皆さまコンニチハ、旅きのこです。
今日は屋久島旅語り・第4話をお届けします。
人間界では感じられないが、森では確かに感じるものとは・・・
どうぞ最後までお楽しみ下さい。

屋久島、白谷雲水峡をさらに奥へと進みます。ここはジブリ映画「もののけ姫」の舞台となった太古の森。
宮崎駿監督が何度も足を運んで、ジブリ作品の森のイメージを得た場所だと言われています。
私がここを訪れたのは屋久島の旅の初日。普段の生活から離れ、この森に初めて入ったその瞬間、自分という存在が丸ごと森に飲み込まれたような感覚になったのを今でも鮮明に覚えています。
自分を取り囲んでいる森が、一つの巨大な生命体であり、その中に存在する小さな草や花や虫、大きな木や葉、水や岩、それら全てが巨大な生命体を構成するひとつの細胞のように思えたのです。

巨大な生命体

小さなひとつひとつの細胞
まさに「もののけ姫」に登場するこの二つの存在のよう。森の全ての要素がキャラクター、要するに個性と魂を持つ生命体に見えてくるのです。
皆さんは八百万の神という言葉を聞いたことがあるでしょうか?神道の言葉で森羅万象、全てのものが魂を持ち、神を宿しているという思想のことです。屋久島の森に入ると、まさにこれを体感します。
「もののけ姫」でも、森の生と死を司るキャラクターは「シシ神」と、木に宿る小さな魂は「こだま」と名付けられていますよね。その理由もわかるような気がします。

森が輝いて見えるのは苔の上の露がそうさせているのかな

巨石を抱くように生えている木神々しいです
シシ神といえば、一歩進む度に地面から草が生えては枯れていく、というシーンが印象に残っている方が多いのではないでしょうか。
あのシーンは見るたびにゾクゾクして私も大好きなのですが、森の生死観をとても上手に表現していると思います。

この写真は木から落ちたツバキの花を撮ったものです。
ひとつにはまだ鮮やかな色が残り、ひとつは真っ黒になってまもなく土に還りそうですね。
森には生もあれば死もある。でも死は生に養分を届け、その生は輝きながら今まさに死に向かってもいます。面白いですよね。両方が同時に起こっているわけです。
シシ神は死にはしないよ。命そのものだから。生と死と、二つとも持っているもの。私に生きろと言ってくれた。
ついつい、生の対極が死、デッド オア アライブ!と別々のものとして考えてしまいますが、本当はそこに厳密な境目は無いようにも思えてきます。
アシタカのセリフから読み解くとすれば、「命」というのは「生きている」という状態を指すのでは無く「生と死」この二つが合わさったものなのかもしれません。
だからこそ、この二つのツバキは姿こそ全く異なりますが、不思議とどちらにもそれぞれの美しさを感じます。
でももし、これが花屋だったらどうでしょう?ショーケースに並んだ綺麗に咲いている花は美しいですが、枯れた花が床に落ちて黒くなっていたら、あなたはどう思うでしょうか?
森ではどちらも美しいと感じるのに・・・

この感覚の違いがまさに、現代人は自然と切り離されてしまったという事実を物語っていると思います。
そしてそれが、現代人の生き辛さを作っている原因とも思えます。
キラキラ光る見るからに美しいものだけが、価値を持つのだと思い込んでしまって、それ以外はゴミのよう。
模範的な成長、成功、良い結果、高評価。
それらは素晴らしいものですが、何もそれだけに目を輝かせなくっても良いし、それらが全く無い人生だったとしても”ダメな人生”ではありません。
私たち人間は本来、管理された畑から刈り取られショーウィンドウに並べられる切花商品ではなく、森に生える木のようであったはずです。

二代大杉切り株の上に種子が落ち、そこから新たな木が育つ「切株更新」と呼ばれる屋久島ならではの現象

気根杉絡まり合い、捻り合いながら育つ木
屋久島の森では、倒れてもまたそこから新たな幹を伸ばす木や、絡まって捻れながら育つ姿が力強い木など、個性的で面白い生き方をしている強者達をあちこちに見つけることができます。

ポカンと穴が空いていても、そこから差し込む光がとても綺麗ですね。
森の中にいると、人として生きることのヒントを受け取ることができたな、と感じる瞬間が幾度となくやってきます。
今更新中の、この屋久島旅シリーズでは、そんな森からのメッセージを皆さまに要約してお伝えすることが多くなるかも?
生きていると色々な困難に遭遇することがあると思いますが、そんな時は是非、この屋久島の森の姿を思い出してみて下さいね・・・

✳︎✳︎今日はここまで✳︎✳︎
次回、いよいよ縄文の森を10時間かけて歩きます!
引き続きお楽しみ下さい。
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