女子中学生の自殺で賠償請求 控訴審も棄却 「呪ってやる」メッセージ残すも 遺族「切り捨てられた」

女子中学生の自殺で賠償請求 控訴審も棄却 「呪ってやる」メッセージ残すも 遺族「切り捨てられた」

  • 読売テレビニュース
  • 更新日:2023/05/26
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26日の法廷(大阪高裁)

2013年、奈良県橿原市で、女子中学生が自殺したのは同級生からのいじめが原因だとして、遺族が市などを訴えた裁判の控訴審で、大阪高裁は26日、訴えを退けました。

2013年3月、橿原市の当時中学1年だった女子生徒が、「部活動に行く」と言って自宅を出た後、近くのマンションから飛び降りて自殺しました。

女子生徒の携帯電話には「みんな呪ってやる」という未送信のメールが残されていたことなどから、遺族が学校に調査を要望。

学校で行われたアンケートの結果、特定の生徒によるいじめがあった可能性が明らかになりました。

【第三者委員会「いじめも自殺の一因」と結論 遺族が提訴】

橿原市教育委員会は、「家庭での問題が原因で、いじめはなかった」としていましたが、2015年4月、市の設置した第三者委員会が、のべ100人以上にわたる聞き取り調査から「精神的な苦痛を与えるいじめ」を認定しました。

その上で、家庭内の不満や生徒自身が心身ともに疲弊していたことなどの複合的な要因による自殺だったと指摘した報告書を提出しました。

これを受け遺族は、女子生徒の自殺は同級生からのいじめが原因だったとして、2015年9月、橿原市と加害生徒側に対し、合わせて約1億円の損害賠償を求め訴えを起こしました。

【一審「いじめはなかった」】

2021年、奈良地裁は、いじめの存在自体を認めず、「学校側が自殺直前のサインを把握できたとは言い切れない」として訴えを退けました。

判決直後、女子生徒の母親は「現場を知っている部活動の顧問の先生も証言してくださっていたのに、ただただ残念です」とコメントしていました。

【大阪高裁いじめ認定せず 訴えを退ける】

遺族は判決を不服として控訴し、迎えた26日の判決で大阪高裁は、一審と同じくいじめの存在は認めず、遺族の訴えを退けました。

「諸々の悩みから気分が落ち込み、仲良く交際していたグループとの居づらさ・ぎこちなさを感じるようになっていったことで、次第にグループと距離を置くようになっていった可能性を否定できない。これを仲間外れととらえ孤立感を感じるかは、本生徒の主観的な受け止めの問題」などとし、仲間外れがあったとする主張を否定しています。

また、学校側の対応については、学校が実施した調査で「死んでしまいたい」という項目に対し「かなりあり」と回答するなど、自殺する可能性を示すサインがあったと認定した一方で、調査の総合診断では「状況の急変が無ければ自殺の心配はない」などと書かれていたことから、教職員は自死の危険性を認識することはできなかったとして学校の責任はないと判断しました。

【第三者委員会と裁判所 判断わかれた理由は?】

また判決では、第三者委員会でいじめが認められたにもかかわらず、判決では認めなかったことについて、「第三者委員会の報告は、学校の対応の在り方を検討する中で認定された結果である。一方、訴訟は遺族側が立証責任を負う中、橿原市側の反論を踏まえると、必ずしも判決内容と第三者委員会の結果が一致するとは限らない」としています。

女子生徒の母親は、判決後の会見で、「娘が自死してから10年が経ちましたが、未だに受け入れられないです。何度も教育委員会に情報開示を求めましたが一切応じないなど、10年間苦労・挫折の連続でした。仲間外れは娘の思い込みだと切り捨てられたことはつらい」などと涙ながらに話しました。

また代理人弁護士の1人は、「第三者委員会の調査結果が判決には一切反映されておらず、制度の意味がない」などと憤りをあらわにしました。

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