 米

閉鎖された寄宿学校の闇、「魂の救済」と児童虐待 米

  • Rolling Stone Japan
  • 更新日:2023/01/25
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1996年に開校したアメリカ・ミズーリ州シーダー郡ストックトンのキリスト教系寄宿舎施設「アガペ寄宿舎学校」は、ここ数年、数十人の元生徒への拘束・体罰、性的虐待といった疑惑を持たれてきたが、この度閉鎖することが明らかになった。

山のような民事訴訟とミズーリ州司法局の調査に見舞われている同校は、2023年1月20日より「サービスの提供を停止する」と11日に発表した――この決定について、元校長のブライアン・クレメンセン氏は資金繰りが立ち行かなくなったためと説明している。

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ローリングストーン誌が入手した11日の声明文で「アガペでは、更生プログラムに留まる少年を安全に両親や養父母、その他グループホームや居住型プログラムへ安全に送り届けることに主眼を置いています」と、クレメンセン氏は述べている。「今回の閉鎖決定は自発的なもので、ひとえに少年らのケア継続に必要な資金が不足しているためです」

クレメンソン氏は閉鎖を発表した声明の中で、アガペ校が30年にわたって「6000人以上の少年たちに人生を正しい方向に立手直し、明るい未来へ進むチャンス」を提供してきたと述べている。だが1月にローリングストーン誌が掲載した記事によると、アガペ校が誇る「チャンス」を与えられた数百人の生徒たちは、学校の厳格なパプティスト派の思想や、軍隊式の階層構造、極端な体罰は拷問と紙一重だったと考えている。

ミズーリ州ストックトンに位置するアガペ校は、「やる気を失った危機的状況の少年たち」向けの信仰深いパブティスト派更生施設を標榜していた。だが学校を相手取った複数の訴訟によれば、少なくとも18人の元生徒が、特定の職員が虐待を助長、または直接虐待に手を下していたと主張している。州司法局によると、他にも学生が壁や床に押し付けられたり、故意に食事を与えられなかったり、無理矢理手錠をかけられた状態で8日間眠らされたこともあったそうだ。一部の民事訴訟には、生徒の首つり自殺未遂が「蔓延」していたともある。学校側はこれら容疑をすべて否認している。

「職員は生徒を見下していました」と、2018年にアガペ校に入学した元生徒のアンドリュー・ブレシアーズさんはローリングストーン誌に語った。「お前たちに価値はない、お前たちはクズだ、チンピラだ。絶対成功できない、とよく言われました」

専属医師のデヴィッド・スモック氏やフリオ・サンドヴァル元教頭など、学校関係者の数人が業務中で生徒に罪を働いたとして起訴された。両名はいずれも無罪を主張している。11月にはアガペ校の元職人が、215点の児童ポルノを所持していたかどで起訴された。だがほうぼうから激しい圧力がかかっているにもかかわらず、クレメンセン氏は学校側の手法に虐待的なところはなく、少年の救済を第一としていたと主張を続けている――もっとも同氏は、児童虐待育児放棄登録データベース行きこそ免れたものの、仮命令により生徒との身体的接触を禁じられている。

「少年たちを、神の思し召しを仰ぐ状態に導くことが一番です」と、クレメンセン氏は以前ローリングストーン誌に語っている。「麻薬や友人に頼るのを止め、神に向かって『更生したと感じられるよう、あなたのお力を貸してください』と言えるような状態にです。魂が救済されない限り、身につくことはありません」

学校が閉鎖されたとはいえ、職員は元生徒から少なくとも19件の民事訴訟で訴えられている。元生徒たちは暴行により悪夢に悩まされ、警戒心を解くことができず、いまだにストレスやトラウマを抱えていると主張している。

2004年と2010年と2度この学校に入学したコルトン・シュラグさんは、学校閉鎖のニュースを聞くや、「この先、あの学校で虐待を受ける子どもがいなくなって嬉しい」という。かつてシュラグさんはローリングストーン誌の取材で、クレメンセン氏が「生徒を床に叩きつけ」ているのを目撃したと語った。また元指導員が自分とクラスメートを殴り、他の職員にも同じことをするようけしかけていたそうだ。

「あの時期のことに折り合いをつけられるかどうかは分かりませんが、間違いなく次の目標に進むことはできます。人生のあの時期に幕を閉じられるかどうかは分かりません」と、シュラグさんは更生施設で過ごした日々と学校閉鎖を振り返り、最後にこう付け加えた。「肩の荷が下りた気はします」。

別の犠牲者ジョシュ・ブラッドニーさんも、閉鎖のニュースを聞いた時は「涙がこみあげてきた」そうだ。2014年入学当時、ブラッドニーさんはまだ12歳だったが、他の生徒から性的暴行を受けたと言う。その時の生徒の1人は、のちに学校職員になった。

現在、ブラッドニーさんは他の犠牲者と連絡を取り合い、仲間同士で慰めやアドバイスを模索しているそうだ。「みんな同じような状況です」と彼はローリングストーン誌に語った。「僕らが集まって互いに助け合っている理由はただひとつ。生徒を虐待するような学校を閉鎖し、子どもたちを守るためです」。

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